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人生は壮大なるアミダクジ?

 【シュレディンガーの猫の謎】や【人間原理の謎】という記事の中で、多世界解釈の話をしました。
 まあ、長い長い超ややこしい話を2~3行に縮めてお話しますと、最新の量子論宇宙論によると、我々の見ている世界は毎瞬ごとに、あらゆる可能性の世界へと枝分かれして行っているという事です。つまり、宇宙は一つではなく、過去にも未来にも無数の世界・無数の宇宙があり、可能性の数だけ世界や宇宙は存在するということです。
 何故またこの話をするかというと、最近、上記のようなことを色々考えて来て、ふと思ったのは、要するに我々が経験している世界と言うのは壮大なるアミダクジみたいだなあ、と改めて思ったからであります。
 ただ、実際のアミダクジと根本的に違うところは、アミダクジはいったん出発点を決めたらその時点で終着点も決まっています。アミダクジの場合は、選択できる枝分かれの時は始めの一つしか無く、いったん出発点を決めると終着点は決まってしまうのです。
 しかし、多世界解釈では、毎瞬枝分かれの時があり、その時の選択肢はあらゆる可能性の数だけあり、毎瞬その中の一つを選び、次の瞬間にはまた無数の可能性中から一つの世界を選ぶという作業を繰り返しています。
 ということで、多世界解釈のアミダクジは、毎回の選択肢が無数にあるアミダクジで、その無数の選択肢のそれぞれの先には更に無数の選択肢がある、とても紙には書ききれない膨大な数の選択肢が無数に広がって行く、とてもつもなく壮大なるアミダクジなのであります。
 そして我々は、毎瞬、無数の選択肢の中から一つの世界を選んで行っているということです。
 「そんなややこしい事をしているつもりは無い」とお思いでしょうが、自分の人生を振り返ってみれば、あの時にああしていれば今頃はこうなっていたかもしれないとか、あの時にああしていなければ今頃はこうなっていなかったかもしれない、なんてことは幾らでもあると思います。
 つまり、望むと望まざるとに関わらず、我々は毎瞬、何等かの選択をしているわけで、困っているおばあさんを助けたことによって、予定より一本遅い電車に乗ることに成ったが、たまたまその電車で昔の友人に出会って、その出会いによって、その後の人生が大きく変わったなんてこともあるかもしれないし、逆に、おばあさんを助けようかどうか迷った挙句に、助けていると遅刻するかもしれないので、助けずにそのまま電車に乗ったら、その電車が脱線事故にあって大怪我をして、それが元で失業したなんてこともあるかもしれません。
 よく運命という言葉がありますが、もし未来が無数にあって毎瞬の選択で未来が決まって行くとすれば、決まった運命など無いことに成ります。
 ただ、量子論多世界解釈でも、世界が分岐する際、それぞれの可能性には確率があって、確率の高い可能性と確率の低い可能性が共存している状態から分岐していきます。
 それと同様に、我々の人生の可能性も、未来にはあらゆる可能性があるが、確率の高い可能性と低い可能性が共存していて、その中かから選択することに成るので、流れに任せた人生を送っていると自動的に確率の高い可能性のみを選択していくことに成ります。
 逆に、常に志をもって、自分の目指す方向を実現するべく努力を続けていくと、毎瞬そちらに近づく世界を選択して行くため、たとえ当初は確率が低そうに見えていた未来でも実現することは幾らでもあるという事です。
 つまり、毎瞬の選択でいきなり確率10%しかない未来を選択することは、めったにできることではありませんが、毎瞬確率51%より49%の自分の望む未来を選択して行けば、少しずつそちらの方向に近いづいて行き、最終的には当初は確率10%しかなかった未来へも到達することは可能だという事です。
 よく言われる、諦めないこと、自分を信じること、などというのは単なる気休めではなく、実際に効力はあるということです。
 まあ、ここまでの話は結構実用的な話なので、皆さんも興味はおありだと思いますが、僕が気になったのは、もし人生や世界が上記のような壮大なるアミダクジだとすると、そのアミダクジにあるあらゆる可能性が実在化した無限の数の過去の世界も、あらゆる可能性が実在化する無限の数の未来の世界も、今現在同時に存在しているという事を意味するということです。
つまり、時間と言うものは、本当は存在しているようで存在してはおらず、我々がアミダクジを辿っていく行為こそが時間の本質なのかもしれないという事です。
 このように、過去も未来も本当は今現在存在している、ということが分かるとちょっと考え方が一皮剥けると言うか、かなり宇宙論や時間論の本質に迫る、ものごとの本当の在り方に一歩近づいたような気がしている訳ですが、この辺の話はちょっとマニアック過ぎて、プッツン行っちゃってる人と紙一重と思われそうなので、この辺で止めておきます。
 しかし、この辺の話にご関心のある理系の方は、是非、まじめに研究して行って頂きたいと思います。

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