【はじめに】 "味なたてもの探訪" とは
はじめまして。
出版社トゥーヴァージンズです。
本日、味なたてもの探訪シリーズ第4弾『近代別荘建築 歴史を繫ぐ建物とその物語』が発売となりました!
2019年の5月に第1弾の『看板建築 昭和の商店と暮らし』を発売してから早2年半……。
シリーズにしてはちょっと刊行スピードが遅いんじゃないかというお声は、もう、ほんとに、ええ、その通りでございまして、思わず「ぐぅ」の音が漏れてしまいます。
ただですね、弊著のことで僭越ながら、これまでどの巻も丁寧にじっくりと、“建物”と”人”に向き合ってつくってきました。
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《「建物」から街と人々の暮らし、時代性を探るビジュアル探訪記》
その土地の歴史、風土、環境、社会情勢が立ち現れた歴史の断片のような「建築」。そこには暮らし、生業、人々の営みがあり、誰かにとっての「記憶」が息づいている。
【味なたてもの探訪】シリーズでは、装飾的な外側の魅力だけではなく、内側で人々が暮らしてきた時間が滲み出ていているような建物に目を向けて、家主やその建築に関わる方のインタビューと建築の専門な解説の両面から、建物の背景を理解するような本を目指しています。
「味なたてもの探訪」は建築の専門書でもなければ、ガイドブックでもなく、有名建築の写真集でもないし、ルポルタージュでもありません。
でも、第1弾をつくりながら、気づきました。
街の路地裏にあるような見慣れた建物ひとつから、私たちが知り得ることがあまりにも多いこと。そして、それは当たり前すぎて、いつ消えてしまってもおかしくない文化史なのだということ。
だから、このシリーズでは建築の技術や美しい装飾、空間としての魅力を解説すると同時に、土地の歴史を学びながら、そこに生きてきた人々の暮らしを写真と言葉で記録し、実際に訪れて読者の皆さまそれぞれが体感できる本を目指しています。
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第1弾『看板建築 昭和の書店と暮らし』より、看板建築の成り立ちを解説。解体・現存ともにアーカイブ写真を収録。コラムでは看板建築で味わえる美味しいメニューも紹介
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第2弾『沖縄島建築 建物と暮らしの記録と記憶』より、「沖縄ホテル」を取材。建物の解説とともに、沖縄戦を乗り越え先代から継がれてきた歴史を知る
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第3弾『復興建築 モダン東京をたどる建物と暮らし』より、関東大震災と帝都復興計画の背景、建築の図解、現存する復興建築を巡るマップも
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そして、最新刊『近代別荘建築 歴史を繫ぐ建物とその物語』では、明治・大正~昭和初期に建てられた別荘・別邸に焦点を当て、別荘地形成の歴史的過程を追いながら、それを担った人たち、所有者や受け継いできた人々の物語とともに近代別荘建築の背景を深掘りしました。
第4弾『近代別荘建築 歴史を繫ぐ建物とその物語』より、別荘のタイプ別解説や、所有する方々への取材、エリア別の建築マップも
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人が住まない家は劣化が早まると言われるように、どんな建物も「維持」されてそこにあります。
古い建物がまちなかに残っていたら、その背景には「人」がいて、残そうとする「意思」がある。このシリーズの制作を通して、そんなことを思うようになりました。
街も、暮らしも変化する。
ただその変化のなかで、大きな都市も小さな町も、それを形づくる一軒一軒の建物の姿と、そこに息づく市井の人々の記憶を記録する【味なたてもの探訪】シリーズを今後も制作していきたいと思います。
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*左から順に
①『看板建築 昭和の商店と暮らし』
監修:萩野正和(株式会社connel 代表取締役)
写真:金子怜史
ライティング(建築解説など):宮下潤也、編集部
イラスト:mimi、宮下潤也(P152-155立面図)
デザイン:細山田デザイン事務所
発売:2019年5月29日
②『沖縄島建築 建物と暮らしの記録と記憶』
監修・写真:岡本尚文
建築監修:普久原朝充
ライティング:アイデアにんべん、編集部
イラスト:mimi、川野航平
デザイン:細山田デザイン事務所
発売:2019年12月4日
★第6回沖縄書店〈沖縄部門〉準大賞受賞★
③『復興建築 モダン東京をたどる建物と暮らし』
監修:栢木まどか(かやのき・まどか)
写真:金子怜史
ライティング:岩佐陸生、藤沢うるう、森沢順子、加藤良子、編集部
イラスト:mimi
デザイン:細山田デザイン事務所
④『近代別荘建築 歴史を繋ぐ建物とその物語』
監修:十和田 朗(そしろだ・あきら)
写真:金子怜史、遠山しゅんか、古根可南子
ライティング:田澤健一郎、加藤良子、笹井木々路、藤沢うるう、近江康生・井高玄貴(Plan Link)
イラスト:mimi
マップ:近江聖絵(Plan Link)
デザイン:細山田デザイン事務所
発売日:2022年1月25日
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【味なたてもの探訪シリーズ】に関する過去のnote・記事はこちらから▼
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