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【SLAM DUNK GI】37話「スーツ姿の水戸洋平」
水戸洋平。
和光中三馬鹿トリオの高宮、大楠、野間、そして馬鹿王、桜木花道に囲まれながら、桜木軍団でただ一人馬鹿と呼ばれていない男。
そして現在地、バーオーナー、職人、パチプロ、フリーター、
営業マン、ただ一人、スーツを着こなす。
桜木花道の最高の理解者であり、
5人のバランスをとるその役回りは大人になった現在でも変わらない。
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水戸はTV局で収録待ちのノブナガとマネージャーとの会議の最中だった。
フリースタイルバスケ界で世界的に注目されているブラジル人、
ダニエル・シルバ。通称シルバ
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と日本人で認知され始めているノブナガのイベントを企画している。
YouTubeのコラボやイベント等、企画は進行し、後は日時、場所の問題をクリアすればという段階だった。
「水戸さん、実はシルバ側が条件を変更してきたのです。ギャラのつりあげです。こちらの金額を要求しています。条件をのめないなら企画は中止すると言っています。」マネ
「えっ いや さすがにこの額はうちの会社だけじゃ無理だ。」水戸
「・・・・企画は中止ってこと・・・?」清田
「しかし気になる点があります。」
「シルバは精算のとれるサプライズゲストを準備しているらしいです。」マネ
「誰だろう? それでつりあげてきたのか?」水戸
「後、もう一つ、シルバフレンズとノブナガフレンズとのバスケの試合をするということを条件に入れてきています。」マネ
「マジですか!? (それ好都合じゃん?)」水戸
「サッカー王国のブラジルだが、バスケも人気スポーツだ。世界ランキングは常に10位前後、日本より格上とされている。」清田
「そうなんですね。」マネ
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キレ者と言われる水戸はシルバの思惑を推測した。
「俺、わかっちゃったかもしれないです。シルバはただ金稼ぎにギャラをつりあげたわけじゃない。」
「花形さんが言っていたんだけどUJBリーグが開幕するにあたって、かつてJリーグに有名スターが多々移籍してきた現象がUJBリーグに起きるかもしれないって。」
「シルバフレンズってのはUJB入りを目論む実力派選手、サプライズゲストっていうのも、もしかしたらブラジルのスター選手かもしれない。ブラジル人の売り込みかもしれない。」水戸
「なるほどね。ありえるね。」清田
「でも こんな金額はさすがに無理ですよね?」マネ
「ええ うちの会社だけではね。すなわちTV局に企画を持ち込めってことだよ。」
「シルバがふっかけてる相手は俺らじゃねえ。」水戸
「民放での中継?」マネ
「精算とれる自信があるんだろうよ はは」水戸
「洋平君! 俺もやるぜ! かっかっ(笑)おもしれー!」清田
「ちょうどTV局だし好都合だ。ちょっと探ってきます。」水戸
「ノブナガさん 収録はじめます! スタンバイよろしくお願いいたします!」TVスタッフ
水戸はこの間に局内の喫茶でどのような戦略を立てるか考えていた。すると一人の女性が声をかけてきた。
「あら?水戸洋平。あんたこんなとこで何してるの?」
「あっ アネゴ!!」水戸
同じ社員の後園聖真のTV収録後、トレーナーにつく彩子だった。
後園の収録待ちをしているという。
「あんたがスーツねーなんか嬉しくなるわっ(笑)」彩子
「アネゴこそ、こんなとこにいるってことはTV局関係者か?」水戸
「うーん ちょっと違うけど、なんか悩みがあるなら話してごらんなさいよ。」彩子
水戸は、イベント企画のことはもちろんのこと、桜木のこと、宮城のこと全てを話した。
「へーーー面白いことになりそーね!」彩子
「でしょ? 何とかならないですかね?」水戸
「こないだのワイドなショー見た?」彩子
「はい。花道も安心してましたよ。これで全日本になれるって!」水戸
「全日本!?相変わらずめちゃくちゃなこと言うわね(笑) あの放送の反響は大きかったし、取材した後園さんのトレーナーなのよ。私ね。だから、、、、、、、、。」彩子
「おお!? 後園の」水戸
「だから後園さんの番組枠のとこを夏休みとかなんとか理由つけて、そこに差し込むってのはどう?」彩子
「いいアイディアですよ! さすがアネゴっす!」水戸
「要は数字取れればいいんでしょ? とれるわよね?そのシルバっての大丈夫?」彩子
「大丈夫!! 後園より とれるでしょ?(笑)」
「あら 失礼ね(笑) ははは(笑)」彩子
「すぐ企画書作りますのでよろしくお願いいたします。」水戸
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敏腕マネージャーの彩子なら話をまとめてくれるはずだと水戸は期待に胸を弾ませた。
後日、彩子から連絡がきた。
「あ もしもし 場所はやはりストリートバスケ大会との共催で調整がつきそうよ。それでTV局側が条件を出してきたのよ。」
「ここまで来たらどんな条件だろうとやるに決まってると思って、あたしの判断でOKにしちゃってもよかったんだけど念のため確認ね?」彩子
「何ですか?」水戸