捜査を立て直す
グラウンド状態を確かめながら
アップを開始した
前日に雨が降った割には
グラウンドコンディションも
それほど荒れてなかった
「監督、円陣組んでいいですか」
兄貴は気合いが入っていた
「なんだその帽子」
見ると兄貴の帽子にはFBIと書かれていた
「監督、円陣組んでいいですか」
「だからなんだその帽子」
今日は草野球チームの試合だった
大事な試合の日に兄貴は帽子を忘れた
幸運なことにも帽子の色は同じだった為
試合に出場することが出来た
監督も兄貴の目を見て
「気合いだけは入ってるな」
と思ってくれたようだった
試合も終盤戦
選手たちの必死な攻防もむなしく
僕らのチームは0−3で負けていた
ベンチも負けムードになっている中
兄貴は立ち上がって
FBIと書かれた帽子をかぶり直した
「捜査を立て直す!」
みんなが一斉に振り向き
一斉にFBIと書かれた帽子を見つめた
「ゲームセット!」
試合が終った
結果は1−3で僕らの負けだった
最後惜しくも
選手たちの謎の気合いで1点返したが
力及ばなかった
そして兄貴は
試合の途中で救急室に連れていかれて
そのまま帰ってこなかった
9回裏2アウト
居ても立っても居られなくなった兄貴は
「FBIだ」といって
相手ベンチに突入した
相手チームのグローブを
全て噛みちぎっていった
途中羽交い絞めされ連れていかれたが
兄貴は泣いていた
ベンチにはFBIと書かれた帽子が転がっていた
博士
「噛みちぎるってあんた首輪つけてゴブリンに飼われとりゃせんか」