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君の部屋で


僕は君の部屋へ向かう

どのルートを辿ろうか

時計を確認しながら

少し思案する


そして、目の前に映る

美しい稜線を目掛け

僕は動き出す


ふたつ並ぶ小高い山の頂上まで

慎重に

ゆっくりと登る


回り道ではあるが

このふたつの山には

登らなければならない


決め事?

或いは君の部屋へ訪れるための

儀式とでも言おうか


どちらにしても

そのふたつ並ぶ山を

僕はとても気に入っている


名残惜しみながら

ふたつの山をあとにして

先に進む

途中、小さな窪みに

わざわざ通ったりして


茂みを抜けると

目的の君の部屋の前


君の部屋のドアは

既に開かれ

僕を歓迎してくれているようだ


僕はすぐに入って良いのかと

部屋の入口付近を

暫くうろうろとする


やがて決心した僕は

ゆっくりと君の部屋に入る


君の部屋はいつも温かく

君は小さな歓声と共に

僕を迎え入れてくれる


だが、残念な事に

幸福な時間はそう長くは続かない


君が冷たい態度に変わってしまうとか

そういう事ではなく

これは僕自身の問題だ


僕はいつでも

自分の思いとは関係なく

君の部屋を数分で去る事になる


幸せな時間を

君の部屋で

ずっと過ごしていたいのに


今日は3分しか

居られなかった


君はいつものように

僕が散らかした部屋を

さっと片付ける



背後から

チッという君の舌打ちが聞こえた





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しめじ
ゆる~く 思いついたままに書いてます 特にココでお金稼ごうとは思ってませんが、サポートしてくれたら喜びます🍀😌🍀