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トンネルを抜けるとやきとりだった


赤い影と青い影があって

青い影からいつも手がのびてくる

僕はそれに

赤い斧を渡す係をしています


小学校のころ、兄貴が転校先の学校で

自己紹介のときに言った言葉だ

無論これは

目に直接七味を振りかけるような出来事なのだが

兄貴にとっては日常茶飯事だ


まず自己紹介ではない

係の紹介だ

そしてなぜ青い影に赤い斧を渡したのだろう

他にも色々と気になる

ただ、そんなことよりもっと気になるのが

その自己紹介のとき

左手にやきとりを持っていた事だ

兄貴は左手にやきとりを持ち

右手に盾を持っていたらしい

実に食いしんぼうな勇者だと言いたいところだが

こんな奴が転校して来たら怖い


昔、兄貴を偉大だと思ったことがある

僕がヤンチャに目覚めて原付きで登校していたとき

兄貴は火のついたスケボーに乗って登校してきた

僕が心配すると

「生命力がお前のそれとは違う」と言って

手のひらの生命線を見せてきた


のちに兄貴はこれに対して、やさしさと答えている

強さを見せることは

観覧車の心臓を抜くようなもの

廃墟になった遊園地で

何を思ふ


博士は言った

「思ふってあんた、ピンチヒッターなら打席にハニワ置いとりゃせんか」


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