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『日向坂で会いましょう』で貴方にふれたくてへにょへにょと差し出す

今年も『日向坂で会いましょう』おもしろかったですね。

今回は加藤史帆、東村芽依、丹生明里、濱岸ひよりの4名の卒業メンバーを送りだす卒業企画。加藤史帆たっての希望で実現した企画は5年ぶりに行うカスカスラジオ。【卒業生をカスカスラジオで送り出しましょう!!】。この番組が『日向坂で会いましょう』に改名した当初に行われたラジオ風トーク企画だ。

leminoで配信されている完全版にて、彼女たち4名の最後の『日向坂で会いましょう』出演を見届けた。胸をよぎったのは時代の節目だった。今回を以って『日向坂で会いましょう』の一時代が終わった気がした。言葉が定まっていない。すこしずつ掴んでいきながらここに書き置くことにする。

2024年だけで6名の卒業を見届けた日向坂46。4期生の躍進もあった。日に日に世代が移り変わっていく様をわたしは見守っていたけれど、何かが”終わった”という感覚をおぼえることは微塵もなかった。この回で明確に「時代が終わった」と思った

4名それぞれに思い出がある。思い出話は冗長になりがちなので割愛するがひとつだけ言うとしたら、濱岸ひよりがオードリーが、まるで親戚の集いを見てるかのように遊んでいる様子はいつまででも見ていたくなるくらい愛らしい空間だった。あの3人の関係性はそこがまるでテレビの世界じゃないかのような、ともすればビジネスパートナーではない人間関係があった気がする。宝塚ロケはいつか絶対に実現してほしい

オードリーと濱岸ひよりだけが特別な関係を築いていたわけではない。普遍的に日向坂46とオードリーとの関係はある種の信頼の上で成り立っていると思うのだが、濱岸ひよりはオードリーとじゃれあう様子はそこにある温かみのようなものをもっとも感じさせてくれていた。

加藤史帆は『日向坂で会いましょう』を創めた人物だ。だから『日向坂で会いましょう』は一時代を終えるのだ

もちろん番組を盛り上げるためにメンバー全員が一丸となって奮闘した、それは前提がある上で、加藤史帆は偉大だった。若林が大好きな加藤史帆、その一方的な愛情表現はオードリーとの関係性の基礎体温をつくった、とわたしは思う。

佐々木久美や富田鈴花がコメントやガヤ、取れ高などの技術分野を耕したなら、加藤史帆や渡邉美穂は”片想い”や”敵対”などの関係性を構築した。前者が技術的に、後者は人間的にオードリーから信頼を得たのだ。

以上はあくまで例であり、個々人にグラデーションとしてあるチャートを想像してほしいのだが、加藤史帆はそのy軸オードリーLOVEを、相手に伝わるまで伝えることによって作った第一人者であった。

「友人はその人物をうつす鏡」と人は云う。似た言葉に「ファンは推しに似る」がある。鏡に囲まれて生きてきた4名のアイドルが、最後に出演する冠番組でみせたのは周りのメンバーから寄せられる信頼感だった

寄せ書きのようなメール風タレコミにはこれまで築いてきた血の通った信頼関係が詰め込まれていた。断片的な語らいだったが雄弁に暮らしを語っていた。とつぜん人の鼻の穴に指を挿す、という人里に顔を出すようになった怪物みたいではあるが、スキンシップはスキンシップである。つまり加藤史帆は関わりたかったのだろう

まずはわたしから関わりはじめる。形は歪だったかもしれないけど、その「関わりたい」というマインドがこの番組の価値観を決め、そして加藤史帆の存在そのものと行動はそのお手本として常に番組にあった、とわたしは思っている。

ふと松田好花のことがよぎったのだが、彼女の迎合は相手の価値観に沿うように行われてきた。『オードリーのオールナイトニッポン』に出演していた彼女を羨ましがっていたが、松田本人からすれば加藤史帆のように自己開示で人間と迎合していく方法は心底羨ましいだろう

もちろん番組の見どころを作るという意味でも、加藤史帆の存在感はとてつもなく大きかったが、それは結果的に見どころになっただけで、彼女の行動原理は常に自己開示から始まっていたのかもしれない、と今思える。

そんな彼女がついに卒業する。「若林が好きすぎるかとしが見られなくなるのは残念だな~」とのんきに構えていたのに、いざ直面するとめちゃくちゃ寂しい自分がいた。『日向坂で会いましょう』の一時代いちじだいの終結を見届け、2025年の『日向坂で会いましょう』を迎えることにしよう。

おしまい。

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