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小説|パラレルハウス|⑤入場―永美編
明は眞子とのやりとりなどを思い返しながら、とりあえず様子だけと思って来たものの、まさか本当にやってるとは想定外だった。。。
明はすぐに眞子に電話した。
何度鳴らしても出ない。
しまいには「電源が入ってません…」のアナウンスになってしまった。
(あー、今日は朝から稽古だったし、きっと疲れてるかもなぁ。このまま寝かせておいた方がいいか、、、)
明は眞子のことを思いやりながら、少し残念な気持ちになった。
(パラレルハウス、、、か)
1人で入る気にもなれないが、なんだか気になる。。。
明はひとり呆然と立っていた。
(あ、そうだ、浩司を誘ってみよう!)
思い立って明は浩司に電話した。
トゥルルル トゥルルル ・・・
繋がらない。。。
スマホをポケットに入れようとした時
ポケットからぐしゃぐしゃになったメモ書きが落ちた。
(あ、永美の連絡先。。)
明は昼間に永美からもらった連絡先のことを思い出した。
(あー、あんまり気はすすまないけど、他にいないし、とりあえず電話してみるか。。)
(・・LINEの呼出音が鳴る)
永美「はい、もしもし」
明「あ、永美?」
永美「え?!もしかしてアキラ?!」
明「うん。永美、今何してる?」
永美「うん、じゃなくてさ、急に電話されると誰かと思ってビックリするじゃん!」
明「あー、ごめん。いや、電話するつもりは無かったんだけど、、、ちょっと行きたい所があってさぁ。1人で行くのは気が乗らなくてさ、誰かいないかなぁと思って。」
永美「何それ、私は暇つぶしの相手みたいに思ってるの?」
明「いや、そーじゃないけど。。まぁ嫌ならいいんだ、他あたるわ」
永美「もう💢嫌とは言ってないじゃん。それで、どこ行きたいの?」
明は今までのいきさつを永美に話した。
永美「ふぅーん。イイよ。今からそっち向かうよ」
明「お!マジか!じゃあ、先に並んで待ってるわ」
永美はパラレルハウスに興味はないけど、明と話すための、いい口実と思った。
一方明は、昼間に途中で席を立った事や、帰り際に連絡先したいと、永美らしくないこと言われ、何か悩みでもあるんじゃないかと少し気になっていた。だから今回、直接話が聞けるなら、ちょうどいいやと思っていた。
明は行列に並びながら永美を待った。
「あれ?アキラくん?」
ふと顔を上げると、昼間会った永美の友達の恵巳がいた。
明「あ、メグちゃん」
恵巳「あ、やっぱり♡昼間に会ったばかりだから、もしかしたらそうかなぁって思って」
明「メグちゃん、こんな時間に何してるの?」
恵巳「アキラくんこそ、何してるの?なんの行列?ちなみに私はバイト帰り。あそこのメイドカフェでバイトしてるの」
明「そうなんだ!へぇ〜!あ、今ちょうど永美を待ってるんだけど・・・」
明は昨日からの出来事を含めて、恵巳に話した。
恵巳と話していたら、永美がやってきた。
永美「あれー?!もしかしてメグー??」
恵巳「あ!永美ちゃん!待ってたよ('∀`)」
永美「それにしても、なんでメグがいるの?」
明「いやぁ、並んでたら偶然会ってさ。それでパラレルハウスの事を色々話してたんだよね」
恵巳「ねー永美ちゃん、私も一緒に行きたいんだけど、いい?」
永美は明と2人きりになれないのが少し残念だったが、メグとなら良いかと思った。
永美「もちろん、良いよ(。^ω^。)」
恵巳「ありがとう〜!(´▽`)」
恵巳は永美とハグした。
明は女子2人にかこまれ、少し居心地が悪くなったが、これはこれでまぁ良いかと思った。
すると、突然明の電話が鳴った。
浩司からだった。
明「おぉー浩司!悪いな、こんな遅くに」
浩司「いや、全然。ちょうどバイトで、出れなかったから。で、なんかあったか?」
明は横ではしゃぐ女子2人を横目に、これまでのいきさつを浩司に話した。
浩司「へぇ〜、面白そうだな」
明「浩司もよかったら来ないか?(小声で)いや〜、ぶっちゃけ、女子2人にかこまれてるのもちょっとシンドくてさ💦」
浩司「なに、彼女たち可愛いの?」
明「まぁ、可愛いと思うよ」
浩司「よし!最近出会いなかったし、久しぶりに女子と友達になりに行くかー!」
明「なんだよ、それ」
浩司「たぶん近いから、10分くらいで行くわ」
明「わかった。じゃ、またあとで」
明は電話を切って、永美たちに友達の浩司がくることを伝えた。
永美「え!浩司くん?あのイケメンの?久しぶりに会えるの嬉しいけど、もっと化粧してこればよかったー(つω`*)」
恵巳「永美ちゃんは、化粧なくてもいつも可愛いよ♡♡」
永美「も〜♡メグのことホント好き♡♡」
明はそんな女子トークに囲まれながら、並んでいたら浩司からの着信がきた。
浩司「着いたけど、どこにいる?!」
少し離れた所にバイト着のまま、どこにいるか探している浩司がいた。
おーい!こっちこっち!
明は手振りで浩司を呼んだ。
浩司はこちらを見つけて、小走りに駆け寄ってきた。
明「浩司、悪いな、急に呼び出して」
浩司「いいのいいの。おっ、久しぶりじゃん永美!」
永美「わ♡浩司くん♡久しぶり(´∀')」
なぜか永美はいつも浩司の前では少し女の子らしくなる。
浩司「こちらは?」
明が紹介しようとすると、すかさず永美が話始めた。
永美「この子は私の友達の恵巳。メグって呼んであげて♡♡」
浩司「はじめまして。オレ浩司。よろしく!」
恵巳「はじめまして。メグです(*' ')*, ,)ペコリ」
4人は色々と話しながら、まるでジェットコースターを待つかのような雰囲気で、楽しく順番を待っていた。
あっという間に明たちの番がきた。
次の方どうぞ。
はしゃぎながら4人は黒服のいる入場口に向かった。
黒服「お待たせ致しました。パラレルハウスへようこそおいでくださいました。
初めに3つの注意点からご説明致します。なお、そちらをご了承いただけない方には入場はご遠慮頂いておりますが、よろしいでしょうか?」
みんな顔を合わせ、誰も異議がないのを確認した。
明が代表してこたえた。
「はい、大丈夫です。」
黒服「それでは、説明させて頂きます。」
注意点①パラレルハウスでのことは誰にも話さないこと。もちろん、SNSの投稿などもしないようにしてください。
注意点②パラレルハウスを退場する際は一人一人の写真撮影をさせて頂いております。写真撮影をしないと出口が開きません。
注意点③当たり前ですが、1度入場しますと途中で入場口に引き返すことはできません。入場したら最後までお楽しみくさい。
黒服「以上の3点になりますが、よろしいでしょうか?」
明は今度は全員の顔をみることなく
さっきと同じように「はい。大丈夫です。」と応えた。
黒服「それではあちらが入場口となります。なお、手荷物などは一旦預からせていただきます。出口でお返ししますので、こちらの番号札をお持ちください。何かご質問はございますか?」
浩司「すみません、これは4人同時に入れるものなんですか?」
黒服「もちろん、4人同時に入ることはできます。ただし、中ではバラバラになることもあります。ですが、お気になさらずに。出口は皆さん同じですので、一緒に出られます。」
どんなところか、4人共ワクワクソワソワしていた。
黒服「他にご質問はよろしいですか?なければ、次にお手洗いのご案内をします。お手洗いはパラレルハウスの中にもありますが、入口前にもあります。心配な方は念の為先に済ませておいた方がいいかもしれません。」
黒服「それではスマホなどのお手荷物をこちらの袋に入れてください。」
さっきもらった番号札と同じ番号が大きく書かれた袋に4人は手荷物を全て入れた。
黒服「では、あちらが入口になりますので、皆さんのタイミングでお入りください。それでは失礼いたします。」
黒服はさっそうとどこかに行ってしまった。
明「誰かトイレ行きたい人いる?」
恵巳「私、ちょっと行ってくる」
永美「あ、メグが行くなら私も」
女子2人がトイレに行ってる間、入口前で浩司と待っていた。
浩司「なんか、久しぶりに女子たちと遊ぶなぁ。」
「そういえば、眞子ちゃんはよかったの?」
明「本当は眞子と来たかったんだけど、電話が繋がらなくてさぁ。多分今日は疲れて寝ちゃったんだと思う。だから眞子とは改めて来ようと思ってる」
浩司「そっか。。それよりさ、メグちゃん可愛いよな♪」
明「なんか、この近くのメイドカフェでバイトしてるらしいぞ」
浩司「へぇ、そうなんだ!今度一緒に行ってみるか?!」
明「え、俺はいいよ。メイドカフェとか興味ないし。」
浩司「そうじゃなくて、メグちゃんに会いに行くんだよ!」
明「あぁ、そっか。。。お前、今彼女いなかったっけ?!後でメグちゃんと連絡先交換したら?」
浩司「なんだよ、お前に言われなくてもするよ!笑」
恵巳・永美「お待たせ〜♪」
浩司「よぉし!いざ出陣!」
張り切る浩司を先頭に、4人はパラレルハウスの中に入っていった。
つづく……
今までの話は⤵︎⤵︎⤵︎⤵︎⤵︎⤵︎⤵︎