らくがき王国⑤
ピーターとジョナサンが足を踏み入れた隠し部屋には、机と椅子があるだけでした。
あまりにも部屋ががらんとして二人はとまどいました。
「これが秘密の部屋なのか?」
ジョナサンが聞きました。
「たぶんね……」
ピーターは自信なさげにいいました。
この部屋には机と椅子以外は何もありませんでした。机は古びていて、かなりの月日がたっているようです。
二人はしばらく部屋の中をすみずみまで調べましたが、何も見つけることはできませんでした。
「この部屋はいったいなんなんだ」
ピーターがひとりごとのようにいいました。
すると、部屋からかすれた声がしました。
「この部屋はな、はじまりの部屋じゃ」
ピーターとジョナサンは声のした方にすばやく顔をむけました。
そこにいたのはらくがき王国の王様でした。いつの間にか、王様は二人の後ろにたっていました。
「なっ、王様!感謝祭にいるはずじゃ」
ジョナサンが驚きながらいいました。
「この部屋はワシだけが知っている部屋じゃ。何かあったときはワシのところに知らせがくるようになっておる。しかし、まさかおぬしらのような子どもがこの部屋をみつけるとはな」
「王様、はじまりの部屋とはどういうことですか?教えてください!」
ピーターは失礼を覚悟で王様に聞いてみました。
「この話をする時がきたのかもしれんな」
王様は、ゆっくりと口を開きはじめました。