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AIに確定申告を手伝ってもらうために、文具屋が1年間やってきたこと
バレンタインがやってくると、「いよいよか」という気持ちになる。
お店としては、バレンタインギフトを紹介したりしないといけない時期だ。
でも、個人事業主としては2/16-3/15までにやらなければならない「確定申告」にどうしても気が行ってしまう。
更には今後「インボイス制度」や「電子帳簿保存法」といった聞き慣れない単語達が絡んでくるというから気が気でない。
AIはイラストや文章作成等で活躍を始めているけれど、そこの仕事よりも「経費精算」や「確定申告」といった仕事を個人事業主から奪ってほしいと願わずにはいられない。
そんなことを考えていたら、そもそも「そういう未来はもう来てますよ」ということを、知り合いから教えてもらった。
AIが自動で経費の内容を推測して、勘定科目等を推測してくれるサービスが導入されているのである。しかも私自身も数年使ってきている「freee」でも既に導入されていたのだ。
そこで、2022年はfreeeが紹介してくれる税理士さんにお願いをしながら、出来得る限りの業務を自動連携できるようにしてみた。
そして更に踏み込んで、経費精算を便利にするオリジナル文具も作って理想の経費精算環境を構築するに至った。
今回はそんな実践から生まれたノウハウを、少しでも共有させて頂ければと思う。
日々の売上の連携
まずは日々の売上の連携。
こちらに関しては、税理士さんに相談する前からfreeeと連携させることが既にできていた。
店舗のレジとして「Square」というサービスと、ネットストアとして「BASE」というサービスを使っている。
これらの機能に関しては、freeeの月額使用料はいるものの、連携しても追加では発生しないので楽だ。
Squareはクレジットカードや交通系IDでのお支払いに便利なサービスとして、他のレジサービスと組み合わせている人もいるけれど、単体でも無料でレジ機能が使えるので、現金売上等も問題なくfreeeに売上として登録してくれる。
日々の売上の記帳は、営業をしている以上必ずと行っていいほど発生するものなので、ここが自動で連携してくれるだけでも経費精算の作業はだいぶ楽になる。
見積書・請求書の作成
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お店を4年も続けていると、店舗での販売の仕事だけでなくていろんなお仕事も増えてくる。
そんな時に言われるのが「見積書」や「請求書」をくださいという言葉だ。
ついこの前までエクセルでえっちらおっちらと発行していたけれど、freeeに標準でついている「受発注管理」を使うとそのあたりがぐっと楽になる。
・見積書でOKをもらって、そのままの内容で請求書を作りたい
・請求書の振込がちゃんとされたかどうかを管理したい
・PDFで請求書を発行したり、請求書付メールを自動で送ったり、なんなら印刷して郵送する代行業務までボタン一つでやりたい
・請求書で発生する売上の記帳も、請求書の内容通り行いたい
このあたりの「見積書・請求書にまつわる面倒事」がサクッと解決してしまう。
なんとなく惰性でエクセルの請求書フォーマットを使ってきたけれど、この機能を使い始めると、なんで早く使わなかったんだろうと思ってしまうレベルだ。
ぜひこのあたりの作業で困っている人は試してみてもらいたい。
銀行口座・クレジットカードの連携
銀行口座とfreeeの連携も、なんだか億劫で試していなかった。
でも、税理士さんのすすめに従って、「売上などの入金がある口座」と「仕入れや経費の出金がある口座」を分けて作ったら、格段に業務が楽になった。
先程の請求書で管理している売上の振込が入ったら、freeeでその入金を請求書に紐付けて処理が完了するし、振込手数料を差し引いて振り込まれた際にも見事に差額に対応してくれる。
また、出金対応用の口座でクレジットカードを作って連携させると、その内容についても自動でfreeeに反映されてしまう。
また、出勤内容についても、振り込み先やクレジットカード明細に表示される支払先の名称によってどの会社にどういった勘定科目で支払いが発生したのかまで連携してAIが推測。
必要に応じて「確認後登録」や「確認せず自動登録」といったことまでやってくれる。
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freeeの画面上にはこんな感じで、人間の判断が必要な項目がトップページで表示される。
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例えばこれは、ダンボールを買おうとした場合の表示だ。
AIがfreeeの独自の基準によって勘定科目や消費税の分類を推測。
この内容で登録していいですか?と確認してくれる。
このように単発で発生する費用については、freeeのAIの推測を判断しながら対応するだけで経費の登録ができる。
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また、何度も発生しそうな取引先については、AIに自動で対応してくれるように設定をしてあげることでもっと便利になる。
取引先の名称はクレジットカードの表示でも、時々若干変わることもあるので、「完全一致」「部分一致」といった形でAIの推測方法も対応できるきめ細やかさがありがたい。
毎月発生するような業務については、AIにそのまま登録してもらうこともできるし、一応確認したい取引については「取引を推測する」という形でAIの判断でほぼ登録できる状態まで進めておき、人間が最後にGOサインを出すといった業務工程を実現することができる。
レシートの取り込み
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銀行口座、クレジットカードが連携してしまえば、経費精算のレシート登録処理はぐっと減る。
それでも、紙のレシートは出張時のコインパーキングや現金払いしかできないとっさの支払い等で発生してくる。
そんな時にオススメしたいのがScanSnap(スキャンスナップ)という定番のスキャナーのシリーズだ。
もうかれこれ15年は歴代のシリーズにお世話になっているScanSnap。
その機能の中でも大層便利なのが「ScanSnap Cloud」という機能だ。
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これまでのスキャナーといえば、イメージされるのは会社のコピー機こと複合機。
スキャンはできるのだけれど、メニュー表から自分のメールアドレスを開いて、データを送付して……とスキャンできるけれども、根本的に面倒くさかった。
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ScanSnap Cloudはそんな面倒くささから解放してくれるのだけど、解放具合がえげつない。
領収書を自動判別してfreeeにデータを送るところまで、最初に設定しておけば勝手にやってくれるのだ。
かつその機能は、なにか月額使用料を取られるというわけでもなく使えてしまうし、書類はドロップボックスに送り、名刺は名刺管理ソフトであるEightに送るなんてことも自動で振り分けしてくれる。
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更にfreeeに送られたレシートは「連続取引登録」画面にスタンバイされる。
それもただスタンバイされるだけじゃない。
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文字情報を自動で判別し、AIが自動で日付や金額、更には勘定科目まで推測した状態で入力の用意をしておいてくれるのだ。
領収書も印刷内容によっては日付や金額が一部間違っていることもあるので、確認は必要だけれど、このように簡単に登録ができてしまう。
実は、こういったOCRによる文字情報の読み取りは、インボイス制度が始まった際にも重要になる可能性がある。
インボイス制度が始まると、登録している会社や個人事業主は、領収書に記載されている「Tから始まる13桁の登録番号」が本当にその領収書を発行した企業が登録されている番号なのか確認するという、やたら大変そうな作業が発生するという前提で現在2023年2月14日まで制度が進められている。
携帯電話の番号より長い数字をレシートから読み取って、人間がひたすら国税庁のサイト(上のリンク)で確認するのは現実的ではないので、なんらかの緩和措置が出たりするかもしれないけれど、現状のままだとその作業を誰かがやらねばならない。
それこそこの不毛な作業をなくしてくれるのは、AIの出番なのではないかと思うし、そう期待している。
また、「電子帳簿保存法」が施工されることによって、紙の領収書を制度に従って電子化すれば、紙の領収書を捨ててもよくなったというのも、これからスキャナーを使ったレシートの電子化を後押しするように思う。
でも、そこで私は紙のレシートの電子化に「ラストワンマイル」を感じるようになった。
くしゃくしゃなレシートの取り込み
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コンビニや駐車場等で発生するレシートは、油断しているとすぐにポケットや鞄の中でぐちゃぐちゃになってしまう。
また、そんなレシートに限って、スキャナーにセットして機械の中にひっかかってしまうこともある。
もちろん、領収書専用のポーチを用意したりするのだけど、ちょっとした買い物だとかいつもと鞄が違うといったことでも、イレギュラーは発生する。
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そんな「ラストワンマイル」と言い換えてもいい「くしゃくしゃな領収書」をなんとかする方法として目をつけたのが「スマホのカメラ」を使ったスキャン方法だった。
スマートフォンのカメラは画質がどんどんと上がり、電子帳簿保存法でも、スキャナー以外のスキャン方法として認められるに至っている。
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ただ、実際に領収書をスマホのカメラでスキャンしようとすると、スマートフォンの影が入ったり自分の指が映り込んだりしてしまう。
じゃあ、透明なものでうまく固定できれば……と思ってクリアホルダーを使ってみると、今度は天井照明を反射して光の点が映り込んでしまったりする。
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領収書をスマホで撮影するのに便利な道具がなければ作ればいい。
ということで、文具屋が経費精算を便利にしていく過程でうまれたのが「toto レシートスキャンボード」。
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老舗のデスクマットメーカーの協力で天井照明を反射しない「低反射シート」を取り入れ、くしゃくしゃなレシートを引き伸ばし、天井照明の反射を緩和する文具をわざわざ作ってしまった。
このニッチ極まりない商品が本当に必要とされるのか。
悩んだ末に行ったクラウドファンディングを通して商品化することができた。
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もちろん、freeeでのレシートの登録にもガンガン使ってもらる。
ScanSnapのようなスキャナーは確かに便利だけど、導入にコストがかかることも事実。
また、今後様々な会社で電子帳簿保存法への対応が進んだ時に、一人一台スキャナーが配られる……なんてことはほとんどないだろう。
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ぜひ、レシートのスキャンを使った経費精算をやってみたい方や、手軽にレシートを電子化する手段として、私の業務改善魂が生み出したレシートスキャンボードが使ってもらえたら嬉しい。
AIに丸投げの時代がくるまでは……
AIが人間の仕事を奪う。
そんな言葉についつい踊らされそうになるけれど、実際にfreeeさんを使わせてもらいながら気づいたのは「AIはお手伝い」はしてくれるものの、全てをやってくれる水準にはないということ。
AIが生み出したアートの方向性を呪文のような文字の組み合わせで修正したり、領収書の勘定科目の推測を実際の形に合わせていったり。
そういった判断に関してはまだまだ人間の手が必要になってくる。
更に、紙のレシートが存在する間は、そのデジタル化を人間が準備してあげなくては駄目な日々が続くだろう。
そんな隙間を埋めるために、新しい文具を考えることは楽しいし、自分の経費精算を効率化する上でも重要なので、今後も頑張って勉強していきたい。
またなにか気づきがあれば共有させていただきたいと思う。
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今回の記事で行ったテクニックはfreeeの認定アドバイザーの蟹山さんとの相談の中で教えていただきました
レシートスキャンボードはネットストアでお取り扱いしております。