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単一プロダクトからマルチプロダクトへ:アソビュー!のPM再定義と未来展望

アソビュー株式会社、CPOの横峯です。

昨年茅ヶ崎に引っ越し、今年はサーフィンを楽しんでいるため、社内でも「焼けましたね」とよく言われます。良い返しを模索中です。

SaaS領域を中心として「マルチプロダクト」や「コンパウンド」といったバズワードが広がりを見せていると思います。
これまで弊社は、ひとつのプロダクトに注力し、その成長を推し進めてきましたが、今後さらなる事業拡大を実現するためには、マルチプロダクトの考え方を取り入れることが不可欠だと感じています。
そこで、プロダクトマネジメントの体制を見直し、新たな戦略に踏み出すことにしました。
このnoteでは、その背景と狙いについてご紹介します。

今後プロダクトマネジメントや事業、組織についてなるべく定期的にアウトプットしようと思ってます。


アソビューの初期のプロダクトマネジメント

これまで弊社には、明確なプロダクトマネージャー(PM)の役割を持つ人はいませんでした。開発マネージャーや事業責任者がPM的な役割を兼任しながら、各事業に対応してきたのが実情です。

アソビュー社のサービス全体像

具体的には、アソビュー!ウラカタという二つの事業を展開し、それぞれが実質的にはひとつのアプリケーションとして動いていました。
ウラカタは主にパートナー様向けのSaaSであり、営業からのフィードバックを基に開発計画を進めていました。
一方、アソビュー!は僕自身が事業責任者としてPMの役割を兼任し、ロードマップの作成やバックログの管理に関与していました。
アソビュー!とウラカタは顧客もシステムも密に結合されている状態のため、大きなものは全体で開発の優先順位をつけることで、適切にリソースをアロケーションし成長を牽引している状況でした。

各プロダクトにPMを配置する背景

アソビューはコロナ禍の時期に売上が大きく落ち込んだ後、V字回復をしました。
それに伴って事業や組織が大きくなる中で、従来のように全体でリソースを調整するのが難しくなってきました。
規模が大きくなるにつれて、中央集権的な意思決定がスピードや品質に悪影響を与える場面も見られるようになりました。

この問題に対応するため、PMの素養を持つメンバーを集め、各事業ごとに専任のPMを配置する体制に変更しました。
開発チームにいた方が半分程度、残りはマーケティング、営業などの部署にいた方も招集しプロダクト組織を組成しました。

プロダクトマネージャーの役割

弊社は「For You」「Professional」「One Team」というValueを掲げており、顧客の期待を超えて価値提供をすることを重視しています。
アソビューには責任感が強く、課題に徹底的に向き合うメンバーが多いです。
しかし、目の前のタスクに集中するあまり、顧客に提供する価値を持続的に高めるための検証が、まだ十分ではなかった部分もありました。

この課題に対応するため、プロダクトマネージャー(PM)の役割を明確に定義しました。

「何を作って顧客に価値を届けるかを判断する」

PMは、ロードマップの整理やステークホルダーとの調整を通じて、優先順位を明確にし、プロダクトチームを推進していきます。
現状を踏まえて上記言葉で何を届けるかを徹底的に磨くことを求めていますが、たぶん半年後くらいには状況に応じて言葉を変える気がしてます。
また、製品を市場に送り出す役割を担うプロジェクトマネージャー(PjM)も任命し、責任範囲をはっきりさせています。

新体制に移行して2ヶ月程度ですが、PMの役割を明確にすることで、顧客に価値を提供するためのロードマップがさらに磨かれていると感じています。

PMとCPO、マルチプロダクト戦略へ

PM体制を確立したことで、僕自身の役割も大きく変わりました。
これまではCPOとして、全体のPM的な役割も兼任していましたが、現在は各プロダクトのポートフォリオ管理や、プロダクト間のシナジーを生み出すことに注力しています。

弊社の成長戦略は「コンパウンド」と呼ばれる手法に基づいています。

複数のプロダクトで共通する基盤的な要素を切り出し、進化させることで、統合的なUXや認証、課金、データ、権限周りなどを一括で開発し、アプリに供給することをコンパウンドと呼びます。

https://route06.co.jp/insights/49

遊び/おでかけというテーマに対して予約、購入できるという切り口からアソビュー!ができました。その購入という機能を活用しウラカタを展開。
新たなシーンで遊びを機会を増やすため、アソビュー!ギフト、アソビュー!ふるさと納税などの新たなサービスの展開も始めています。
本来はそれぞれの事業が、それぞれの資産を活かしながら成長戦略を作っていくものだと思います。
他事業に頼った成長戦略はリスクがあるため、各事業長はそれぞれの成長戦略を描きますが、全体としてはいかに自然にシナジーを生み出していくかが重要だと思っています。
各プロダクトが顧客に向き合い進化を続ける中でも、自然にシナジーが生み出せるプロダクト構造をどう作っていくか。プロダクトポートフォリオをマネジメントしながら企業価値を高めていくことがCPOに求められている役割だと思っています。

PMへの期待と今後の展望

マルチプロダクト戦略におけるPMの役割

テックカンパニーにおけるPMの重要性は様々なところで語られていると思います。
その重要性を認識していながら、自分が兼任する組織をしばらく運営していたことは、今思うととても恥ずかしい気持ちです。
それくらい7月に変更して以降のこの二ヶ月での各事業の進化はすさまじいと思っています。

  • やることの羅列だったロードマップからアウトカムを明確にリソース配分を可視化したロードマップへの進化

  • アウトカムをベースにしたプロダクト組織内での会話

  • エンジニアも含めて「数字を見る会」の実施

などなど様々なところで、良い変化が起きていることを実感しています。
何よりステークホルダー含めて、開発チーム外との会話が増え、全員の意思と合意を持ってロードマップをブラッシュアップする機会が増えていると思います。
この変化や、それぞれの詳細はまた別途記事にしたいと思っています。

コミュニケーションラインが単一だとどうしてもそこがボトルネックになって、本当に価値あることが埋もれていたこともあったと思います。
顧客にとって何が大事なのか、我々が何を提供すべきなのかの議論が増えていることによって、アウトカムを高めるロードマップへの進化が起きていると思います。

今後について

おかげさまで会員数は1400万人を超え、友人からも使ってると声をいただくことが増えました。
しかし、我々が掲げている「衣食住」に「遊」をプラスした社会実装の実現、「生きるに、遊びを。」というミッション実現のためにはホリゾンタルにもバーティカルにもまだまだたくさんのプロダクトが必要だと思っています。

遊びという領域はC向けもB向けもDXが非常に遅れているため、プロダクトを通じて大きなインパクトを与えるチャンスが豊富です。
さらに、遊びやおでかけという多くの人にとって身近なテーマであるため、私たち自身が頻繁にユーザーとしてサービスを体験し、そのフィードバックを直接プロダクト改善に反映できる点が大きな魅力だと思っています。
実際、僕自身もアソビュー!ダイヤモンド会員を継続するほど使い倒し、その経験を改善に活かしてきました。

各事業にPMを専任させる体制に生まれ変わったアソビューにはまだまだPMが必要です。
もし興味を持って頂いたプロダクトマネージャーの方がいらっしゃったら交流させて頂けたらうれしいです。ぜひお話しましょう!




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