◆不確かな約束◆しめじ編 第11章 三つ折りのメモ
カフェ Promised Place へ向かう間、私は何度もバックの中に手を入れては、シュシュがある事を確認した。白地の部分が黄ばんでいるし、そもそも水玉のシュシュなんて子供っぽいから、ずっと着けているのは恥ずかしい。店に入り、席に座ってからすればいいと思った。今は。背中まで伸びた髪を茶色いゴムでひとつに束ねている。
シュシュを握りしめながら〈シュウが来てくれますように〉と祈っていた。ここにきて会いたいという気持ちが更に強くなっていた。
店があるはずのビルの前にたどり着いた。時間はまだ18:00を少し過ぎたところだろう。7年前と同じビルではあったが、建物にはどの階にも明かりは点いていなかった。
〈しまった。このパターンがあることを考えてなかった〉
手に嫌な汗が滲んできた。
〈どうしよう⁉ このままここで待っていようか?〉
そうするのが、一番いいように思えた。約束のの時間まで、まだ時間があったので、2階へ上がる階段への通路に入ってみた。薄暗く、埃臭い通路を進んでいくと、階段の手前にポストがあった。そこには直前まで入っていたのであろう、各店舗の名前がまだ貼りつけてあった。下から二段目の左隅に〔Promised Place 〕と書かれた貼り紙を見つけた。
私はカバンの中からシュシュと手帳を取り出した。手帳のメモ欄にメッセージを書き入れ、そのページを丁寧に破り取り、縦に三つ折りにしてシュシュに巻きつけた。そしてそのシュシュを〔Promised Place 〕と書かれたポストの隙間に、落ちないように引っ掛けておいた。
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僕は足元に落ちた紙を拾い、三つ折りにされたその紙を開いた。そこには、懐かしいユキの小さく几帳面な文字が並んでいた。
シュウ 来てくれたのね。ありがとう。お店、なくなっちゃってたね。残念。ずっとあなたに会いたかった。あなたの声を聞きたかった。私の決めた事で、あなたを戸惑わせてしまってごめんなさい。この7年でいろんな事があったでしょうね。私もそれなりに、いろんな人と出合い、様々な経験をしたわ。そして少しは大人になれたような気がする。あなたと一緒にいた頃とは違ってしまっているのかもしれないけど。あなたはどんな人になっているんでしょう。会いたい。話しをしたい。この7年分を埋められるくらいに。
〈ユキ、会いたい って。いないじゃねーかよ!〉
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