森の奥に座す泉、その深みから泡粒がつぶやくように
早稲田の古書店街に足を踏み入れる機会に恵まれたので、いそいそと寄りたい古本屋を調べたのだが、日曜日だったのでそのうちの1軒しか開いてなかった。
古書ソオダ水。かわいらしくも風情のある店名。早稲田大学に隣接している。
この日は待ち合わせをしていて、その時間を待つ間の一人のお楽しみ。
2階へ上がる。お客はほとんどいない。
書棚の間で、伸びたり縮んだりしながら背表紙を眺める。気になったら引き出す。めくる。値段を見てみる。
この後お泊りなので重いかさばる本は困るな。そういうとこは私シビア。薄くて軽いの、あと安いといいな。
だんだん奥に進む。あ、俳句とか短歌のコーナー。
すごい薄い小さい本だ。このタイトル、なんか知ってる気がする。
『句集 無伴奏』岡田幸生
ああ、知ってる、この句が確か紹介されてた、どこでだったか。(※1)
インパクトすごいよね。ただただかっこいいよ。
や、これ買うわ。400円? 買うわ。
だってただ事じゃないじゃん? 「さっきからずっと三時だ」って。
や、時計止まってるって話だろうけど。それだけじゃないただならぬ何かがあってしまう気にさせられる。
他にもあれこれ見て、で、やっぱり『無伴奏』を買った。
で、先日一人旅に持って行った。新幹線の中で読む。(※2)
すばらしいな。最高の休みだな。
わかる。あと、朝の通勤電車で駅じゃないところで止まっちゃったときだけ見える、なんかのオフィスのめっちゃ資料?ゴミ?だらけの部屋とかもあるよね。
おもしろー。寒くなるのは傾いてるからだもんね。でもこれだと数ヶ月のうちにどんどん傾いてそうで笑える。30度くらい傾いてそう。惑星レベルのスケールなのに牧歌的。(※3)
わかる。泳ぐよねそれは。
「泳ぐ」「泳いだ」でどう変わるんだろう?
「泳いだ」の方が一回性があんのかな?
……詩集歌集句集。
どうやってみんな選ぶんだろうね。
私はどっかの引用でピピっときたとか、一回こっきり入店の本屋・古書店で手に取ったとか、そういう「出会い」を手掛かりにしてる。
この句集を持って行った旅先では、古書店で新刊詩集を買った。
『雨になる朝』尾形亀之助
表紙がきれいで、薄くて軽くて買いやすかった。楽しみ。しばらく飾っておく。
※1 斉藤倫『ぼくがゆびをぱちんとならして、きみがおとなになるまえの詩集』
※2 ずんだと牛タンの国に遊びにいったよ
※3 地軸って実際どんだけ傾いてんだっけ、と思ってググったら「23.4度」だった。10度くらいだと思ってたからびっくり。けっこう大胆に傾いてんな。
※ 今回、あまり文章を整えないようにしてみた。小津夜景の『ロゴスと巻貝』を読んだ影響。これもすごいよかった。(乱文を誤魔化そう)
※ タイトルどうしよ、と思ってこねくり回したらなぜかこのタイトルにたどり着いた
(↓↓詩集歌集句集好きはぜひ↓↓)