【SLAM DUNK GI】145話「カメのおみくじ」
プレーヤー、実業家、監督、投資家、UJBリーグチェアマン、プレパラシオン東京オーナー等、様々な顔を持つ三田良祐の行動力は凄まじい。
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強化ポイントであるシューター獲得に神宗一郎に会いに来たのだった。
「神さん、さっき少し会話を聞かせていただきました。ウサギとカメ、サッカー界も世界基準で見れば、カメですよ。日本人は足も遅いし、身体も弱い。どうやったら勝てるだろう? 進み続けるしかないやろ?ってね。神さんはそうやって積み上げて来たのですね。」三田
「それくらいしか出来ないですから。」神
「それくらい? いや、それが出来ることがいいんですよ。内に秘めた闘志、それをあなたからは感じます。」三田
「そうそう。コツコツと積み上げてきた神さんにしては、珍しいことなんじゃないですか?」三田
「えっ? なんのことですか?」神
三田は、神の長女を呼び抱っこした。
「失礼しますね。」三田
「わー高い! おじさん、なんで髪の毛、金なの?」
「おじさん!? そっかー(笑) ママの前にあるベビーカーは弟達かい?」三田
「そうだよ! 双子なの!? すごいでしょ?」
「せやな! お姉ちゃんやな! しっかりせなあかんで!」三田
「おじさん! しゃべり方、変だね(笑)」
「はは(笑) ちょっとパパとお話しさせてもらってええか?」三田
「ええよ!」
神宗一郎、同世代に比べ、早くに家庭を持ち、長女に加え、双子の弟がいるという。
「子供達のことですか?」神
「ええ、コツコツと積み上げてきた神さんにとっては急展開だったんじゃないですか?」三田
「まぁ 恵まれたってことですよ。」神
「UJBリーグというプロリーグが開幕します。プロだからいろんな立ち位置、バックボーンを背負う選手がいる。それぞれの対価も違う。そしてその対価を選手が求めてもいいんです。」三田
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「・・・・」
「家族の為にその対価を求めてプレーする選手がいてもいい。そしてそんな選手はきっと力を発揮する源が多く、それも武器になるんだと思います。」三田
「それにコツコツと積み上げていく作業と環境を変えること別の話ですよ。」三田
「神さんにはその価値があると思っています。」三田
「価値? 対価ですか? あんまり考えたことなかったな。」神
「でもね、環境は与えられているようじゃアカン。自分で作り出すものやと。日本代表に呼ばれた。それは与えられた環境であってね、俺はあえて孤立した。あえてね。そうやって自分の価値を高める環境を自分で作り出す。これ一緒にしないでほしい。」三田
「そして神さんの内に秘めた闘志と強い意志は、それを理解できるやろ?と思っています。」三田
「・・・・」
「何か気になることありますか?」三田
年末には、監督のクリス・ブライアン就任、牧紳一のトライアウト合格による入団が発表された。
「牧さんのことは、海南界隈でも話は入ってきましたし、牧さんらしくないと一部批判の声もあります。それは別に俺は何とも思わない。でも牧さんが環境を変えること、脱海南に重きを置いていたという話は届いています。そこは牧さんを尊重したい気持ちもあります。」神
「そうですよね。牧さんはプレパラシオン東京の選手になりましたから、当然、一つの参考として牧さんには話しておきました。何て言ったと思いますか?」三田
「・・・・」
「海南の牧紳一はもういない。プレパラシオン東京の牧紳一がプレパラシオン東京の神宗一郎と同じコートでプレーしたくない理由がない。」
「!?!?」
「そう言ってました。」三田
「牧さんが。」神
「牧さんは、シルバーコレクターだと自分で言ってました。我々とゴールドを掴みませんか?」三田
「・・・・ 家族がいるので環境を含めて、この場で返事をすることは出来ません。お話しありがとうございます。検討させて下さい。」神
「はい。あっ 神さん。おみくじ何やったんですか? ちなみに僕はね、末吉でした。」三田
「ぴったりですよ。日本バスケット界、現在の運勢としては確かに良くないけれど、これからの未来には開けてくるという末広がりの意味を持っている、未来に希望を持てるのが末吉やからね。」三田
「それは、ぴったりですね。三田さん個人としてはどうかはわかりませんが。」神
「俺はね、4番吉です。俺らしいでしょ?」
「 運勢は、あなたはよそから見るとそのように見えませんが、大きな望がある。慌てると何事も失敗しますから、ゆっくり事を進めましょう。だそうですよ。」神
「なるほど。でもね、旅立ちは良い結果になります。家を造ること、引っ越しは良い結果になります。そういう意味もあるみたいですよ。」三田
神は家族の元へと戻って行った。
「パパ-! 金の人とお話し終わったの?」
「ああ。」神
「ちょっとあの人って、もしかして、、?」
「有名人だったよ。」神
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神宗一郎は家族会議を開いた。
そしてそこから導き出された言葉は妻の
「神宗一郎が華やかな舞台で輝く姿を子供達の目に焼き付けてあげてほしい。」
だった。
オーナーの三田良佑、
元NBA選手でもあるクリス・ブライアン監督、
シャーロット・ホーネッツから電撃移籍となった流川楓、
一度は残留を表明しながらも移籍金を残した河田雅史、
退路を断ってトライアウト合格となった牧紳一、
どれも華やか顔ぶれである。神宗一郎は、華やかな顔ぶれに囲まれながらもそのスタンスを変えずにコツコツと積み上げていくのだろう。
それは影に隠れてしまうのかもしれない。
しかしその環境でコツコツと積み上げていく作業が実は一番難しいのかもしれない。
その姿を見せること、その意味を子供達が理解できる時が来るまで、神宗一郎はカメのように一歩一歩進んでいく。
神宗一郎、プレパラシオン東京入団。
続
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