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インタビューという山を歩く
※この文章は、日本仕事百貨のニュースレターに寄稿したコラムを加筆修正したものです。ニュースレター登録はこちらから。
数年前から、求人に関係ないインタビューを個人の活動でするようになりました。
知り合いづてで話を聞かせてくれそうな人を探して、1時間ほど時間をもらって話を聴く。ほとんどが初対面の人です。
これまでの人生とか、仕事の話、家庭の話、そしてこれからの未来の話など。私に聞いてもなにもないですよ、なんていう人でも、聞いてみるといろんな興味深い話が出てくるものです。
つい最近も、あるバリスタの方にインタビューさせてもらいました。
その方は両親がコーヒー好きで、小さいときは豆を挽くミルを兄妹で取り合っていたそう。そのほかにも、バリスタになろうと思うまでの面白い話がたくさん。
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インタビューで大切なのは、ただ聴くことに徹する、これだけです。
人の話をちゃんと聴く姿勢というのは、意識して訓練しないとなかなかできないものだと思っています。
メモも取らず、ただ相手が繰り出す言葉の数々を受け止めて、自分のなかに納めていく。
これは日本仕事百貨的なインタビューの方法ではありますが、その繰り返しがインタビュアーとしての技術につながっていきます。
たとえるならば、話し手が山に登っていくのを後ろからついていき、一緒に景色を見る感じ。ときおりこっちの道に行ってみませんか、と言葉を挟みながら、一緒に頂上を目指していく。
聴く人によって話し手が歩く道が変わり、見える景色も変わる。それがインタビューの面白いところであり、難しいところでもある。
興味がある人は、一度会話のなかで「聴くモード」を少しつくってみるところからはじめてみるといいかもしれません。意外な面白い話が飛び出してくるかもしれません。
(稲本 琢仙)