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『日向坂で会いましょう』がとらえる”順番”

今回も『日向坂で会いましょう』おもしろかったですね。

一度だけ日向坂46の接触イベントに行ったことがある。『こんなに好きになっちゃっていいの』発売時に行われた全国握手会が、人生初の握手会参加だった

ミニライブを終えたあとのながい待機列のさきに現れた幕張メッセイベントホールを埋め尽くす日向坂ファンは壮観で、続々と推しの握手ブースめがけて吸い込まれていく光景は新鮮だった。

待機列を見渡すと人気度や男女比が棒グラフのようにわかるようになっていて、そんな現実を目の当たりにしながら握手にのぞむアイドル達の事をおもうと、ファンを大事にするというアイドルの言葉はあながち嘘ではなかったのだと思い知った

さっそくわたしも当時の気になっていた松田好花の待機列へと並ぶのだが、想像よりも先が長かった。1人5秒くらいと聞いていたので、スムーズに進行していくものだと思ったのだが、意外にじれったかったのを覚えている。

そういえばあの時、ふだん行列に割く時間がイヤで並ぶことをなるべく避けていたわたしにしては嫌悪感が無かったなと、今ふと思い出した。実物のこのちゃんはめちゃくちゃ可愛かった

今回の『日向坂で会いましょう』は久しぶりに4期生が不在の回だった。映画の撮影で忙しかったのかもしれない。そんな今回は6月に行われた【若様とフレンドリーになって希望の名前で呼んでもらいましょう!】のパイセン編。若林とフレンドリーになるべくエピソードトークを披露しておしゃべりする【若様とフレンドリーになりましょう!!パイセン編】を開催。

4期生の時は、「4期生のみ(先輩を頼らない)という状況下でトークを主体とし企画を成立させられるのか?」という卒業検定的だと位置づけ、その成果から彼女たちの成長をみることができた。では、とうに卒業検定を通過したはず諸先輩方からは、今回何をみることができたのだろうか

今回の企画は前回とおなじくトークを主体として進行していったのだが、前回の時はコミュニケーションやエンタメのツールとしてトークが存在していて、もちろんそれはあった上で、今回はその人の生活圏を写し出していたようにおもう

日向坂46の諸先輩方は今は個人活動で忙しいメンバーが多く、また活動メディアやジャンルもバラバラである。個人の興味関心や趣味嗜好をアピールして掴んできた彼女たちの自己実現は、後輩の憧れている姿でもあるだろう。

一方で、現在の4期生のようにほぼ毎日のように顔を合わせて活動をともにしている時間は減ってきてるだろう。ライブの予定があればリハーサルで会うこともあろうが、それもおそらく難しくなってきてるはずだ。

だからこそ今回彼女たちのトークでみえてきたのは、そんな自己実現を成功させた世界の風景である。誰々のお家に遊びに行ったことや誰々とディズニーランドに行きたいという仲良しエピソードも聞き心地よいが、他方で、小型船舶から流れてゆく河川やドリフトターンが回す視界は佐々木美玲や富田鈴花しか知らない世界であり、語られるエピソードは言葉以上にその人物の情動が詰まっている。

個人的に、山口陽世の「ユーキャンはじめました」は今回の頂点だった。あそこにはこの企画でみてきた4期生的な側面と先輩的側面がつまっていた。恥ずかしがり屋の彼女が、フリとオチを意識した(ふりかぶった)導入をしたことに、まず驚いた

そして、その導入のキレイなこと。ユーキャンで落語の師匠はじめたのかとおもった。完璧だった。

これまでイジられて笑われていたメンバーが、自らの力で笑わせる。これを成長と言わずにはいられない。先輩たちが当たり前のようにしている、失敗してもいい冠番組で前に出て人を楽しませること、個人的には山口陽世が今回もっとも成功させていたメンバーだった。

冠番組で目立てるということは、それだけ注目を集められるほどの力をもっているということ、だとわたしはおもう。テレビスキルや仕事の勢いや由来不明のカリスマ性など、とある時期に誰かの精神や肉体が円熟した時、『日向坂で会いましょう』にはそれが魅力として映る。それを例えば「順番が来た」と呼んだりする。

山口陽世のほかにも、チェコ帰りの自由人・森本茉莉やここ最近巻き込まれ体質が再発している高瀬愛奈や堂々とした雰囲気なのにへなちょこな金村美玖は、今現在『日向坂で会いましょう』で順番が来ている人だとおもう。個人的な願望として、我が推し・高瀬愛奈は巻き込まれてナンボの人なので、これからもっともっと巻き込まれてほしい。

今回の『日向坂で会いましょう』は同じ企画を4期生と先輩たちで行った珍しい回だったため、こうも違う仕上がりや見方ができたところがおもしろかった。何年後かにまたおなじような企画があがったとき、順番がまわってきているのは誰なんだろう。

おしまい。

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