愛しい息子と。。。Ⅸ
都心の屋根が真っ白になり
道路が凍りそうな夜である
室内に数日置けば
それなりに赤くなるだろうと
かなり大きく育ち
うっすら赤みを帯びて来た
房トマトの1号と2号だけを収穫した
都内の屋根に雪がつもった景色を見たのは
八王子に住んでいた2014年2月以来だ
職場に八王子在住の人たちが数人いて
懐かしい町名や店名を耳にするようになった
10年前に「オリンパスホール」で
息子が成人式をしたと言うと
あのホールは「J:COMホール」という
名前に変ったと教えてくれた
息子はオリンパスホールで
八王子生まれの同級生と成人式に参加したあと
麻布同級生たちが都内に用意した夜の成人式に向った
もし息子が麻布中に進学していなければ
ひとりぼっちで成人式に参加するか
そうでなければ成人式には参加することなく
さみしい限りの成人の日だっただろう
いやいや、麻布に行っていなければ
まったく違った学生時代を
過ごしていただろう
自分で望んだ麻布生活だったが
中1の時に担任から学校に呼ばれた
入学当初から、授業中はほぼ毎日
部活が始まるまで熟睡しているそうだ
それでも自由な学校なので
誰に起こされることもなく
興味のある教科以外は勉強しなかったらしい
さすがに単位不足が危ぶまれた高2以降は
担任の『起こしてやれ』という指示で
教室移動のある時だけ同級生のお世話になって
やっと卒業することができた息子だった
自分で麻布を受験することを決め
自分で八王子にある大学への進学を決め
自分で願った仕事や生活がある
あとは
母が居なくなった後も
健康的な日々を過ごしてくれれば良いと
息子の今を母は素直に喜んでいる