タイトさん

とりあえず、はじめることにした。
文章をかくのは、前から苦手だなあとおもってる。
けれど、冒頭でこういうことをいうのは卑怯だと思うのだ。

学生のころ、なんであの人はあんなに窮屈そうなんだろう
と感じる人がいた。
それは、おそらく彼女が周りの学生より歳が離れていて
簡単に言うと頭が良く、良くも悪くもバキバキに尖ってる思考を理解されないと知っているので
それを表に出さないようにしていることがどう考えても原因だった。
しかも着ている服装がいつもタイトで眉毛が細い。
彼女のことをタイトさんと呼ぶことにする。

とある授業で同じグループになり
1枚の紙に、みんなで順番に名前を書いた。
タイトさんは、よく人を褒め、よく謙遜する。
「○○さんがとても綺麗な文字を書くから、その横に私が書くのは怖いな」
というようなニュアンスのことをタイトさんが言った気がする。
すごくすごく気に入らなかった。
やばい、なんか、ここまでくるとやばい、と思った。
タイトさんの次に人生で一番手を抜いて早く汚く名前を書いた。
わざわざそんなこといわなくていいのに
「私はそんなの気にしないけど」っていいながら書いた。

授業が終わって数時間後
タイトさんから恐ろしく長いラインが届いた。
色々書いてあったけれど
要約すると「あなたの言動が不愉快です」という内容だった。
当時はなんかちょっと年上のひとからすごい長いクレームが届いてすげー怖いと思ったけど
そのエピソードを思い返すたびになんて素直な人なの…と
タイトさんの本心が垣間見えて、ああこっちのほうが健全だと。

それ以来、何か自分を表現しなくちゃいけない時
恥ずかしい思いをしたもん勝ちだと思うようになった。
最近観た映画で言えば、ドランよりもハネケが好き。と、そういうこと。
何に対しても正直に愛をもって
ヘルシーな感じでとりとめなくやっていこうと思ってますので
どうぞよろしく。

みき