我孫子武丸氏の「弥勒の掌」を読みました

こんばんは、露口です。

深夜に我孫子武丸氏の「弥勒の掌」を読ませて頂きました。本当は我孫子氏の「殺戮に至る病」を読みたくてBook offに赴いたのですが、出会うことができず、こちらの宗教団体という単語に惹かれて買いました。


序盤〜中盤までの緊張感や、宗教組織との関わりが徐々に拡大していくところは本当にハラハラして面白かったのですが、最後のオチのところが本当にもう残念すぎて死ぬかと思いました。そこが楽しみで仕方なかったのに肩透かしを食らったようでした。年代の想定が古いのもあると思うのですが、そんな刑事いねーよと思うようなキャラクター設定もひどかったです。あと高校の教師がいきなり風邪で休めたり半日で帰れたりしないです。自分を孕ませた学校教師をいつまでも想っているような女はいません。このメインのキャラである刑事と高校教師は最後のオチでまじのクズと発覚する前から既にかなりのクズなのですが、自分のクズを棚に上げて被害者意識を全面に出しながら行動していくので本当に腹が立ちます。そういう意味では最初から最後までクズだったということで人物の統一感は保たれていたでしょう。我孫子氏にクズの男を書かせたら右にでる者はいないのではないかと思わせるような人物描写は素晴らしいです。この点に関しては本当に褒めています。


残念だったのが宗教団体の描写でした。もともとサスペンスの要素がメインであるようなので、宗教団体の本質や詳細は重要でないのかもしれませんが、あまりに物語に都合の良すぎる団体でしかなくてしんどいです。地域の子供預かりルームとか習い事教室とかジムとか瞑想室とかはちょっといいなと思ってしまいました。あれらの設備が揃っていてやることがありながら、所属会員は一体どんな修行に励んでいるのでしょうか。ジムで走ったりしたらランクが上がるのでしょうか。ダサいジャージを着なくて済む普通のジムに行きたいですね。大物役員や芸能人が心酔するような宗教的教義や魅力も物語中で語られること皆無でした。わざわざ会員が会いにくるという愛蓮や月光童子の最大の魅力が顔立ちというのもしんどい。死ぬほど悩んで怪しい宗教団体にまですがるような追い詰められた人間が人の顔立ちだけを頼りに集まってくると思わないでほしい。盗聴によって相手の悩みを見透かしているように見せかけて信者を獲得する方法だとしたら愛蓮も月光童子も寝る暇ないんだろうな。ケアとして手厚すぎる。信者自身に努力をさせるべきです。それがカルト宗教のあるべき姿です。上層部が苦労をしてはいけません。ところで弥勒様は結局占いもそこそこ当たるけど、だいたい盗聴の情報に頼っていたということで良いのでしょうか。失せ物とかは盗聴じゃ無理ですよね。とりあえず本物のカルト宗教団体に謝ってほしいです。


盗聴器の部分の設定は一体なんだったのでしょうか。携帯電話の着信に合わせていちいち発動していたら電車とかバスで起動しっぱなしでしょう。地下に降りてしまえばまず盗聴は無理でしょう。電話にストラップをつけるとも限りません。しかも盗聴器以外に特段情報収集する機器は使っていないみたいだったのでほぼほぼ盗聴器から聞こえてくる情報が頼りということですよね?無数に集まってくる音声情報を解析して整理して重要な部分のみ抜粋して、まさか盗聴したものを全て鵜呑みにするというわけにはいかないでしょうから事実関係まで洗って、盗聴器の充電の心配までしてとか考えているだけでこっちがハラハラします。それをなんかスーパーPOSシステムによって全てお見通しよ!みたいなご都合主義で押し切られても違和感しか残りません。盗聴器万能設定はかなり辛いところがあると思います。ドラえもんの道具の方がリアリティがありました。


つい辛口でここまで一気に書いてしまいました。本当に読みづらい文章をすみません。まだ言いたいことはたくさんあるのですが、あまりネガティブなものを発しまくるのも良くないのでこのへんにしておきます。殺戮に至る病も読むつもりです。それではおやすみなさい。

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露口
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