夏の坂道
好きなもの、あった。
理由は分からない。でも無性に好きなのだ。
昨日の記事にて、好きを見つけたいと書いた。
きょう歩いてたら、そうだ! あった! と思い出した。
この時期ならではの「道」だ。
100メートルと満たない坂道。
わりと急な勾配で、乗ってた自転車も降りて、押さなきゃいけないくらい。
この坂道を越えると、我が家が見えてくる。
わたしはこの坂道を、夏の照りつける太陽の下で歩くのが好きだ。
住宅街の抜け道なので、人とすれ違う方が珍しい。ぽつねんと、わたしがひとり歩いていく。歩くそばから汗が滴り落ちる。セミがうるさいくらいに、わんわん鳴くのを聞きながら、黙々と坂道を登る。
なんてことのない、どこにでもありそうな状況だ。でもわたしは、この坂道を夏のクソ暑い日に登ってる時間が好きだ。
あいみょんのマリーゴールドを初めて聞いたとき、坂道を登ってるときの感覚と既視感があった。
マリーゴールドには、ちっとも坂道なんて出てきやしないのだけれど。でも、「あ! 似てる」と感じたのだ。
今年も暑い夏がやってきた。例年になく、駆け足でやってきた。駆け足過ぎて、セミはまだ眠ってる。蝉しぐれのBGMは、もうちょっと先になりそうだ。
自分の体感覚を澄まし、今年も坂道を何往復もする夏が来た。暑さから無心になって、坂道を登る。
わたしは「無心」が好きなのかもしれないな。
好きのヒントをもらった気がした、今夜だった。