沖縄にいってきました!〜三線組合、工房見学編〜
こんにちは、沖縄の三線音源保存チームのIBM矢野です。この度、沖縄の現地調査に行ってまいりましたので、そちらのレポートをさせていただきます。
きっかけは、森ビルさんから「沖縄いきませんか?アーチ企業が取り組んでいる文化保全のイベントを視察しに」のお誘いをいただいたのが始まりでした。江津市チームを隣でみていて、ちょうど現地へ行く重要性を感じていたので2つ返事でお誘いにのりました。
そこにあわせて、プロジェクトをご紹介してくださった、みらいおきなわの砂川様と三線組合の長嶺様のアポをとり、私たちの旅がはじまりました。
さてさて、みなさんは三線についてどのくらい知っていますか?私は「島唄」、「三味線みたいな楽器」という程度の知識しかありませんでした。
三線組合さんの事務所にお邪魔すると、、、
所狭しと並んでいるこの三線。みてください、この美しい楽器を。
こうやって側面は色々な布で飾られているんですね。
様々なコラボも実施されていて、The Boomの宮沢さんとのモデルもありました。(一番右です。)
なんと、泡盛とのコラボも。。!
これだけ見ていても、コレクター心をくすぐるコンテンツばかりです。
しかも、三線はギターより弦が少ないため、ギターで挫折した人も三線なら奏でられるとハマる人も多いそう。楽器が得意ではない私もしっかり欲しくなってきました!
さてさて、本質的なところのご紹介を。
これなんだかわかりますか?
黒木(くぬち)といって、三線の原木になります。これで作られる三線が一番よいものだそうです。手にもつとずっしりとした重みがあり、非常に密度が高い木だとわかります。これだと、沖縄の湿度にもまけずに木が変形しにくく安定した音が出るそうです。
手に持って比べさせていただきましたが、全然重さが違いました!
一通りご紹介していただいたあと、三線の歴史から今抱えてらっしゃる課題などを事務所の奥でお話しを伺いました。
三線には、Pops、民謡、古典と大きく3つの種類があり、
それぞれ流派が違うことや、本土の人たちが知っているのはほとんどPopsであること。
実は三線自体は広がりをみせているものの、エントリーモデルとしての安い三線はほとんどベトナム産であることや、流派にはいって専門的に学んでいる人たちや、作り手が減っていることなどより具体的な三線にまつわる課題についてお聞きしました。
元々私たちは、「三線の弾き手自体が減っている」と課題をとらえていたので、その音源自体を保存し、それを二次利用してもらって新たなビジネスを実施、三線の産地に還元していくという構想を考えていました。(映画やアニメ、はたまたゲームやメタバース空間上でも使われていくのではないか、そんな夢をみていたのですが、、、)
現地でお話しを伺うと、三線にまつわる課題はより複雑で、さきほどご紹介した原材料である黒木がどんどんとれなくなっているという問題から、製造、販売、弾き手、アフターサービスまで多岐にわたっていました。
音源だけの課題ではなく、それぞれの過程で「広まった三線の裾野を、どう文化発祥の地の沖縄に環流させて未来につないでいくか」というところが本質的な課題でした。
次にお邪魔させていただいたのは、三線組合事務局長、仲嶺様の工房です。
みてください、この蛇の皮!ひえええ、すごい迫力です。
こうやって一個一個手作りされてきたんですね。
現在では、ベトナム産の三線がエントリーモデルの安い価格帯では多いのですが、最初こそいいものの、湿度によってどんどん変形し音がかわってきてしまうそうです。
時間をかけて育った黒木をゆっくり乾かし、丁寧につくられたものは耐久性が全然違うとのことです。
ZOOMで耐久性の違いについては伺ってはいたものの、実際に目にすると実感が全然違いました。
さて、この大きさの違いはわかりますか?
大きい方が、琉球王朝時代の三線です。つまり、昔の三線は今より低かったそうです。
そして、弦は絹糸だったとのこと。
そもそも、今の三線の弦ってなんだと思います?
実はナイロンなんです。
ちょっと現代的で違和感がありませんか?伝統工芸でも時代とともにかわっていくものなんですよね。昭和の初期までは絹のものもあったそうで、絹のやわからで低い弦の音がいいという方もいれば、弾き手の名手の方の中でも、三線はナイロンの弦でなくては三線ではない、という意見もあるそうです。
変わらないところ、変わるところ、どこの時代のものを「伝統」とするのか、立場によって全然違うのだな、ということを教えてもらいました。
普段のビジネスとは全然時間軸の違う、「伝統工芸」ならではの難しい問題に直面した気がします。