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亜麻色って何色? 小さい頃の誤解
「亜麻色の髪の乙女」ドビュッシー(あるいは島谷ひとみ)の曲のタイトルにある「亜麻色」。
私はこの色について長年、誤解し続けてきた。
もちろん(?)「聖闘士星矢」のせいである。
※いつもながらネタバレあります
私が初めて「聖闘士星矢」を読んだのは小学校1~2年生のころ。
当然、マンガに出てくるあらゆる言葉が初見だった。
「笑止!」とか
「廃人同様にしてくれるわ」とか
「キジもなかずばうたれまい」とか、めくるページめくるページ、小学1年生が知る由もない言葉にあふれていた。
「所詮きみらヒヨコにはわかるまい」というアフロディーテのセリフを読んで
「瞬たちは人間なのになんでヒヨコって言ってるの?」とか親に聞いていたのを覚えている。なんたるヒヨコぶりか。
さて、十二星座やギリシャ神話、ことわざ、かっこいいチョイ悪台詞など、多くのことを教えてくれた「聖闘士星矢」だが、一つ私が間違って覚えてしまったことがある。
亜麻色。
察しのいい「星矢」オタクならもうおわかりかもしれない。
ハーデス編のトンデモ展開、アンドロメダ瞬がハーデスに体を乗っ取られるシーン。
兄の一輝が叫ぶ。「瞬の亜麻色の髪が漆黒に変わってゆく!!」(JC㉕124-125)
ここで初めて、私は「亜麻色」という色があることを知った。
ルビもふってあるから、小学2年生でも「あまいろ」と読むのだとわかった。
あまいろ、ってどんな色……?
もちろん、瞬の元の髪の色である。
さてここで問題です。瞬の髪の色は???
小学生のころの私が持っていた数多の悪癖の中でも、今でも「うわっ……マジかよ……」とドン引きしてしまうのが、「マンガの表紙カバーを即捨てる」だった。
信じられないでしょう。私も今では信じられない。
しかし当時の私には、コミックスの表紙カバーはただただ邪魔なだけの代物だった。「ええーい面倒!」とばかりに買ったらすぐに外して捨てた。
もし私が、「聖闘士星矢」の表紙カバーを捨てずにおいたら、瞬の髪の色がどんな色なのか、きっとわかったはずだ。少なくとも、「どっちだろう?」くらいは思ったはずだ。
そう、私は当時放映中だったアニメの瞬の髪の色(=緑色)の別名が亜麻色だ、と誤解したのだ。
小学生のころの私が犯した悪事の中でも、思い出すと顎が外れそうになるのが、「マンガをぬりえにする」だった。
初めて買ってもらった「聖闘士星矢」はなぜか12巻、たぶん祖母が本屋に並べてあった中から適当に買ってくれたのだった。
瞬vsアフロディーテから始まる1冊。これに、私は確かに12色の色鉛筆で色をぬっていた。瞬の髪は緑色に……
「亜麻色」が緑色なんかでは全くない、ということをいつ知ったのかは覚えていない。
そして今、大人になって入手しなおした、カバーもしっかりつけたままの「聖闘士星矢」を見れば、瞬の「亜麻色」の髪は「栗色」「茶色」であることが確認できる。
しかし、恐るべきは幼いころの刷り込み。
今でも「亜麻色」と聞き、その文字列を目にするたびに、
私の脳裏にはアニメの、瞬の髪の緑色がほのかに浮かぶのである。