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一回やってみたら? ―今の状況に違和感を感じている若者に伝えたい、池田昌広さんの話―
>池田昌広さんのプロフィール
〇1986年長野県大桑村出身(35)。
〇京都工芸繊維大学卒。在学中は機械システム・デザイン・経営などについて学んだ後、電気メーカーで家電の設計・開発のエンジニアとして勤務。26歳で退社後、世界約80か国を巡り、その後フリーランスのフォトグラファーとして独立。
〇イギリスのカレッジでファッション・ポートレート撮影などを学び、2015年に結婚式や家族写の出張撮影をするサービス「Tolocca(トロッカ)」を設立。
〇現在は、長野県大桑村を拠点とし、全国へ出向いての写真撮影・動画撮影・ディレクションなどの仕事をしつつ、年間3ヶ月以上は海外に滞在して制作活動を行うなど、表現を磨いている。
本業と並行し、写真教室の講師、 中学・高校・専門学校などでの進路に関わる外部講師、地方行政や中小企業のSNS対策コンサルティング、地元の子どもたちへの学習支援といった活動もしている。
最近ではYouTube・Podcastなどを通しての配信活動も行っている。
・MASAHIRO IKEDA PHOTOGRAPHY ▶https://masahiro-ikeda.com
・Tolocca ▶https://tolocca.com
【やる気にさえなれば、意外とできる】
― それでは、さっそく質問していきます。
中高生くらいから、フリーランスとして独立されるまでの岐路はどこで、その時どのような選択をされてきたのかについて教えてください。
高校生になって一応進学クラスだったんですが、僕は全然勉強しなくて遊び惚けていました。(笑)
高校3年、そろそろ進路を決めなきゃいけないって時に面談をしたんですが、「このままだと大学はいけませんね」って言われたんです。そのことははっきりと覚えています。
わかってはいたけど、これはやばいなと思って、当時はまだSNSとかもなく、身近に情報が無かったんですが、人に聞いたり、インターネットを使ってたくさん調べました。
― 20年近く前の、携帯で静止画を送る「写メ」が始まったような頃ですね。
中高生の時って周りの生徒と同じようにやっていかないと、はみ出ているような気がしてしまうと思うんですけど、僕の場合はすでに普通のやり方では手遅れだったので。(笑)
その時親しくさせてもらってた先生が「やり方はなんでも良いから、結果的に行きたい大学に行ければ良いんじゃない」って言ってくれて、僕なりに考えて自分流の勉強をしていけば良いんじゃないかって思ったんですよね。有名な塾講師の本を買って、授業中はずっとその本を読んだり、自分で買った問題集を解いてました。
正直授業は全然聞いてなかったんですけど、そのまま授業受けてるだけだと絶対間に合わないってわかってたので。
高3の夏くらいからそうやって勉強し始めたんですけど、たまたまそのやり方が自分に合ってたのか、むしろ楽しくて、すごく成績伸びたんですよ。一生懸命やったっていうのもあるんですが。
その時に、自分でやりたいことを決めて本気出したらけっこう出来るんだという成功体験みたいなものを味わって、それが現在フリーランスで仕事をする際の考え方のベースになった感じですかね。
― なるほど。
【今の仕事は、究極の消去法から生まれた】
写真撮るのは好きで、昔から趣味でよく撮ってたんですけど、まさか将来フォトグラファーになるなんて思ってなくて。
― そうだったんですね。
自営業の家で育ったからか、なんとなく将来は自分で起業してフリーランスとして働くだろうと思ってたんですけど、大学までは部活や音楽などもやっていて、むしろそっちを頑張ってたので。
モノづくりに関わりたいと思っていたので、大学では機械工学とデザインの勉強をし、卒業後は大手の電気メーカーに就職し、設計・開発の仕事に就きました。写真は本当に趣味という感じだったんです。
― へえ~、それは面白いですね。
別の事をやってた時は、こういう風にしたら売れるんじゃないかとかあれこれ考えてやってたんですけど、写真は単純に好きだっただけだから、ただ自分の好きなようにやってました。
そしたら、誰かから依頼が来たりお金もらえたりするということが増えてきて、徐々に仕事として意識する様になったという感じ。結果的にどんな分野よりも写真の方がうまくいったというか。
― 意図せずに好きなことをしてるほうが評価されたんですか。
だからある意味、フォトグラファーになったってのは、究極の消去法だったんですよ。それしか認められなかったというか。(笑)
他にも好きなことや、キャリアとしてやりたいことはたくさんあったんですが、写真しかちゃんと評価されなかったからそれが残ったみたいな。
― なるほど。消去法でフォトグラファーになったんですか。
ちなみに、写真が先に評価されてそれが仕事になったんでしょうか、それとも、写真を仕事にできそうだと思っていて、評価が後からついてきたんでしょうか。
写真が先に評価されてそれが仕事になったパターンですね。
当時、SNSはまだ始まったばかりでしたが、自分が撮った作品をネットで発信してたんです。そしたら、僕の撮った写真を見て「これ売ってくれませんか」って依頼が来たりして。
― SNSが流行る前から発信されてたんですか。
それで、写真を仕事にできるな、と?
今みたいに誰でもSNSをしてる感じではなかったですが、そういうことが好きな人が集まっている感じでした。写真を買いたいと思ってくれる人がいることに驚きつつも、仕事になることはないだろうって冷静に思ってましたね。
― そうなんですか。
ちょうどその頃に会社を辞めたんですが、辞めたのはフォトグラファーになるためではなく、単純に世界のいろんなところに行ってみたかったから。
会社員時代にも休みの旅に海外に出てましたが、全然時間が足りなくて。海外には*ギャップイヤーとかの制度もありますけど、そんなまとまった時間が欲しくて辞めました。
*ギャップイヤー(gap year)」とは、学生が大学への入学前、在学中、卒業後に就職するまでなどの時期に、留学やインターンシップ、ボランティアなどの社会体験活動を行うため、大学が猶予期間を与える制度のこと。
そんなことをしているうちに、段々と新聞社や雑誌社と毎月の契約をさせて頂くようになって、世界を旅しながら写真や文章を寄稿するというお仕事をさせてもらってました。
― 当たり前ですけど、そのお話を聞くと、仕事って時代に左右されるんだなって強く思います。
そうですね。そして徐々に仕事が増えていって、旅をしながらの出費と仕事の収入がとんとんになったタイミングがあったんです。むしろお金が増えていくようになって、これはもう写真で仕事してるのと同じだなって思ったんです。
写真以外にも今までいろいろ試してみたけど、そうやってどんどんお仕事をもらえるってのは他ではできなかった体験なんですよね。
― フォトグラファーとして、世界をまたにかけて活躍されている方の発言とは思えないです。(笑)
【自分が気持ち悪いことはやらない】
― フリーランスのフォトグラファーとしてお仕事を忙しくされながらも、毎年海外に行かれ、作品制作をされている理由はなんでしょうか?
最初の頃は自分なりの風景やアートの写真を作品として売っていたのですが、それなりに評価こそしていただいたものの、実際にお金にして「食べていく」というのはとても難しかったんです。
それで、そういうジャンルは諦めてというか、実際に稼げる仕事をするために、イギリスへ行って学校で人を撮ることを勉強しました。
その頃はとにかく経験がしたくて、現地の美容師さんとかモデルさんとかと協力して作品撮りを沢山してましたね。
そんなある日、ご自身もフォトグラファーとして活動されている著名な美容師さんに会って、話の流れで僕が前に撮っていた風景やアートの写真を見せたら、「良いじゃん、良いじゃん。」って言ってくれて、「君、本当はこういうのやりたいんでしょ。正直、そっちの分野の方が向いてるし、成功しそうだから、やりたいことやった方が良い。」って言ってくれて。
なんだか見透かされたような感じで。
― 率直な意見を頂いたんですね。
そうなんです。当時は人を撮るのに一生懸命だったのでショックでしたが、思い返せば確かに好きなのはそっちだったし、本来やりたいことでもあったので。
それがきっかけで、仕事としての写真を撮りつつも、自分を表現するための作品も撮りつづけて発表していこうと思うようになりました。
それまでは写真をお金にしないとダメという意識に縛られてたかなと。なので、そっちはお金にならなくても良い、ある意味趣味のような位置付けとして続けていきたいと思っています。
結果的に幅広い写真に挑戦することとなり、各分野の技術も身に付きましたし、人脈も広がりましたね。
― 池田さんご自身は、風景やアートのほうが素質がありそうだということを自覚されていたんですか。
自覚してはいなかったですね。
ただ、そっちの方が間違いなく好きだったかなと。
本当に好きなことをしている時のほうが結果が出るってことは、最近は自覚しているんですけど、若いころはあんまりわかっていなかったと思います。
だから今は、できるだけ楽しめる方へ行く様にして、保守的で無難な方には行かない様にしています。
― 自分の特性を自覚するってとても難しいですよね。自分は違うんじゃなかって思ってても、一般的にはこうするべきじゃないか、みたいなことを勝手に思ってしまって。
日本に帰ってきて思ったのが、結婚式を撮るようになった時。日本の結婚式って、カメラマンのやるべきスタイルが暗黙の了解みたいに決まってるんです。「このシーンではこう声かけてこう撮る。ここでカメラ目線もらうとか、こうポーズしてもらう。」みたいな。業界常識というか。
でも僕はそれが好きじゃなかったし苦手だったので、「お客さんに声かけをせず、カメラ目線を求めず、起きたことを自然に撮る。」というスタイルでやり始めて。
狙ったわけではないんですが、それが写真撮影が苦手な人や、ポーズをさせられるのが嫌だと感じていた人から好評になって、クチコミで広まりました。
― 撮られることを意識し過ぎてしまう人にとって、自然に撮ってもえるのはとてもありがたいですね。
はい。ただ、最初はそんなことあんまり考えていなくて、単純に、僕自身が大きな声をだして「はい、こっち向いてー!笑ってー!」みたいなのが嫌だっただけです。(笑)
自分にとって気持ち良い方法でやってたら、それを気に入ってくださる方々がいらっしゃったという感じで。運が良かったとは思いますが。
そんな経験から、自分が気持ち悪いことはやらないということを事にしています。もちろん、仕事上きちんとしないといけないところや、やらないといけないことはきちんとやりますけどね。
― 好きなことに取り組んでいるほうが結果が出るんじゃないかなっていうことは、受験生のころからある程度感じていらっしゃったと思うんですが、それを完全に自覚したタイミングはあったんですか。
うーん、それはもしかすると最近かもしれないですね。
学生時代の受験の時もそうやってうまくいったという実感はあったんですけど、サンプル数がすごく少ないというか、それはたまたまそうだったんだろうという感じで。
― あ、なるほど。統計学でいうところの外れ値的な。
少ない事象だけでは池田さんの一般的な傾向として語れないなと。
2018年くらいから中高生向けに進路指導のための講義をさせていただくようになったのですが、その資料を作ったり、実際に話すことで結果的に自分の頭の中が整理され、もしかしたら自分にとって気持ちの良いことをやったから結果が出たんじゃないか、と自覚するようになりました。
― なるほど。
ただ、会社員生活も楽しかったし、決してそうじゃないほうの選択が悪かったわけじゃないんですよ。ただ、より面白そうな方を選んでやってきただけで。
― うんうん。あくまでも、自分に合う選択がどうか、という視点での話ということですね。
【自分で考えて働けるフリーランス】
― これまでの池田さんのお話を聞かせて頂く中で「フリーランス」という言葉が印象に残っていまして。「フリーランスとして働くだろうと思ってたんですけど、まさかフォトグラファーになるとは思ってなくて」とおしゃっていた部分に顕著に現れているように感じたことなんですが、池田さんは、フォトグラファーという職業を目指すよりも、フリーランスという働き方を目指すほうが先行していたんですよね。
だから、なにか原体験のようなものがあってフリーランスという働き方に憧れてたのかなとか思ったんですけど。
深いっすね。(笑)
― マリアナ海溝ほどではありませんが、なんつって。(笑)
すみません、続けてください。(笑)
「フリーランス」という言葉については、わかりやすいからその言葉を使ってるだけで、中高生の頃からフリーランスになりたいって思ってたわけじゃないんですよ。
うちは自営業をしていたので、家族の誰もお勤めに行く感じではなくて。友達の親はサラリーマンだった人が多かったんですけど、うちは自営業だったから、僕には「お勤めする」というイメージがなかったんですよね。サザエさん一家くらいしか。(笑)
― サザエさん除く。(笑)
だから、自分の働く姿とサラリーマンとして働くということが結びつかなかったというか。
でも、だからこそお勤めしてみたかったんです。「夢はサラリーマン」的な。(笑)
― 珍しいタイプですね。(笑)
それで大学卒業後は会社勤めして「THEサラリーマン」みたいなものを経験したんです。
みんなが知ってるような大きな会社だったんですが、これはこれで面白いなとは思ったんです。むしろサラリーマン楽しんでました。
― わからないことだったから、一つの興味としてやってみたかったんですね。
僕なりに、サラリーマンとして働くことや、都会暮らしを体験しました。その働き方や生活が嫌だったわけではありませんが、いつかは自営業みたいな感じで働くんだろうなとはずっと思っていました。
― 幼いころから自営業をしている様子を見てきたから、なんとなく、そういう姿が自分にとっての普通みたいなものだと感じていたということでしょうか。
そうですね。 でも、絶対自営業やるぞ!みたいな強い信念みたいなものは全くなかったです。あまり考えてなかったけど、結果そうなったという。
ただ、今、もう一度サラリーマンやるかと言われると、やらないかな。(笑)
― あら。(笑)
今だと、たぶん違和感があるだろうなって思います。
― なるほど。
サラリーマンとフリーランスの両方の働き方を経験し、実感をもって比較ができるようになったから、自分にとってどっちの働き方が良いのかがわかるということですね。
そうですね。はっきりこれって決めてやってきたわけではなくて、なんとなくやりたいことをやってきてた結果として、今気持ちよく過ごせてるなという感じ。流れ着いたというか。
― ちなみに、そうやって流れ着いたフリーランスという働き方をされていて、フリーランスの醍醐味などは感じていますか。
何でも自分で考えてやれるのは楽しいですね。
自分しかいないから、クビになったりとか、人に命じられてどうこうっていうのはないんですよね。当たり前だけど。
― たしかにそうですね。
好きなときに休みたいだけ休めるけど、それだと全くお金にならない感じとか、逆に頑張れば頑張った分結果につながるとか、そういう感じは僕はけっこう好きです。
会社にいると、自分がやる気を出してめちゃくちゃ成果を上げたとしても、月給でお給料を頂くじゃないですか。その感じはあんまり好きじゃないというか。実は競争が好きなのかも。
― 自分で自由に決めて、その分の成果を得る、それがお好きだということですね。
そうですね。
大学受験の時期に、頑張ったら評価されるってことを実感しているので、リターンにリミット(見返りに制限)があるのはできないなっては思います。
― フリーランスという働き方は、自分で自由に考えて、働いた分だけ評価される良さがありますが、その自由には必ず責任が伴ってると私は思います。
その「責任」の部分について、池田さんご自身が感じたり考えたりしていらっしゃることはありますか。
結構ありますね。
例えば、体調管理には常に気をつけています。僕の仕事はお客様が自分を指名してくださる仕事なので、自分が病気になったりしたら代わりがいないんです。責任重大ですよね。
― なるほど。
それから、お客さんに僕に頼んで良かったなって思ってもらえるように、海外のコンテストでの受賞を目指したり、個展を開いたり、なるべく客観的に評価してもらえたりするように、技術的なことも磨いています。
― お客さんは、池田さんという人や、その人が撮ってくれる写真に期待して撮影をお願いしますもんね。
そうですね。単純にきれいな写真を撮ることだけじゃなくて、その写真撮影自体を体験として楽しんでいだきたいという気持ちがあるので、そういう一日になるように、予習やイメージトレーニングなどは欠かせません。だから、大変といえば大変です。
― 予習、ですか。
池田さんがそういう予習をやれる、やってしまう、のはなぜだと思いますか。
やっぱり、お客さんに喜んでもらいたいからですね。
自分が評価されるためにやるんじゃなくて、喜んでもらえれば良いな、というのが一番で。
だから、予習をやらされてる感覚はないですね。楽しいからやってるみたいな。
―うんうん。
目の前にいるお客さんに喜んでいただくことによって、サービスの価値のようなものは勝手に広がってくれるんですよ。SNSのおかげでクチコミ効果がすごいし。
今はカメラの進化がすごいので、誰でもきれいな写真は撮れるんですよね。あと、歳をとると身体も動かなくなるし、センスもどんどん古くなっていくので、若い人ほど良い。
そうすると、写真だけで見ると若くて良いカメラを持っている人が一番良い感じになっちゃうじゃないですか(笑)
でも、自分の目の前にいる人に満足して喜んでもらうことに関しては、若ければ良いというわけではないと思うんですよね。
経験の積み重ねによってレベルが上がっていくというか。
― 経験によって、相手に合わせるための引き出しが増える、というようなことでしょうか。
そう、例えば有名なホテルやレストランのスタッフやウエイターさんって、ダンディーな方がいるじゃないですか。すごく知的でジェントルな。ああいう姿を思い描いて日々自分を磨いています。
― 素敵ですね。
人生を通じて、同じ「フォトグラファー」のお仕事をされてても、自分の年齢によって、仕事に対する向き合い方やお客さんに対する向き合い方も変化していくように感じました。
社会は流動的なものだから変化するのは当たり前だと思いますが、社会と同時に自分の考えも変化しているので、人ってそのことになかなか気づきにくいんじゃないかな、なんて。
【とりあえずやってみたら】
― 最後に、中高生へのメッセージとして言い残していることがあればお聞きしたいです。
僕が総じて言えることは、「自分で決めて、その時心地良いことをやりましょう」ってことかな。
世界を旅してみて強く思ったのですが、どんな事もこれが当たり前、これが世界標準みたいなものは無いんですよね。文化とか宗教も含めると、みんな一緒なんていうのは無理なので。
だから、極論好きにしたら良いんじゃないって思います。自分がどうしたいかが一番大事。
― そうですね。地域によって差はありますが、アメリカの私が留学してたケンタッキー州にもさまざまな国にルーツをもつ人々が暮らしていたので、一つの文化や慣習が常識になるなんてことはなかったし、まず、個人がどうありたいのかということが集団がどうあるかよりも優先されていました。
僕らの時って、まだ今に比べると情報が少なかったから、みんなが見てるテレビや雑誌はほとんど一緒だし、とりあえず流行りに乗って「皆と同じにしておけ」的な感じが強かったように思います。
でも、今はSNSやYouTubeなどによって情報がボーダレスに得られるから、周りとはちょっと違っても、世界のどこかに会う人がいるかもと思えたり、人と違っても生きていけるかもって感覚を持つことができるようになってきているんじゃないかなと。
逆に自分からの情報発信も簡単にできますしね。だから、人と違うという選択をすることを恐れずにいて欲しいですね。
― そうですね。
やりたいことって、考えて見つけるのは無理で、実際にやってみないと、それが本当にやりたいことなのかもわからないと思います。ずっとやりたいと思ってたことを実際にやってみたら、全然想像してたのと違ったとかもよくあるし。
だから「とりあえず一回やってみたらどう?」って思います。で、合わなければ辞めたらいいですし。
― 同感です。
何でもかんでもやれば良いって話ではなく、やってみたら、自分にとってやりたことなのか、やりたくないことなのかっていうのはわかりますが、やらなかったら、それもわからないですから。
ー それから、最後は自分で決めきることが大事ってこともおっしゃっていたんですが、このことも私、とっても共感しています。
私がこうした活動をしているのも、子どもたちが、自分にとっての幸せは何なのかていうのを考えて、それを自分で決めれば、失敗したとしても納得いくものに変えられると思っているからなんです。
そうですね。「自分で決める」のはすごく大事ですよね。
自分で決めるとき、「こっちの方が安定してる」という理性的な基準と、単純に「やりたい・やりたくない」という本能的な基準とがあると思います。「常に本能に従え」みたいな決めつけたことも言えませんが、「必ずしも世間一般の人たちが選ぶほうを選ばなくても良い」ってことは伝えていきたいですね。
― 私もそうしていきたいです。
自分の中で「気持ち悪い」って時は違和感があるってことなので。そういう意味で「気持ち良く」決めて欲しいです。
それにしても、こういう話は自分が中高生の時に聞きたかったなぁ。(笑)
― 私もそう思います。
だからこそ、今、私たちが率先して子どもたちにお話ししていきましょう。今回、池田さんとお話させて頂いて、自分の価値観を大事にして、自分の気持ちに正直に進路を選択していくことの重要さについて、改めて考えさせて頂きました。
子どもたちそれぞれが、「これが自分なんだ」って思って生きていく、そんな教育をこれからもしていこうと思います。そのために、まずは私自身、そして身近な大人から、等身大の大人でありましょう。(笑)