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エピソード1「面接」
翌日、千夏は指定されたオフィスに到着した。夢が叶えられるかもしれない。その思いに緊張が全身を駆け巡る。
???「あら、いらっしゃい!あなたが千夏さんね。私は採用担当の小池恭子よ。こちらへ」
出迎えてくれたのは30代ほどの目鼻立ちのはっきりとした女性だった。昨日の電話口はこの人だったのだろう。
恭子さんに連れられ、小さな部屋に通された。すると、椅子に座らせられ、2人は対面する形となった。
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恭子「早速だけど、千夏さんはどうしてうたのおねえさんになりたいと思ったの?」
千夏「小さい頃から歌が大好きだったんです。テレビの中のうたのおねえさんたちに釘付けになってて、私もあんな風に歌ってみたいなって思ってました!」
恭子「志望動機はバッチリね。じゃあ千夏ちゃんの人となりを知りたいから少し私と世間話しましょ?」
千夏はそれから20分ほど恭子と話をした。恭子は時折満足そうに頷いたり、千夏を愛おしそうに見つめたりした。そして、最後には、
恭子「合格!千夏ちゃん。あなたは合格よ!ぜひうちに欲しい人材だわ。」
千夏「!!ほんとですか!!?ありがとうございます!」
千夏は観劇のあまり涙をこぼしてしまった。そんな千夏な表情を見て、少し恭子は表情を曇らせる。
千夏「??どうしたんですか?恭子さん?」
すると恭子は黙ってしまった。気まずい時間が流れる。
すると、決心がついたように恭子は口を開いた。
恭子「私達は、あなたを騙してしまったかもしれないの。」
千夏「?どういうことですか?」
恭子「あなたとお話しをして分かったわ。あなたのうたのおねえさんに対する熱意を。だけどね、私達の仕事は小さな子供達にうたを届ける仕事じゃないの。」
千夏は頭の中が疑問符でいっぱいになる。
恭子「千夏ちゃんも気にならなかった?この番組の放送時間は深夜2時なの。つまり、子供向けに作られた番組ではなく、大人向けに作られた番組なの。」
千夏は理解が追いつかなかった。大人向けの教育番組?うたのおねえさん?それってどういう目的で作られた番組なの?
恭子「口で伝えるより見せたほうが早いかもね。これを見て。」
すると恭子は、部屋にあったモニターをつけ、映像を流した。それは、この番組の前に放送していた番組とのことだ。
すると、水着の女性たちが、男性に囲まれてローションまみれにされていた。その状態でお互いに相撲をしている。
すると、女性達は互いに水着を引っ張り上げ、陰部に思い切り食い込ませている。
恭子「これは前に放送していた番組。このテレビ局はね、お色気で視聴率を稼いでる番組なの。それで今度の企画が教育番組。あなたが探していたものはひょっとしてここにはないかもしれないわ。」
千夏は驚愕のあまり固まっている。
恭子「千夏ちゃん。ごめんなさい。騙すような真似をして。でもね、この番組は私がディレクターとして制作する番組。必ず千夏ちゃんの熱意も尊重したい。軽蔑して、辞退したいというなら止めないわ。ただ、私も本気なのは信じて欲しい。」
千夏はしばらく固まっていたが覚悟を決めたように恭子を見た。
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千夏「私を雇ってください!どんな形であれ、うたのおねえさんになりたいです!私!」