そのニッカポッカ

連絡網を地図みたいに回す母 【Twitter】https://twitter.com/darayakimasa

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最近の記事

シン・ツイッター

とんびが高く飛ぶとき 上昇気流を読んでいる それを読めないやつは 高く飛べない ただ私が言いたいのは たまごかけご飯は いつだって美味しいし はまぐりだって もうすぐ焼ける 俺は無敵だ

      • アイラブ天ぷら

        しばらくは亡霊と過ごすことになる もちろん会話も出来ないし 引き離すこともできない 取り憑かれたのは最近 ああ憑かれてるなと感じたのは 頭の中に海が広がったとき ざばーんと涙が出てきて その亡霊は大きな鎌を持っていた 一歩踏み出そうとすると 鎌を突き立てられる でも後ろを振り向いて 見えたのは 実際に鎌を持っていたのは自分で 首に突き立てたのも自分 亡霊と鎖を繋いでたのも自分だった しばらくは離れそうにないな こっちは亡霊の事が好きだが 向こ

        • 冬になれない人たちへ

          春、 妹が重力の学校を受けて 下向きに入学していった カステラに座ったまま 見えなくなった 妹は甘いものが好きだ 夏、 デパートの床に スーツを着たサラリーマンが 寝転んでいる 仰向けで背中を擦りながら 棚の下に入っていった 下半身だけ棚から出た その愚かさが美しい 秋、 人々が紅葉に夢中になったころ 天狗がサンマを焼き出し その時の天狗の視線は 炭に集中している 気にするな だれもお前に興味はない

          そのボクサーは拳ではなく光をよけていた 自分を見失わないように 地球と手をテーピングで ぐるぐる巻にしていた 光に当たると 琴線に触れてしまう気がした その魅力が走馬灯のように 頭を駆け巡って 燃えて灰になってしまう ボクサーは味のない景色を見ていた 思い出は夏だった サイダーの中のビー玉さえも 真っ黒に輝いて 炭酸とともに消えていった 蝶の羽根は黒くさびて 午後のメトロノームが聞こえていた 何もないと分かったとき ボクサーは光に触れた そ

          クラゲを太陽に透かせば

          連絡網を地図みたいに回す母親がいる 海に行ったら たぶん亀に乗せられて どこかへ行ってしまう 血が出る歯磨きを見せつける 道路に穴が空いていたら 「復讐が突き刺さったものだ」と言う 隕石が脳に降り注ぐ カジキマグロの進みたい方向に 豪華客船の舵を切る 燃えながら飛ぶ鳥に 「ありがとう」と言う 新築に足が止まる きり丸より目が小銭になる ハマグリと一緒に目をひらく メリーゴーランドから魚を投げ出す 元気出していきましょう、エーザイ

          クラゲを太陽に透かせば

          お前が俺のセーラームーン

          「あなたにわたしの湯切りを見てほしくて」 と言って長い髪の女が カゴにUFOを入れてきた 兄はときおり女ダンサーの夢を見る これもその類いだと思った 女の足は四駆のように どしどしと何処へでも入っていった あとに香る甘い香水が 道を作っていく気がした ビデオテープの巻き戻しのような音がして カラフルな蜂がそこにいた 奥にはデジタル機器のピッチャーが セットポジションについていた 長い髪の女がフルスイングすると 打球は一直線にホームランと書かれた看板

          お前が俺のセーラームーン

          海に面するより麺つゆに浸せ

          兄が給食のパンを食べずにバックに忍ばせた パンが嫌いなのは知っているが なぜバックに入れたのだろう ネコでも飼っているのか…? 不思議に思い兄の後をつけることにした 商店街を抜け、駄菓子屋の前を左に 空き地を通り過ぎ、草むらに入っていった 「やっぱりネコか」 さらに後をつけると ニョキーンと茶色い 黒糖まんじゅうみたいなものが飛び出してきた ラクダだった 兄はこっそりとラクダを飼っていた こっそりと言うにはちょっとデカいが 草木のせいで他からは見え

          海に面するより麺つゆに浸せ

          つかれたジャンクション1キロ渋滞

          兄は今日も水族館へ行く イルカの肌をペチペチするために ペチペチは小学3年生のとき 初めて味わった なんでこんなに気持ちいいんだろうと 持って来た羊のぬいぐるみを レシートのようにポッケに詰めこんだ 兄の右ポケットは見たことがないぐらい 膨らんでいた あんなにイルカはペチペチなのに こいつはモコモコだ 帰りはお子様ランチを食べた

          つかれたジャンクション1キロ渋滞

          今日もNASAの職員は2700を見る

          とあるNASAの職員が 右ひじ左ひじを交互に見ていた 最初はなんとなく見ていたはずが だんだんゆっくりになり ひじの軌道が夜のテールランプのように 光の尾を引いていった すると 左ひじの軌道と人工衛星の軌道が重なった そして 管制から一本の連絡が入った 「緊急事態発生」 「人工衛星が不自然な動きをしている」 「このままいくと地球の公転がズレ366日になる」 NASAの職員は慌てて 「ストップ ザ エルボー」とコメントを打った しかし 2年前のコ

          今日もNASAの職員は2700を見る

          永遠に続く午後のスローモーション

          露つゆをのせたルドベキアが綺麗だった 思えば12月 教室から出た私は水を探していた 喉が乾いたのかもわからない 頭はぼーっとして 伸びた影はラクダになっていた 窓ガラスは結露して 描いた真円から 雫が垂れていた 交通安全教室が始まった 校庭の真ん中にサボテンがひとつ咲いていた 明らかにおかしい 不自然だった 昨日までなかったはずのサボテンがひとつ 等身大ぐらいの大きさで 地面から力強く生えていた 「なにが浮世絵」と 廊下の浮世絵ポスターに

          永遠に続く午後のスローモーション

          捜査を立て直す

          グラウンド状態を確かめながら アップを開始した 前日に雨が降った割には グラウンドコンディションも それほど荒れてなかった 「監督、円陣組んでいいですか」 兄貴は気合いが入っていた 「なんだその帽子」 見ると兄貴の帽子にはFBIと書かれていた 「監督、円陣組んでいいですか」 「だからなんだその帽子」 今日は草野球チームの試合だった 大事な試合の日に兄貴は帽子を忘れた 幸運なことにも帽子の色は同じだった為 試合に出場することが出来た 監督も兄貴の目

          捜査を立て直す

          グラタンでしょうか、いいえ誰でも

          弟はブランコに乗るのが好きだ ひとりで漕ぐのも好きだが みんなで漕ぐのも好きだ ただ、いつもとなりの子にぶつかってしまう そしていつも同じことを言う 「縦に漕ぐんだ」 弟は知らない カニが横に歩くことも 香車がまっすぐしか進めないことも おっとっとの塩味は絶妙ってことも 調理実習というものがある そこはピーマンと肉が 無差別級の試合をするわけでもなく ハゲワシに頭をつつかれるわけでもなく 抱きしめ合う世界だ この日、弟はパフェを考えていた 「こ

          グラタンでしょうか、いいえ誰でも

          トンネルを抜けるとやきとりだった

          赤い影と青い影があって 青い影からいつも手がのびてくる 僕はそれに 赤い斧を渡す係をしています 小学校のころ、兄貴が転校先の学校で 自己紹介のときに言った言葉だ 無論これは 目に直接七味を振りかけるような出来事なのだが 兄貴にとっては日常茶飯事だ まず自己紹介ではない 係の紹介だ そしてなぜ青い影に赤い斧を渡したのだろう 他にも色々と気になる ただ、そんなことよりもっと気になるのが その自己紹介のとき 左手にやきとりを持っていた事だ 兄貴は左手

          トンネルを抜けるとやきとりだった

          運動会当日、雨の中でゾウの顔してる弟

          校庭を3週走って上から降ってくる水を 肩でバウンドさせながら朝礼台にのぼった ぐしゃぐしゃになったグラウンド 「こりゃキツネがいたら尻もちつくぞ」 そう言ってあたりを見回し、誰もいないことを確認して 僕は傘のパントマイムをした 今日は運動会だった キツツキを両手に持って走る金田くんという友達がいる 一等賞は金田くんだったのだろうと思いながら グラウンドを眺めていた。 一方、兄貴はというと てるてる坊主を眺めながら筆を執る 「ドロの中を目指す方へ」 モ

          運動会当日、雨の中でゾウの顔してる弟