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手帳のイベントに出たら、オリジナルの手帳っぽいものができた話

いろいろな商品を作ってきたけど、手帳を作ることは諦めていた。

手帳。
それは文具に携わる者にとっては、重要なアイテムだと思う。

スケジュールを管理するために、人は様々なフォーマットを試し、時にうまくいき、時に失望し、合うとか合わないとかやってきた。
近年は、スマートフォンとGoogleカレンダーが登場し、多くの人の予定管理はかなりうまくいくこととなったと思う。

ただ、それでも時々、ページを広げられる爽快感や、バッテリーを気にせず使えるメリットを思い出して、様々な手帳を試してみたり、お店でも取り扱ってきた。
ただ、それでも紙の手帳をオリジナルで作ることには抵抗があった。
それは手帳には「販売できる期間」に明確な縛りがあるからだ。

9月始まり、12月始まり、3月始まりなど、年の始まりや新年度などの様々なバリエーションがあれど、それぞれ売れる時期は明確だ。
3月始まりの手帳が8月まで残っていたら、もうセール価格じゃないと売れないことがほとんどだろう。なんなら9月まで待てば新しい手帳だって出るのだ。
基本的に保管期間が長くても腐ったりしない雑貨は「賞味期限が長い」ものだけど、こと手帳に至っては「賞味期限が短い」と言ってもいいと思う。

そんな中でうちのお店が初めて作った文具は「ノートカバー」だった。

これは、薄型手帳のリフィル(中身)を別に組み合わせてもらうことで、うちは「カバー」だけ販売するというアプローチで、賞味期限とは関係ないビジネスを目指したものだ。
実際こちらのノートは発売から4年程度経過しても、長く愛していただいている。

だけど、遂にうちのお店も、うちのお店なりの「手帳」……みたいなものを作ってしまった。
本当に作る気はなかったのに、なんとなくこんなものあったらいいなというものが「できてしまった」のだ。
今回はそんな新しい角度からの提案「DOCKET EVENT PLANNER」をご紹介したい。

手帳イベントで、なぜ手帳を作らなかったのか改めて考えた

それは10月の出来事。
うちのお店は東京のイベントにお誘いをいただいて出店をしていた。
イベント名はズバリ「手帳の市」
もう色々な手帳を中心とした出店者の数々に揉まれて、おっかなびっくり文具を販売してきた。
でもさすがに「手帳」なイベントだけあって、なかなかうちの取り扱っているニッチな文具たちは見てもらえない。
しかしイベントは2日もあるし、手帳に詳しい出店者さんも近くにたくさんいる。
ちょうどいい機会だと気づいて、改めてドケットストアが手帳を出さなかった理由と、手帳を出すとすればどういう形なのかを自問自答することにした。

まず、そもそも手帳は既製品で良いものがたくさんあるということ。
身も蓋もないのだけど、様々なサイズ、製本、フォーマット、パッケージングに至るまで手帳は本当にたくさんある。
今年の頭にはドイツのベルリンでもほぼ日手帳さんが販売されていたことにビックリさせられたばかりだ。
これまでにないような手帳でなければ、そもそもドケットストアが進出するメリットも価値目もない。

次に、コストの問題だ。
手帳はフォーマットが命。
線の数ミリの差が使い心地に大きく影響するとも言われている世界だ。
それをデザインするにはデザイナーの力が大きく必要とされ、もちろんそこにかかるコストも並大抵ではなくなる。
更には生産量についても大きな問題があり、安く作るにはたくさん作る必要が出てくる。かといってたくさん作れば作るほど、たくさん売らなければならない。
しかも前述したタイムリミットも存在する中でだ。
デザイン費や生産量、在庫を持つリスクを解決できなければ、小さな文具屋に手帳を出すことはできない。

しかしまあ、出るときは出るもので。
A4コピー用紙をイベント会場で折り曲げたり、ハサミで切ったりしていたら偶然それらの問題をクリアできる「手帳みたいなもの」が出来上がってしまった。
上の写真がそのイベント会場で作ったプロトタイプだ。
折り目をつけて、真ん中にハサミで切れ目を入れる。それだけで、シンプルすぎるがゆえに誰も作ってなさそうな手帳みたいなものができたのである。

連続してバーっと見れる気持ちよさ

DOCKET EVENT PLANNERと名付けたこの「手帳らしきもの」は、紙の片面に12ヶ月分のカレンダーが印刷されたアイテムだ。
A4サイズとA3サイズの2サイズを用意していて、1年間の予定をスマホより大きく広げて確認することができる。

さらに、DOCKET EVENT PLANNERには、はじめから折り目がつけられているので、きれいに小さく折りたたむことができる。
この畳んだ状態で、ハサミのマークが付いているところをお客様自身でカットしてもらうことで、手帳に変化する。

基本となる4つ折り状態だと、このように3ヶ月を連続したスケジュールをA6、またはA5サイズでコンパクトに確認することができる。
クリアホルダーも付属するので、薄く軽く荷物やノートに入れて、持ち運ぶことが可能となる。

続いて2つ折り状態まで開くと、このように6ヶ月分の予定がバーっと確認できる。
これは、細かい予定はスマホで管理している自分が、イベントや出張でおおまかな予定を別枠で把握しておきたいと考えたところから生まれたフォーマットになっている。
1マスずつは小さいので、数日にまたいだ予定を書き込んだり、丸で「早」とか「遅」という字を囲んで、バイトの早番と遅番を書いておく程度の使い方を想定している。

これは百貨店などでイベント出店する人たちとお話をしていた時に、見開きで用事を確認できる思い切ったフォーマットがなかなかないと話していたことから実装したしくみでもある。
特に前後の月に移動するのにマンスリータイプの手帳ではページを捲っていくので、前月の予定と見比べできないことがなんとなく気になったことから、「連続性」に特化して考えてみた。

その結果生まれたのが、4〜6月と7〜9月を連続して視界に収められる構造だ。
先ほどハサミを入れたことによって、簡易の製本で使われる構造を応用。
必要ない人には必要ない機能かもしれないけど、このシームレスにつながる視界がとても気持ちいい。

一連の動きを動画にするとこんな感じ。
なんとも文章では表現しづらいけれど、こんな風に広げて確認をすることができる。

このように、3ヶ月、6ヶ月、12ヶ月といった単位で予定をバーっと見ることができる点。

そして、1〜6月、4〜9月、7〜12月の3パターンの6ヶ月予定を一覧できる点。

そしてお客様自身で、複雑な構造を仕上げていただくという点を加えることで、片面印刷というチラシ印刷のような範囲で、これまでにありそうでなかった手帳っぽいものが完成した。
これならば大きなコストをかけず、なおかつお客様にもお手軽なスケジュール管理アイテムを提供することができる。

なんなら、こちらを読んだみなさんなら自分で作って印刷して作ることだってできるだろう。
しかしながら、マス目に折り目がかからないようにしたり、祝日などを確認しながらカレンダーを作るのは結構めんどくさいので、もう出来上がっているものがほしければ買っていただくといった感じでいいと思っている。

「DOCKET EVENT PLANNER」というネーミングも、手帳というほど作り込まれてなく、1年のイベントがバーっと書き込める役割を考えて生まれた。
スマホやパソコンをあくまでスケジュール管理の基本としながら、ちょっと予定を書き込める最小単位の手帳として、誰かのお役に立つと嬉しい。

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途中に出てきたノートカバーもこちらからどうぞ


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