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その心



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 「それからというもの、僕は来る日も来る日もありもしない夢と現実の落とし所を探して彷徨い続けていた。」

 …いや、この書き出しはキツくない?まず、「ありもしない夢と現実の落とし所」っていうワードチョイスがギリギリ何言いたいのかわかんない感じで、どう続けるつもりなのか疑問。いや、すごくギリギリを攻めたい気分の時もあるから一概に全否定するつもりはないんだけど。まぁ、そういう書き出しをするってことは、その時点で今日はそういう感じなんだなっていうのを自覚できればいいと思うよ。うん。確かに崩しのレパートリーを増やすためにはね、やっぱり実戦経験は大事だから。こういう一人で書いてる文章も模擬実践になると考えればそう悪いやり方じゃないような気もする。

 とにかく今は書いて書いて書きまくるっていうモードだと思うよ、本当に。頭の中を整理するとかいう以前の問題で。とにかく黙ったら負け、黙ったら負け、手が止まったら負け。あらゆる呼吸の仕方を開発すればいいだけだから。詰まったら別の道に進むなり、可能であれば障害物を破壊してもいいけど、まぁ急がば回れだからね。信じていれば必ず次の手が見えてくる。無意識ってのは流体か、じゃなければ気体だからさ。どんなに細い道でも、意識が塞がなければいずれは通れる。諦めるから通らなくなっちゃうんだよね。というか、逆に言えば、どんな障害物でも結局はそれは自分の意識が作り出したものだから絶対に自分で取り除けるんだよ。これは本当、そうだと思うよ。まぁ時間経過で開く道みたいなのもあるから、黙っておくのも実はテクニックの一つとして大事なんだけど。でもそれは諦めるっていうのとは違うから。そこは押さえておきたいよね。

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 僕が口を出せる領域を探す。そういうこと?俺が口を出せる領域ってなんだろう。なんで口出すの?マウントを取りたいからでは?違うか?口が出せないと自分の意見が言えなくて、生存が脅かされるから?その可能性はあるか。話聞いてもらえないって辛いよね。わかる。どしたん、話きこか?みたいな話でしょ。話聞いてもらえないくてしんどい〜からの、どしたん、話きこか?って話か。わかるなぁそれ。でも自己開示したいよね誰でも。そうでもない?できる人にはしたいっていう話で。じゃあ僕は何をすべき?口を出すべき?それとも聞くべき?それとも、その間?なんだその間って。なんなんだ、その間って。しばらく考えてたけど何も出てこない。よし、もう少し考えよう。もう少し待とう。そしたら出てくるかもしれない。

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 自分で自分を追い詰めて、追い詰められた先で新しい呼吸の仕方を身につける。少し浮世離れしてるくらいがちょうどいいのかもしれない。僕は僕のロールモデルというものを見つけることができていない。どんなに金を持っていても死ねばそれで終わり。社会でやっていくためには殺意で黙らせてから赦すという手段がある。もちろん大事なのは赦しね。赦しがないと俺が社会的に死ぬことになるから。それは本末の転倒というものなのです。逆に言えば赦しがデカければデカいほど、持てる殺意もデカくなるということですね。赦しの少ない人は持てる殺意も少ない。殺すぞって言っちゃったら負けなんですよ。これってすごく男社会的な発想なんだけど、まぁでも残念だけどこれは現実なんです。わかるかな。渋谷をまっすぐ歩くコツなんですよこれ。昔、渋谷で「歩く練習」というのをしていた時があった。自分がわからなくなった時とかに、渋谷に行って歩くという。なぜ渋谷なのかというと家から一番近いところにある一番混沌とした場所だったから。そこでちゃんと歩ければ、基本的にはどこに行っても歩ける。歩ければ、大丈夫。そういう話で。やっぱり歩くのって大事なんだよね。

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 僕にとってはこうやって文章を書くのは瞑想に近い。瞑想といっても、もしかしたら粘土細工にも似ているかもしれない。いらない部分を取り除いたり、こねたり作り直したりして、グニャグニャの中に何かまっすぐなものを見つけ出そうとしている。兎にも角にも、まずは精神性。それすなわち身体性。そこだけは外しちゃいけない。そこがなくなったらもう何もない。僕はある意味、先に人生のコンパスだけ作り上げてしまったタイプなので、思う存分迷えるというか。逆にもしかしたらこれは他の人にはない強みかもしれない。僕は迷うことを恐れていない。だから、自分の持ってるコンパスも、これは最初はめちゃくちゃ狂いまくっていたからまずはこれを調整したわけなのでその時点で既にめちゃくちゃ迷いまくってたんだけど、逆にこれからは他の人から見たらあいつどっちに向かって歩いてんだというような方向でも歩いて行けるわけだ。あとはもう、自分の人生がとっちらかっていくのを眺めていくだけだ。別に綺麗に収まりがついてなくていいじゃない。そんなうまいやり方を僕は望んでいない。型にはまらなくていいじゃない。何も心配はいらない。

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