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One World 世界一周券を使って全世界旅行を終えていろいろ総括してみた
世界一周旅行を終えて今感じていることを最後にまとめてみたいと思います。
唐突ですが、今晩から世界一周の旅にでかけます。家族も羽田まで見送りに来た。旅を通じてインプットとアウトプットを高速回転させて何が見えるかチャレンジ。まずは南半球から。 https://t.co/oScjAf6Msv
— Takashi Tim SATO (@takashisato) November 17, 2019
旅行記は何度かに分けてマガジンとしてまとめてあります。今年も旅行には行くのでいろいろ追加追加していきます。
振り返ってみれば、2019年という年は20年前からずっとネット業界で仕事をしてきた自分にとっては2000年のように分水嶺のような年だったと思います。
というのも
・ヤフーとラインが経営統合し、もはやネットベンチャーという領域は消滅した
・世界的にはGAFAへの風当たりが強まり、デジタルテクノロジーとグローバル化によって世界がよりよくなる、という性善説的なトレンドは終了した
こんな形で自分ゴトとして捉えてしまっているからです。
なんというか25歳となった2000年から捧げてきたネット業界、モバイル業界の青春が終わったな、という感じ。
ネット業界はシリコンバレーのデジタル利権に吸い上げられ、それを主とする世界は三強以外にはもはやなくなる。ヤフー、楽天、DENAの3強に収斂する時代。 https://t.co/o96HOPHMMM
— Takashi Tim SATO (@takashisato) November 13, 2019
これは、すでにグローバル化できていない産業では20年前から起こっていた問題だったと思うのですが、いよいよネット業界においても、国内の既存の業界からの本気の進出があったわけでもなく、海外からは言語圏で守られてきた状況が、内側からも外側からも壊されて、内的変化を起こしていかざるを負なくなることに気が付かされた一年だったのかなと思います。
これからは、きつい言い方をするとネット業界で育った大多数のおじさん・おばさんたちの大失業時代というか帰路に立たされるシーンが増える気がします。(40代でネット業界がはじめての縮小均衡業界になる現実に戸惑う人たちは多いはず)
さてさて、こうしたことを居酒屋でボヤくのは簡単ですが、
・一方の世界はどうなっているのかを複数カ国まとめて見てみたい
・青春が終わり壮年を迎えた今、世界を見渡し今後ネット側を拠り所としつつもどうやって生きていくか、何がやりがいになるのか
という意味で、世界一周旅行は意義深いものとなりました。
その上で下記の観点が自分なりのまとめになります。忘却録的に残しておこうと思います。
1.スマホは車社会における自家用車、黙って最新鋭のスマホに投資しろ
今回の旅行の前に香港でiphone11を購入して出かけたのですが、とにかく便利。
スマホは一日で一番接触している道具なので、今回思い切って新型にしたことで、旅行中にスマホがらみで全くストレスが全くなかった、というのがすごく衝撃でした。(カメラの撮影音がない点も)
またiphone11の広角カメラを使って写真や動画が自在に扱える体験はとても素晴らしく、残った写真や動画をトリガーに自分の頭の記憶に残していくのに役立ちました。
海外を旅している人というバイアスがかかっていますが、アフリカ人含めて多くの人がiphone11や最新のシャオミーのスマートフォンを持っています。(一年前はファーウェイのスマホを持っている人が多かった)
飛行機の中でipadを開いて仕事をしたり、動画を見ている人がとても多かったのも印象的でした。
今どきディスプレイ端末はスマホ・タブレットがメインで、身近な電化製品で投資するものがないのでれば、スマホぐらいは定期的に最近機種に買い替えてもいいのではと思いました。
スマホはガジェットではなく、車社会の自家用車みたいなものです。車社会における自家用車に投資する感覚でお金を支払うべきなのです。
車は定期的に買い替えたり、中古車を買ったり、保険に入ったり、カスタマイズしたり、、、、、、たくさんの要素がありますよね。
スマホもそれと同じなのです。
2.シェアリングエコノミーの発展は前途多難
今回旅を通じて、Airbnb Uberを本格的に使いました。
メルカリ以外に日本国内でさしたるシェアリングエコノミーサービスを継続的に使えるものがない自分にとって、複数の国で横断的に使えることでどういう利便性があるのか、ネット側とリアルに染み出した地点の国ごとの違いこそが、社会との摩擦の根幹になると思って、それは何なのかを見出そうとしました。
結論的には下記のような感じとなりました。
・海外では法律的な問題はクリアされ普通に使われている。こんなに競争もないのは日本ぐらいである。
・折り合いをつける過程で税金が、国・州などの地方公共体から個別に設定されるケースがある。
・すべて日本円でも決済できるし、現地通貨建てのクレジットカードでも決済できる。
・とはいえ、グローバルプレイヤーより、地場のプレイヤーの方が強いし安い。ツーリスト的にはグローバルプレイヤーの方が安心。
・現地の法律はクリアしていても、嫌がらせなどは存在する。人と人が向き合うサービスである観点で、機能的な役割云々よりも感覚的に怖い、度胸がいる状況になっている。
特に最後の項目が重要で、
・結局地場のサービス以外の担い手は、もともと正規に働けないひと、もしくは夜の仕事のように内緒で働きたい人になっている。
・メインストリームには決してなりえない、今後もかなり怪しい。
という部分を理解する必要があります。
なので、シェアリングエコノミーの会社がGAFAのような世界的なプラットフォームとなって世界を席巻する、という考え方はどこかおかしいのです。
言葉を理解しなくてもアプリで指令した通りに依頼できるから楽チンという考え方もわかりますが、ネットで完結するサービスでないため、最後は人と人が触れ合う部分になるので、なんとなくざらっとした印象になっています。
黎明期のインターネット時代にネットで異性の子と出会った感覚に近いのです。
そういう意味ではまだまだ過渡期ということなのでしょう。
あとairbnbでホスト役が女性のやつはインチキの可能性が高い。単純に女性がもてなす体だと安心感があるからそうしているのだと思います。
実際に宿泊はできますが、たんなる業者っぽい若者がやってるケースが多いですね。はじめてたくさん使ってみたので少しコツが理解できました。
3.中東は侮れない
ドバイの旅行記の回で触れましたが、これまで20年間私はアジア最高、と思って生きてきました。
イスラム教にたいする偏見みたいなものと、いつも紛争ばかりしている中東に対する偏見がありました。
ただスマホとインターネットで世界が一つになる過程で、アラブ人やアフリカ人と触れ合う機会はこれから増えるのだろうなという感覚と、アジアと同じぐらい中東はこれからの前途は明るいのだ、という印象も持ちました。
地政学的な観点でのポテンシャルを感じたのが一番強いけど、スマホが世界を結びつけたことで世界の人たちに物事を届ける視点がいままで以上に問われる時代になりそうな予感です。
北米開拓は重要ですが、アジア開拓と同じぐらい、ロシア言語圏開拓、スペイン言語圏開拓、アラブ開拓を意識していく時代になるのでしょう。
ピンポイントで世界と人々と商品が繋がる時代、2020年代はそういう時代なのです。
4.世界中でLTEの高速通信網が使える意味
今回旅行をしてみて一番衝撃だったのは、南米の山奥以外でほぼ全ての場所で当たり前にLTEが使えたことでした。
どこからでもSNSはおろか、Amazon prime videoが見える。
つまりインターネットのフロンティアはこの10年でほぼ消滅したのです。
それこそが2010年代にGAFAとよばれる巨大な利権構造が、本来は既存システムのカウンターパートとして登場した、分散的な情報配信システムとしてのインターネット上に登場した理由だったのではと思いました。
さらに、LTE高速網の意義としては、言語の壁を超えて伝わりやすい動画が世界中に拡散する影響ははかりしれないインターネットによる社会変革第二派になると思っていて、この中心地にnetflix youtubeが絶好のポジションにいるのだと思います。
Netflix決算Q4'19
— 米国株 決算マン (@KessanMan) January 22, 2020
❶ 売上+30.6%増、米国外の課金者数が1億人を超え貢献
❷ ローンチ後好調な出だしのDisney+やApple TV+など競争激化で米国の解約率はわずかに上昇し、米国の見通しは慎重
❸ インドなどアジアでのグロース施策が成功しAPAC売上+51.1%成長と手応えhttps://t.co/UnElDNGe4t
動画サービスの認知・利用率の調査結果を見ると、YouTubeがダントツの認知率92.4%、利用率も 65.4%。15~79 歳男女の調査でこれなので、若年層はほとんどの人が利用していると言えそう。これからは利用頻度、アクティブ率が高まっていくフェーズ。すごいことになる。https://t.co/6zOPmgkhtC
— もっとい@エンタメマーケター (@MOTTOI) January 17, 2020
※日本国内はこれに加えてfireTV stickとnetflixボタンのおかげでテレビとネットがつながった世帯が急増し、動画をお茶の間で見る流れも加速している。
双方向のc2cの時代から、ネットとスマホが融合した新しいテレビのような巨大なメディアが生み出される。
人々のニーズは分散化と、集約化(ミーハーなものに集約されるということ)を相互に繰り返すので、ネット側の力学は2020年代は逆にブレて、既存のメディア産業が復権することはある程度想定すべきでしょう。
特に言葉の壁を超えて伝わる動画のコンテンツに関してはこれまで文字と画像と若干のインタラクティブ要素があった時代からは変わり、本物の脚本、話し方スキル、演技力、プロデュース力、編集力が必要となります。
ここには強力な情報や人材の非対称性がある世界なので飯が食える。ということは継続的にコンテンツを生み出していく利益の源泉があるということです。
堀江さんの話は、ネット動画のパラダイムの話をLTEやネットフリックスの話をからめて、示唆に富む内容ですがテレビの時代が終わるというのはややポジショントークかと思います。
テレビ側の人たちがそれだけでは飯が食べられなくなって、ネットに染み出していく、ネット側で居場所ができる時代になると思います。
ゲーム業界のこの10年によく似てる。
考えてみればもともとエンターテイメントやコンテンツは、古くは活字の新聞からラジオ・その後テレビへとより深い表現性を持ったものへと進化してきました。
インターネット大陸側にそれが移動したとき、一時的に文字と画像中心に少し先祖返りしたものが、結局はもとに戻ることなのだと思います。
考えてみれは、newspicksも今や動画メディアですよね。
newspicksのサービス飛躍に大きく貢献したかつての旧東洋経済新報編集長だった佐々木さんは、動画メディア側に振りきっていて興味深いです。自己顕示欲の吹き溜まりのコメント欄なんてどんどん読まれなくなってきている。facebookのタイムラインがつまらなくなったのと同じです。
今のyoutuber的なコンテンツは怪盗ロワイヤルに代表される黎明期のソーシャルゲームみたいに10年後の時代からは化石扱いされるのでしょう。
5.世界には見えない地図がある
アジアには華僑経済圏みたいな見えない古来からの人々の家族的なつながり、文化的なつながりで構成されるネットワークがあります。
言語圏の宗主国をキーとしたつながりは21世紀の今でも強固で、その意味でイギリスとオセアニアの結びつき、アルゼンチンと南欧のつながり、など一見すると距離感がある国同士の間には見えない地図がありつながりがもっと近かったり遠かったりします。
20世紀は、第二次世界大戦を通じてドイツや日本の拡大を阻止したイギリス、アメリカを中心とする勢力に対し、冷戦自体は形上敗北したとしても、結局ロシア言語文化圏と中国語言語文化圏が結果的に覇権領域を増やしました。
現在はGAFAを筆頭とするアメリカ言語文化圏がしばらくの間世界を席巻しますが、緩やかに分断化が進むでしょう。
それぐらい国と国の間には見えない地図があり人々の行き来があり、それはひろくあまねく全ての国にフラットではないのです。ここにグローバル化のインチキさが露呈される。
空港で人々の出会いと別れや飛行機をぼーっとみるのはなかなか面白いですよ。
6.翻訳アプリのパラダイム
Google翻訳に代表される、クラウド側で自律的AI的に賢くなる言語翻訳の世界。ああ、それね、ぐらいにおもうかもしれませんが、今日全く教養がない世界中の人々であっても、だれしもがスマホアプリでどこからでもいつでも無料で使えてしまう時代になりました。ポケトークも、こうした恩恵を切り出したツールとしてスマホの文脈にない人たちへも浸透しています。
私たちはそういう文脈でこの意味を深く考える必要があります。
スペイン語を話す人たちは意外と英語が話せません。
これまでインターネットの恩恵を預かってこなかったおじいさん、おばあさんがスマホアプリで翻訳ツールを使うのを何度も目にしました。
言葉の壁は緩やかに溶けています。動画と翻訳ツールは確実に世界を結びつけているのです。
7.リベラルアーツの重要性
旅行を意義深いものにするためには、準備が重要です。
観光ガイドを読んでおくことは準備とはいいません。そのレベルではミーハーに単なる旅行先の観光資源を消費するだけで終わってしまいます。
もっと深い視野、具体的には、その土地(国・土地)の分野や歴史、人々の生活、食文化についてのこれまでの文脈的知識を入れておいた上で現地に行くと、いろいろな気付きがあるものです。他の国との違いを意識できると、これまで生きてきた自分自身への気付きにも繋がります。
そして重要なのは、そうしたものを現地で宿泊しているホテルでその場で改めて読んだりその場ですぐに調べてみることです。
インターネットはそういう意味でとても便利なツールです。
現地で現地の人のブログや発信されるyoutube等の動画を見たり読んだりすることは、事前準備で日本で知り得たものとはまた違った気づきだったりします。
世界視点で物事をとらえるためには、事前準備、直後振り返り、このブログにまとめるような形での後日アウトプットが大事で(本を読む・読んだ後アウトプットする、のと似ています)、その根底にリベラルアーツ的な歴史・文化的な探求があるとより深みがあるものになると思います。
今回は一度の旅行で複数国・都市を回ったので、同時にそれを行ったことで国や都都市ごとの違いがより明確化されて自分の中にインプットできました。
通常の一目的先旅行と違い、周遊旅行や世界一周旅行はそうした意味があるのだと実感しました。
8.プライドを持って撤退戦をしよう
日本国内はこれから人口や経済規模がゆるやかに縮小均衡を目指し、それはネット業界も例外ではなくなってきました。縮小均衡を経て、どうプライドをもって社会や人々のあり方があるのか。
いろいろ考えましたけど、
・余計なことを考えない
・ビビらず前のめりに生きる。縮小均衡に萎縮せずお金は前のめりに使う
でいいと思います。
南米の人たちやギリシャの人たちが、今日ネガティブに生きているのかというと全くそんなことはありません。
南欧の人たちは英語を使おうとしなくても、使えなくても淡々と元気に生きているし、ドイツや日本に経済戦争で負けても、誇り高き観光資源やブランド資源で生きています。
最近思うのはお金は投資か浪費かとか考えずにとにかく使うべきということ。ポイント還元とか変なゲームに日本人は巻き込まれすぎで、ダサいお金の使い方に罪悪感を感じるからこその逆張りが正しい。得られるものも多いのだ。お金に対する意識は低めで行こう。
— Takashi Tim SATO (@takashisato) December 18, 2019
体系立てて改めて整理したいので、イノベーションのジレンマ3を改めて読んでみようと思います。
物事の本質を見極め、一発逆転をねらったり変に卑屈にならず、淡々と打席に立ち続けること、ワクワクよりコツコツな感じが重要かと思います。
衰退の5段階
— Dr. K (@Dctr_K) December 26, 2019
第1段階:成功から生まれる傲慢
第2段階:規律なき拡大路線
第3段階:リスクと問題の否認
第4段階:一発逆転策の追求 ← いまここ
第5段階:屈服と凡庸な企業への転落か消滅 pic.twitter.com/w5Z2zoAw06
9.旅行は戦略的投資だ、書籍を読むのと同じ
旅行はこれまで、疲れた日常を、非日常の体験を通じて癒やす消費の場だぐらいにしか思っていませんでした。
がしかしこの度、本を読むかのごとく、インプットとアウトプットを効率的に行うことで高い効果が得られる「戦略的投資」になりうることがよくわかりました。
特にこれまでも女子は自分磨きの視点とかで旅行に行きますが、男性はカジノやゴルフに出かける観点、家族サービスの観点で海外へ旅行をしたりする意味合いはありますが、それぐらいだったのではないでしょうか。
ただ、旅行それ自体をもっと積極的に「大人の社会科見学」みたいに受け入れていくのも面白いのではないでしょうか?(旅行自体を目的にして仕事を堂々と休むような視点が必要では)
実際オトナになると、50万円以上のまとまったお金の投資って、案外忙しさにかまけて、そんなにないものですよね。
家を買う、車を買う、の次ぐらいに旅行に投資するってありだと思います。
10.次は何をするのか
まだぼんやりしていますが、世界中で当たり前になったLTE*動画の世界で仕掛けていく部分にとても興味があります。それぞれともに枯れた技術・プラットフォームなのも、好印象です。
世界視点で、テックマーケ・マーケハック的な要素が通用しなくなる時代、登る山が正しければなんとかなるような黎明期のネット業界のような時代がおわった今、本質的なコンテンツを世界中に仕掛けていく、という視点でやれること、やりたいことを考えていきたいと思います。
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