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さいごは心も納まった、今年の年納め
目まぐるしかった仕事納めまでの3日間。シフトの兼ね合いで、まさかの現場仕切り役となってしまった。
司令塔の役目は苦手なんだって。泣きそうになりながら駆けずり回る。しれーっと薬剤師人生が終わるミスをしてるかもしれない。未来に起こりそうな不安を抱えつつ、目の前の仕事に悪戦苦闘する毎瞬間。ラストにかけてもはや自分が何を喋ってんだか、分からなくなってました。
それほど忙しかったのに、わたしが動向を気にかけちゃった人がいる。今年の夏ごろに色々もめて、なんとなく遺恨のある間柄となってもた。
わたしは病院勤めゆえ、相変わらずマスクは必須。だから顔は上半分しか見てとれない。そんなわずかな情報源からの表情なのに、やれ眉間にしわが寄っただの、目が険しくなっただの、相手の不機嫌を感じ取ろうとする私がいる。
察知したらば、途端に過剰な気遣いをしちゃう。だってわだかまりってイヤなんだもの。自己防衛からの行動。こころの傷を負いやすい性分ゆえかしら。
なんとか仕事を終え、仕事納めも無事完了。ふいいーと息を吐くように、帰りの電車にて深く腰掛け、スマホを操作してたんです。
「あ、スミマセン」
女性が隣に座ろうとして、私に当たってしまったようで、おっしゃいました。
え?ちょっと待てよ。この声って○○さんじゃね??わたしは恐る恐る降り仰ぎ。
そう、やっぱそう。日中にとっても気を使った相手だった。向こうもわたしと気づかず座った様子。途端に心臓がバクバクです。
ええい、ままよ。トントンと肩をたたき、「あのー」と声かけ。気づいた瞬間、互いにあばば、オロオロと車内で慌て出し。しばし狼狽えておりました。
その後の会話はどうなったかって。それがね、日中のあれだけの懸案事項がウソだったかのように、穏やかな時間が流れてく。
話した内容は他愛無いものです。剣を突き合わせたような、トゲトゲしたものなんて一切なし。過ぎゆく時間と共に、スルスルと自分の心が解けてった。
「来年もどうぞよろしくお願いします」
最後はそんな挨拶をして、互いの帰路につきました。
わたしの杞憂という、心配し過ぎもあったのかもしれない。警戒MAXで対応してたのかも。仕事納めだけじゃなく、最後は心も、納まるところへ納まったんだな。ひとり感慨深く家路に着いたのでした。
では また