『ぽっぺん先生と笑うカモメ号』のイカれ方
ぽっぺん先生シリーズというのは、ぽっぺん先生とあだ名される独身中年の大学助教授が、毎度毎度、ヘンな世界に飛ばされて、どうにかこうにか こっちの世界に戻ってくるという、児童書なんだけど児童書っぽくないシリーズのことです。
小学5年生の頃にどハマりしたのですが、特にこの『笑うカモメ号』の世界観が好きで、図書館に行ってはどっぷりと浸っていました。
〔以下は私の記憶の中にある断片です〕
まず、ハードカバー版のカエシに書いてあったランボォの『酔いどれ船』の一説。
「…人が見た気でいたものを、僕はこの目でしかと見た」
本編では、岬にある別荘に来ていたぽっぺん先生のところに、傷ついたカモメが迷い込んで来るところから、いきなりドラマが始まります。
・成り行きで「東東」という謎の進路へヨットで向かうことに。
・中世の客船に潜り込んだら、子どもの身体になってしまい、体格の良い貴婦人たちに弄ばれてしまう。
・命からがら逃げ込んだ部屋にはサバトの大ヤギの像が。
他にも「飲むとクチの中で火薬が弾ける『国家コーラ』」など、小学生の私には新鮮過ぎる世界でした。
西洋の悪魔崇拝を児童書に落とし込むって、斬新ですよね。
当時は『オーメン』や『エクソシスト』も公開されていましたが、ホラーやオカルトという先入観なしに読んだため、余計に印象に残っているのかもしれません。
現代を生きる子が読んだら、どう感じるんでしょうね。
ちょっと気になります。