2022年9月1日 隠岐諸島・島前
9月、取材で隠岐諸島の島前(どうぜん)地域に行った。隠岐諸島というと、その名前の通りいくつかの島々からできていて、そのなかでも島前と呼ばれているのは、海士町(あまちょう)、知夫町(ちぶちょう)、西ノ島町の3島。
もうすでに記事は公開されているけれど、今回の取材は海士町を中心に島前地域で活動する一般財団法人 島前ふるさと魅力化財団のスタッフと、海士町の名前を世に知らしめた高校魅力化に関わるスタッフ、そして1ヶ月間島での暮らしを体験できる大人の島留学生の募集という、3本立て。
3本立てという特別な案件だったので、取材にも編集者2人で赴き、コラムと特集ページもつくった。興味がある人はこちらからぜひ読んでみてください。
僕自身、島前の海士町に行くのは2回目で、1回目に行ったときのことはすごく覚えている。なぜかというと、まず行くまでがとにかく遠い。
羽田空港からだと、米子空港経由で境港まで行き、そこからは船になる。境港から高速船レインボージェットに乗ると2時間たらずで、隠岐汽船のフェリーとなると境港から七類港まで移動して、フェリーで3時間ちょっと。これも時間が噛み合ったらいいのだけれど、飛行機の時間と出航時間が噛み合わないと、一日を本土側で過ごさなければいけないことになる。
今回は直近で海士町に行ったスタッフが抜け目なく手配してくれたおかげですんなりと海士町まで辿り着くことができた。これから初めて行く人は、船の時刻表にらめっこしながら行程を考えるのをおすすめする。
久しぶりの海士町は、いい意味で変わっていなくて、いい意味で進んでいた。たとえば、高校魅力化プロジェクト。これは、人口が減少しつつある地方の学校で、地域独自のカリキュラムをつくって学校の魅力を高め、地域外からも入学者が来るような流れをつくろう、というもの。
この仕組み自体は昔からあって、とくに海士町の島根県立隠岐島前高校はその先駆けとも言える学校なのだけれど、今はその次のステップである、学校を卒業した人が島に関わり続けるにはどうすればいいだろう、という課題に取り組んでいる真っ最中だった。
その一つの突破口が、島体験や大人の島留学という制度。島外の人が島の暮らしと仕事を体験できるようにしようという取り組みで、とくに大人の島留学はこれからさらに伸ばしていきたい取り組みだと、取材させてもらった人が熱く話してくれた。
これから先、人口が減り、学校が統合され、若者がまちから巣立ったまま帰ってこない、という場所は増えていく一方だと思う。そのなかでも、どうやって地域に関わってくれる関係人口を増やせるか。そしてゆくゆくは定住したいと思ってもらえる地域にするか。先延ばしにしたくなる問題を、あらためて自分の頭で考えさせられるような取材だった。
今回の取材では2泊したのだけれど、どうやら海士町で大きなお祭りがあったらしく島内での宿がとれず、2泊ともお隣の西ノ島にある国賀荘という宿に泊まらせてもらった。
この宿が名前の通り由緒ある宿で、かつては皇室の方も訪れたことがあるらしい。場所もすごくよくて、朝の部屋から見える景色は絶景だった。島前には宿は意外と多くあるけれど、これから行ってみるという人はぜひ国賀荘もおすすめしたい。なにより親から宿を受け継ぐために島に戻ってきたという支配人さんがとてもいい人だった。
取材も十分できたし、取れ高もバッチリ。そして記事も無事公開できたいま、残るはいいご縁につながることを祈るのみなのだけれど、一つだけ悔いが残るとすれば、せっかくの海士町でおいしいご飯にありつきそこねたこと。
移動時間の関係とか、お弁当用の箱がありませんと言われたこととか、ご飯がまだ炊けていなくて…とか、不運が重なったからなのだけれど、夕食は宿でカップヌードルという、ある意味趣のあるものになった。海士町に行く人は、港のすぐ近くにお肉屋さんがあって、そこでおいしいお肉を食べることができるのでぜひ行ってほしい。
ちなみに悔し紛れでなくいうと、このとき食べたカップヌードルはマジでおいしかったのでおすすめです。「オリーブ香るSIO」。今度見つけたら絶対買おうと思う。
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