発達障害と知的障害の違い
はじめに
この記事を書こうとした理由は、とあるドラマを見た事によるものです。
皆様は【聖者の行進】というドラマはご存知でしょうか、今から20年以上前のドラマになりますが、僕が最近初めて視聴して衝撃を受けました。このドラマは知的障害者の主人公が様々な困難に立ち向かうドラマです。
このドラマを見てひとつ気になったことがあり、それは今回のテーマである、発達障害と知的障害の違いについてです。僕は発達障害ではありますが知的障害ではありません
今回はどんな違いがあるかまとめました最後までご覧下さい。
発達障害と知的障害の違いとは?
「発達障害」と「知的障害」は、いずれも脳の発達や機能に関する障害ですが、具体的には異なる特性を持っています。この2つを混同してしまうケースも多いため、正しい理解が重要です。この記事では以下の観点から両者の違いを解説します。
• 脳の構造や機能の違い
• 先天性の違い
• 知能指数(IQ)の影響
• 支援が必要な領域の違い
• 貰える手帳の違い
• 両者が併存するケース
それぞれの違いを知ることで、適切な支援や対応の理解が深まり、本人や周囲がより良い環境を整えるヒントになります。
1. 脳の構造や機能の違い
発達障害と知的障害では、どちらも脳に関係する障害ですが、影響を受ける脳の部位や機能が異なることがポイントです。
発達障害:特定の機能に影響
発達障害は、脳内の特定の神経ネットワークや情報処理機能に違いがあるとされています。主に以下の3つのタイプに分けられます:
① 注意欠陥多動性障害(ADHD)
• 脳の前頭前野が関与:注意力や集中力、衝動性のコントロールが困難になる。
• 具体例:授業中に集中できず席を離れてしまう、思い付きで行動してしまう。
② 自閉スペクトラム症(ASD)
• 脳の神経接続の異常が指摘されている:社会的コミュニケーションや感覚処理に難しさが現れる。
• 具体例:相手の意図を読み取れず会話が成り立たない、特定の音や光に過敏になる。
③ 学習障害(LD)
• 脳の特定領域の情報処理の違い:言語や数字の処理に困難が生じる。
• 具体例:読み書きや計算が極端に苦手だが、他の分野では能力が高い。
知的障害:全般的な発達の遅れ
一方、知的障害は脳全体の機能低下や損傷に関係します。具体的には:
• 全体的な知的能力が平均より大きく低い(IQ70以下)。
• 学習能力や問題解決能力が低く、日常生活全般に困難を抱える。
具体例
• 簡単な計算や読み書きができず、日常の買い物や金銭管理が難しい。
• 会話や意思疎通がスムーズにできないため、周囲の支援が必要になる。
発達障害が「特定の機能に影響を与える」のに対し、知的障害は「全体的な能力の低下」が特徴です。
2. 先天性の違い
発達障害と知的障害はいずれも先天性の要素が強いですが、発症の原因やメカニズムには違いがあります。
発達障害:原因は多因子性
発達障害は以下のような要因が複雑に絡み合うとされています:
• 遺伝的要因:家族に同様の特性を持つ人がいる場合、発達障害のリスクが高くなる。
• 妊娠中の環境:母親の栄養状態やストレス、感染症などが影響を与える可能性がある。
• 神経発達の異常:胎児期から脳の発達に微細な違いが現れる。
現在も研究が進められていますが、明確な単一の原因は特定されていません。
知的障害:原因が特定されやすい
一方、知的障害は比較的明確な原因が特定されることが多いです:
• 遺伝子や染色体異常:ダウン症候群やフラジャイルX症候群などが代表例。
• 胎児期や出産時の問題:妊娠中のアルコール摂取や低酸素状態が脳に影響を与える。
• 後天的な要因:幼少期の脳炎や頭部外傷が原因となることもある。
このように、知的障害は具体的な物理的要因が関与するケースが多いのが特徴です。
3. 知能指数(IQ)の影響
知能指数(IQ)は、発達障害と知的障害を区別する際の重要な基準の一つです。
発達障害のIQ
発達障害の人のIQは、平均~高い水準にある場合が多いです。
• ASDの場合:IQが高くても、社会的スキルの困難や感覚過敏で生活に支障が出ることがある。
• ADHDの場合:知能は平均的でも、注意散漫や忘れ物の多さで学業や仕事に困難を抱える場合がある。
ギフテッドとの関連
発達障害を持つ人の中には、特定分野で卓越した能力を発揮する「ギフテッド」と呼ばれる人もいます。例えば:
• 数学において高度な問題を解ける。
• 音楽や芸術で特異な才能を示す。
ただし、才能がある一方で、日常生活での適応が難しいケースも見られます。
知的障害のIQ
知的障害の人は、IQ70以下であることが診断基準となります。さらに:
• 軽度(IQ50~70):基礎的な日常生活は自立可能だが、複雑なタスクには支援が必要。
• 中度(IQ35~50):日常生活の多くの場面で支援が必要。
• 重度(IQ35以下):全面的な介助が求められる。
IQの低さは、日常生活や学習におけるハードルの大きさを示しますが、一人ひとりの能力に合わせた支援が可能です。
4. 支援が必要な領域の違い
発達障害と知的障害では、支援が必要な領域にも違いがあります。
発達障害:環境調整が重要
発達障害では、特性に応じた環境の調整が鍵になります。
• ADHD:時間管理ツールの活用、集中しやすい環境づくり。
• ASD:コミュニケーションの工夫、感覚過敏に配慮した環境。
• LD:学習障害の特性に応じた教材や教育法の採用。
支援のゴールは、本人の特性を活かしながら、生活や社会参加のしやすさを向上させることです。
知的障害:生活全般の支援
知的障害の場合、生活全般にわたる支援が必要です。
• 食事や身だしなみのサポート。
• 就労に向けた基礎的な訓練や指導。
• 社会的スキルを向上させるプログラムの提供。
日常生活を安定して送るための支援が中心となります。
5. 貰える手帳の違い
日本では、障害者手帳の種類が異なることで受けられる支援内容も変わります。
発達障害の場合:精神障害者保健福祉手帳
• ADHD、ASD、LDなどの発達障害は精神障害者保健福祉手帳が対象です。
• 精神科医や臨床心理士の診断をもとに取得可能。
• 公共料金の割引、就労支援サービスの利用が可能。
知的障害の場合:療育手帳
• 知的障害の場合は療育手帳が交付されます。
• 障害の程度(軽度・中度・重度)に応じて支援内容が異なる。
• 医療費助成や施設利用、税金の軽減など、生活全般で幅広い支援を受けられます。
6. 知的障害と発達障害が併存するケース
知的障害と発達障害が併存するケースもあります。特にASDでは、知的障害を伴う割合が高いとされています。
• ASD+知的障害:社会的スキルの困難に加えて、生活全般の支援が必要。
• ADHD+知的障害:多動性や衝動性に加え、学習や適応能力の支援が必要。
こうした場合、発達障害と知的障害の両方に対応した支援を組み合わせることが重要です。
終わりに
発達障害と知的障害は、それぞれ異なる特性を持ちながら、社会的な支援を必要としています。
正しい理解を深め、個々の特性に合った支援や環境を整えることが、本人にとっても周囲にとっても重要です。本記事が、障害への理解を深める一助となれば幸いです。
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