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元日? 元旦? プロでも間違えやすいワード

「フリーランスライターのブツクサひとり言」第31回

お正月の話題に関連してひじょうに多く目につく誤りが「元日」と「元旦」を混同しているケースです。

結論からいうと、それぞれ次のような意味があります。
元日……1月1日のこと
元旦……元日の朝のこと

たとえば「能登半島地震が元日に発生した」と書くのは誤りではありませんが、「能登半島地震が元旦に発生した」と書くのは誤りです。地震の発生は1月1日の16時10分ですから、元旦(=朝)ではないわけです。


元旦は元日の朝のこと

もうひとつ、よく目につく漢字表記の誤りに「弱冠」と「若干」があります。
ある少女モデルを取り上げた記事の見出しで「若干12歳……」というワードが目につきました。ライターは記事を配信しているメディアの編集長でした。
編集長クラスでも、こんな間違いをしてしまうのですね。

「若干12歳」のどこが誤りか、お分かりでしょうか。

「若干」は「数量を特に定めてはいわないが、さほど多くないこと」の意味で、年が若いことの表現には使いません。だからここは「わずか12歳」あるいは単純に「12歳」と書いておけば間違えることはなかったのです。

もうひとつ考えられるのが、先述した「弱冠」と間違えたのではないかということ。よく若さを表現したいのか「弱冠○○歳」と書いたりナレーションされたりしています。

「弱冠」は男子の数え年二十歳のことです。これは古代中国「周」の制度で、二十歳の男子を「弱」といい、そのときに元服して「冠」をかぶるところから生まれた語だとされています。
つまり二十歳の男子に限定した言葉ですから、二十歳以外の年齢を指すことはありませんし、女性には使いません。

この編集長は「年が若い」を表現したかったのでしょう。たまたま「じゃっかん」という言葉もご存じだったのかな。だから「若」という字が入っている「若干」と書いてしまったと推察されます。ご本人に確かめたわけではありませんが、たぶん中らずと雖も遠からずではないかと愚考します。

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