輪読会 書籍「インストラクショナルデザイ理論とモデル」第1章 前半
一人で読み進めるには根性のいる分厚い(ページ数:486ページ)書籍『インストラクショナルデザイン理論とモデル』の輪読会に参加したので、その内容をメモとして残しておきたいと思います。
第1章「学習者中心の教育パラダム」
この書籍は、章ごとに著者数名が担当し15章で構成されている。
第1章の著者は以下3名
ロドニー・D・マイヤーズ
ダバエ・リー
1.学習者中心の教育
本書籍の主軸である「学習者中心の教育」の定義がまず記載されていてポイントとしては次の2つの組み合わせで教育を考えるとしている。
・学習者 個人個人(の多様性)
・学習(内容や方法など)
”旧来の” ID 的な考えだと、学習者の前提スキルや背景・状況は同じ、学習に関しても 学ぶ順番 や 学ぶ方法 時間までも、指導者側が指示するといった認識だ。今の日本の学校教育そのものだ、、、
上のような方法では、現在の教育ニーズに対応できない本書には示されている。
まず、時間(時限)に基づく進捗管理は、完全習得学習 から外れてしまうこと。次に、主な仕事内容が、単純労働から頭脳労働へ変わったことでより高次の学習レベルが必要になった。
輪読会では、”旧来の”のIDの考えを刷新するといった話もでていた。
理論的基盤は3つ列挙されている
(・・・以降のコメントは輪読会の話の中ででてきたキーワードをメモ)
認知主義・・・
個人の既に持っている経験や知識にもとづく学習
個々人に委ねられた(依存した)学習
構成主義・・・
独りでの学びではなく、グループなどで他者との関わりから学んでいく
人間中心主義・・・
学習意欲に基づいた自発的・自己調整的学習
2.普遍的原理
達成度基盤型のインストラクション(attainment - based instruction)・・・
完全習得学習と同じ考え方
自分のペースで自分で内容を決めて学習を進める
時間ではなく学習ゴールに基づくべき
学習評価は絶対評価(これができたら合格)、
Attainment という単語はみたことがないというコメントがあった
Attainment とは、目標を達成するとか到達するとかという意味。似たような単語で、Achievement もある。Achievement は、テストでの成績(定量評価)と普段の定性的評価も含むようなニュアンスで使うことが多い。「あの生徒はアチーブメントが高い」とか。
Attainment を使うのは、ライゲルース独自なのかもしれない。Time based の対義語なのかもというコメントもあった。
熊本大学のIDポータルが公開している、次の資料(The Future of Instructional Theory:ID理論の行方 by Charles M. Reigeluth)によると、「Attainment based」は、 「到達度を基準とした進捗」と訳が付けられている。
達成度基盤型と成果基盤型(outcome based)の違いはどのあたりにあるのかといった議論もでた。outcome は、教育効果測定「カークパトリックモデル」のレベル3相当にあたる。一方、到達度はレベル2相当。
達成度基盤だと、学習を終えた直後の個人のスキルを評価するイメージ。
成果基盤だと、学習を終えた後、学習した内容をその後の生活で活用できているかのイメージ。
学習者中心でコンピテンシーベースでは、学び終えた後も評価し続けるこになる。
コンピテンシーは、文脈がビジネス寄りに感じる。例えばハイコンピテンシーな人材とか。
ルーブリックやポートフォーリオ評価みたな話は、学校寄りの話に感じる。
とつれづれ書いてみた。後半はまた次回。