大根収穫
むかしもむかし、遠いむかし。
ある少年がいました。
少年は、家のお手伝いで庭にある野菜をとってくることになりました。
小さな庭ですが、たくさんの野菜が育ててあり、少年の家は毎日野菜を食べていました。
少年は、大きく育った大根を抜くことにしました。
少年は、土から出た大根の葉をつかみ、力いっぱい引っこ抜きました。
ところが、大根はなかなか抜けません。それどころか、どこまでも大根は伸びていて土から出る気配がありません。
「これきっとこの町で一番大きい大根なんだ。こうなったらぼくこの大根を最後まで抜こう」
少年はワクワクしてきました。
大根を掘り進めていくと、少年の庭をこえていきました。
「すごい!どこまでものびてる!きっとこの大根はこの国で一番大きい大根にちがいない!」
少年はますますやる気になりました。
しかし、掘りすすめると大根はどんどん重くなっていきました。少年は汗をかき出しました。
「ふー、重たい。きっとこの大根は世界一重くて大きい大根なんだ!」
少年は力をふりしぼり大根を掘りました。
しかし、今まで続いていた大根が、大きな茶色い壁にぶつかってしまいました。
「あれ?もう進めないや。どうにか進まないかな」
少年は、壁を押してみましたが、ビクともしません。
「うーん、ダメだな。せっかくのこんなに大きな大根なのにもったいない」
少年はあきらめられませんでした。
すると、壁が少年の気持ちがわかったのか、急に話はじめました。
「なんじゃ、おぬしは。何をしておる?」
「うわっ、壁がしゃべった。大根を掘っていたんだけど、壁さんにぶつかったんだよ」
「大根に壁?ガハハハハ!それはな、ワシのしっぽとおしりじゃ。壁の横を通って前にきてみろ」
少年が壁の言われたとおりにしてみると、なんとそこにいたのは、ドラゴンだったのです。
「ドラゴン!大根はドラゴンのしっぽで、壁はおしりだったのか!」
「ざんねんだったなの、大きな大根ではなくて」
「ううん。こんな大きなドラゴンに会えたんだもん。大根を掘ってよかったよ」
「ガハハハハ!気持ちのいい少年だ」
少年とドラゴンはそのあと友達になりました。
それは、誰もしらないむかしもむかし、遠い昔のお話でした。