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こんな契約書は不平等契約だ!

「フリーランスライターのブツクサひとり言」第20回

ライターが一方的に責任を負わされる不平等な契約に注意しましょう。
契約当事者の片方にだけ不利な条件や責任を負わせる契約を「片務契約」といいます。
社会人経験がないままSEOからスタートした若いライターでも、学生時代に経営や法律を学んで多少の知識がある人には見破れるはず。しかし、片務契約に気づかないまま仕事を請け負ってしまうケースが、決して少なくないと聞きます。


契約書にサイン押印する前によく読んで理解して

実際に経験した事例です。
10年ほど前、ある制作会社から原稿のオファーを受けました。
これは、私と制作会社との業務請負契約になります。

制作に関しては、メディアから制作を請け負っている制作会社とメディアとの業務請負契約になります。

ですから私とメディアとの間に契約関係はありません。
ところが制作会社とメディアが交わした契約書には、ライターの責任について書かれた文言がありました。

ライターが対象者を取材して原稿を作成するとの観点から、内容について第三者から苦情の申し立て等があった場合はライターが責任を負うものとする。

このような条文でした。
一見すると理屈が通っていそうですが、じつは典型的な不平等契約なのです。しかも契約書の文言としては長めです。これだと読み手によって解釈が変わる恐れがあります。
契約書の文言には説明的なことを書かず、誰が読んでも同じ解釈になるよう要点を押さえて簡潔に書くことが基本です。

取材をして原稿を書く。これはたしかに、ライターの役割です。
問題は責任の所在です。
ライターが原稿を納品する先は、制作会社です。制作会社はたんにメディアとライターとの中継所ではありません。原稿を校正したり内容に誤りがないかをチェックしたりして、メディアに制作物を納める責任を負っています。ですから、原稿に関して責任を負わないはずがありません。

一方、メディアは、制作会社から納品された制作物を検収し、内容に誤りがないか、要すればメディアでも校正を行って完成度を高めます。そしてなにより、成果物を世に出す以上は内容に関して全責任を負う立場にあります。
ですから、ライターにだけ責任を負わせようとする契約は筋が通らないわけです。

契約書の文言がまわりくどいと思ったら、いちど立ち止まって文章に書かれてある意味をよく読み解きましょう。

私の経験則をいえば「文言がまわりくどい」「理屈っぽい」ときは、たいてい片務契約です。
責任の所在については、メディアが最終的に吸収してくれることが理想的です。しかし現実はそれも難しいので、最悪でも同じ割合で責任を持ち合うことで合意を図りましょう。

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