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『日向坂で会いましょう』の轍に生い茂る草木花
今回も『日向坂で会いましょう』おもしろかったですね。
師走の繁忙、迎える新年、そして正月ボケ。わたしたちの日々というのは実は1ヶ月ほど前からリズムを崩していて、仕事始めを迎えた今週来週はそのリズムを取り戻す屈伸運動のように過ごすことが多い。各方面への挨拶、年末の忙しさかまけて隅に追いやった雑務の山、仕事の感覚の呼び起こし。迎春の心機一転はさっそく地味な些事に出鼻をくじかれる。
一方で『日向坂で会いましょう』は晴れやかな出発を果たせたようです。【おせち争奪!カスん家のお正月!】と題し、トークに大喜利にと正月気分の余韻を味わう。
前回の放送を見て、わたしは日向坂46の一時代が終わったと述べた。今回のメンバー卒業企画は日向坂46の一時代を区切る儀式のようであり、加藤史帆の卒業は『日向坂で会いましょう』にとっての時代の区切りを象徴していました。
そして新年初の『日向坂で会いましょう』放送翌日の1月6日、その裏付けを強化するように佐々木久美、佐々木美玲、高瀬愛奈、残る1期生3名の卒業が発表された。いよいよグループは本格的に次の世代へ進んでゆくことでしょう。そんな期待感を感じさせる今回は、次世代のメインキャスト候補を次々にスポットライトを当てていきました。
まずは着々寸進と堅実な平尾帆夏。「家族で毎年日本一周するんですよ、」から家族で桃鉄をするへと繋げる完成度。突然を振られたはずなのに貫禄すら感じます。家族で桃鉄を99年やったのがウソだとしても納得してしまうくらいに。未来の姿は佐々木久美のような大黒柱を予感させます。地道を征けるその歩みは洋々万里へと至るのではないかと思わせてくれる存在感でした。
これからあと2人ほど紹介したいのですが、そう、今回映ったメンバーはどこか先輩メンバーの風格やキャラクターを匂わせていました。歌舞伎の一枚目、二枚目、三枚目のような、ひなあいでの役割がそこにあるかのように似ているのが印象的でした。
どこか富田鈴花っぽかったのは石塚瑶季です。寸でのところで自信を持ちきれないけど当たって砕ける度胸をもっている感じが、負けキャラを掴みはじめた富田鈴花を思い出させます。宮地すみれと共に若林に暴かれまくってるところがもっと見たい。
支離滅裂系として山下葉留花は確固たる地位を築いたようですね。支離滅裂系と変な言葉を使いましたが、つまり齊藤京子や河田陽菜のような何でもアリの吟遊詩人、要するに組織図の外にいるひとです。
もちろん他の4期生、3期生だって個性豊かで番組に花を添えられるタレントばかりです。これまでもタレントぞろいだった『日向坂で会いましょう』は、1期生や2期生というメインキャストが皆卒業しても変わらず楽しい放送を提供してくれる、そう思わせてくれました。
メンバーの卒業は寂しいですが、彼女たちの存在は決して消えることはなく、轍に視線を配ればそこには色とりどりに花々が笑っています。花を送るメンバーたち、それ自身が花々でもあるのです。そしてその土の下には、芽吹きの時を待つちいさな種も春の日を今か今かと忍んでいます。
今回は新年初回放送にふさわしい晴れやかな未来を予感させる回でした。今年も『日向坂で会いましょう』はおもしろそうですね。
(おしまい)
追伸
2020年5月より更新してまいりました『日向坂で会いましょう』の感想記事(通称:ひなあいnote)ですが、この度の高瀬愛奈さんの卒業を以って終了させていただきます。
詳しい日程は発表されておりませんが、来る『日向坂で会いましょう』卒業企画の感想記事を以って毎回更新を終了させていただきます。
高瀬愛奈、日向坂46への推し活の一環であるこの感想記事に区切りをつけるなら推しである高瀬愛奈の卒業と共に、と数年前から決めておりました。ご愛読いただきました皆々様に深く深く感謝申し上げます。読んでくださる皆様のおかげで今日まで続けることができました。心の底から幸甚に存じます。
高瀬愛奈が春日の手から卒業証書を授与されるその日まで、少しの時間ではありますがひきつづきご愛読のほどよろしくお願いいたします。
2025.1.9 ちょろい