いま思えば、わたしにとっての聖域だったんだな
時折ふと思い出す光景があって。ひらひらと雪が降ってきた、旅行先でのこと。心を洗いに出かけた先でのことでした。
わたしは自分の身に何かが起こると、「こんなことがあった!」とすぐさま言いたくなる方で。良いことも悪いことも、どちらだってそう。感情の昂りに合わせ、会う人、会う人に言いたくなる。思い当たる理由とすれば、共感を欲するがゆえなんだろうな。
当時もしきりと言いふらし。言うたびに心が満たされたような。でも一過性のインスタントでしかなく、刺激を求め、他の聞いてくれる誰かを探し求める。するとどうなるか。自分の意見が消え失せてく。これ、ホントですよ。
いつも外側へ答えを見つけに行こうとしたから、なんだろうな。内から湧く思いに、鈍感どころか、無反応へなってました。
何やってんだか。空っぽな心うちに気づき、ぼんやりしたのを覚えています。タイミングも合わさり、「そうだ。ひとり旅へ出よう」と思い立ちます。
あまり旅慣れてもなく、ましてや、おひとり様。誰も気にしてないだろうけど、ひとりドキドキ緊張して向かいました。行き先は京都にある天橋立。日帰りで幾度か行ったことがあって。なんとなく大丈夫そうな。そんな予感を携えて行きました。
わたしはお酒が好きだけど、弱いのです。旅館の美味しいご飯と、一杯のお酒でほろ酔い気分。ガチガチの緊張感はどこかへ飛んでたのです。
ときは2月。ふと窓の外を見れば、ちらちら雪が舞い始めて。窓の外のライトアップのおかげで、夜の闇の中とて鮮明に見える。ぼーっと見るとはなしに、わたしは見つめてて。
ようやっと自分の心の声へ耳を傾けたような。格別ステキな言葉が出てきたでもないけど、穏やかな無音を楽しんでて。スペシャルな自分である必要もない。ただそのまんまで良い。優しくあれた瞬間だった気がします。
厳かでも、不可侵でも、そんな大そうなもんでもないけれど。わたしにとって、特別なひとときだったなー。時々思い出します。エネルギーチャージしたものな。
そっと癒された空間だったのでした。
では また
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?