総理大臣のいない国家、それが日本!!(憲法夜話)⑤
憲法とは、生命、自由、財産の保護という、国民の基本的人権を守ることを最大の使命とする・・
表だけの超高額紙幣!?
さて、大臣として大蔵省に登庁した高橋が最初に官僚に命じたのは、「とにかく紙幣を刷りまくって、それを各銀行の窓口に積み上げろ」ということだった。
このとき日本全国の銀行は政府の要請で三日間の臨時休業(日曜含む)となっている。
この三日間を利用して、とにかく現金を全国の銀行に供給しろと言うのだ。
国民に広がりつつある金融パニックを鎮めるには、いくら口で説明しても無駄だ。
「大丈夫だ」と言えば言うほど、かえって人々は疑心暗鬼となって営業再開した銀行から預金を引き出そうとするだろう。
しかし、銀行というのはいつも金庫に大量の現金を用意しているわけではない。
預金者が銀行に殺到すれば、払い出す現金がたちまち払底する。
そうなれば、さらなるパニックを呼ぶのは目に見えている。
「だから、とにかく高額紙幣をたくさん刷って、それを銀行に運びこめ。店頭に現金が山積みされているのを見ただけで国民は安心する。」と高橋は命じたわけである。
そのためには、なるべく高額の紙幣がいい。そこで、その当時は100円札が最高紙幣だったが、高橋はその倍の200円札を刷れと言った。
ところが、この命令を聞いた大蔵省の役人どもはこぞって反対した。
理由は簡単、「前例がない」と言うわけだ。
そもそもお札というのは、そんなに短時間作れるものではありません。
印刷の原版を作るのも大変だし、それを刷るのだって時間がかかります・・云々。
すると高橋はこう言い放った。
「そんなに手間がかかるのだったら、印刷するのは200円札の表側だけにすればいい!!要は現金があるかどうかだ!!裏が白かろうが気にするものか!!」
これを聞いた役人が気を失いそうになったのは言うまでもない。
役人の発想からすれば、片面しか印刷していない紙幣を作るなんて想像もできない話である。
だけど、ひとたび大臣の命令が下れば、官僚は言うことを聞くしかない。
その「常識」は、この当時、ちゃんと生きていた。
高橋の命令どおり、裏面が白地の200円札が超特急で刷られ、日本中の銀行に札束が積み上げられた。
かくて、国民もようやく安心し、パニックによる銀行の連鎖破綻という最悪の事態は回避されたのである。
これが世に有名な「裏白の200円札」である。
つづく
【参考文献】『日本国憲法の問題点』小室直樹著 (集英社)
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