【連載】ノスタルジア大図鑑#16|日本全国キーホルダーぶらり旅:青森県編
秋の過ごしやすい気候に、遠出したくなる今日この頃。
小旅行といえば温泉、紅葉、ハイキング、食べ歩き、キーホルダー、神社仏閣巡り……
……
……
キーホルダー?
……なんて、こんなフリなど、このページに来た皆さまには邪道だァァァーー!
皆さま、今回もキーホルダーを見ながらいっしょにニヤニヤしましょう!
そんな第4回は本州最北端・青森県!
今回は一手間かかったギミック萌えなキーホルダーも多数登場です。
それでは、日本一のキーホルダーコレクター・水上 友さんが「お土産キーホルダー」の魅力を語り尽くす〈日本全国キーホルダーぶらり旅〉で、青森をぐるっと満喫しましょう!
第1回「北海道編」はこちらから↓
第2回「京都府編」はこちらから↓
第3回「東京都編」はこちらから↓
第4回:青森県編
こんにちは。
お土産キーホルダー友の会会長の水上友と申します。
全国の観光地を巡り、お土産キーホルダーの収集・研究・普及活動を行っています。
===土産屋百景===
日本全国キーホルダーぶらり旅第4回は、豊かな自然に恵まれ、八甲田山、十和田湖、奥入瀬渓流など、四季を通じて多くの魅力を満喫できる本州最北端の地 “みちのく青森”です。
それでは、早速「おんでやぁんせ青森」!
①津軽海峡
本品は、木製のミニチュア舵輪に金属製のメダルをはめ込んだ、海際の観光地ではお馴染みのデザインです。コスパがあまり良くないのか、最近ではすっかり見かけなくなってしまいました。
昭和から時代は変われど、雪の降りしきる中、寒風に身をさらし、津軽海峡を眺めれば、石川さゆりの名曲『津軽海峡冬景色』がやけに心に沁みてくるのです。
②恐山
本品は、いわゆる“角形透かし”と呼ばれるシリーズ。恐山のシンボル・菩提寺から太鼓橋を渡って三途の川へと通じるこの世とあの世との境目を、“透かし”で効果的に表現しています。
裏面には、大正の詩人・大町桂月の短歌「恐山 心と見ゆる湖を 囲める峰も 蓮華なりけり」。水子を弔う無数の石積みの傍らで、風車がからからと回る様は、まさに“あなたの知らない世界”。
==== キーホルダー用語解説④ 【透かし】 ====
「透かし(彫り)」とは、金属・木・石などをくりぬいて文様を表す技法です。文様を透かして素地を残す方法「文様透かし」と、文様の周りの素地を透かす方法「地透かし」がありますが、お土産キーホルダーでは主に後者の「地透かし」が用いられています。
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③青森りんご娘
みうらじゅん氏の「いやげ物(もらっても全然うれしくない土産物)」コレクションの中では「ヘンヌキ」と称される、栓抜きの機能を有した知る人ぞ知るお土産キーホルダーのシリーズです。
本品は、青森の名産品「りんご」を販売する行商の女性をモチーフにしているのですが、この栓抜きキーホルダーが実際に栓抜きとして使用されているのを見たことのないのは私だけでしょうか。
④青森ねぶた
「ラッセラー、ラッセラー」の掛け声とともに、豪壮な山車が練り歩く東北最大の夏祭り。みちのくの短い夏をエネルギッシュに燃やし尽くすその迫力と活気が、ハードエナメル仕上げのプレートキーホルダーから溢れています。
ハードエナメルはガラスコーティングのような高級な質感を有し、保存性にも優れていますが、ソフトエナメルは熱や光で融解し、他のキーホルダーと接着してしまうことがあるので、保管する際には注意を要します。
⑤八甲田山
本品のモチーフは、八甲田山随一の景勝地である睡蓮沼。可憐に咲き誇るミズバショウとともに、案内板風の意匠でみちのく旅情をかき立ててくれます。
そして、八甲田を語るうえで欠かせないのが、超豪華キャストと重厚な人間ドラマで紡ぐ不朽の名作・映画『八甲田山』(昭和52(1977)年公開)。雪中行軍で遭難した隊員達の冥福を祈りつつ、酸ヶ湯温泉や蔦温泉など通好みの秘湯に足をのばすのもいいでしょう。
⑥弘前城
東北で唯一創建当時のまま残されている城郭建築。城下の弘前公園は、桜祭りの季節になると、津軽の春を謳歌する多くの観光客で賑わいます。城郭系キーホルダーとしてはやや小振りですが、定番の浮彫り仕様となっています。
裏面は、津軽地方の文化や風景を代表する「りんご」「岩木山」「ねぷた」。 ちなみに、青森市の「ねぶた」が歌舞伎風の人形灯籠なのに対し、弘前市の「ねぷた」は扇形が主体という違いがあります。
⑦十和田湖
二段式仕様の本品で特筆すべきは、上段に配置された十和田湖名産のヒメマス。鰭の1枚からきめ細やかな鱗に至るまで丹念に再現され、パーツとしては最高の完成度を誇る隠れた逸品です。
また、下段モチーフの「乙女の像」は、詩人であり彫刻家でもある芸術家・高村光太郎の最後の作品で、十和田湖タイトルのお土産キーホルダーでは必要不可欠のモチーフとなっています。
⑧奥入瀬渓流
十和田の地をこよなく愛した歌人・大町桂月は、「住まば日本(ひのもと)遊ばば十和田 歩きや奥入瀬三里半」と、その絶景を全国に紹介し、国立公園の指定に尽力しました。
本品では、奥入瀬渓流最大の見どころである銚子大滝に舞い落ちる紅葉、そして絹糸のごとき柔らかな流れを真鍮という金属素材の中で、桂月の歌にも負けず劣らず、詩的にかつ巧みに表現しています。
⑨八戸
八戸が全国一のイカの水揚げ量を誇る日本屈指の漁港ということに因んだ、愛くるしい表情のイカさんに、八戸の伝統玩具「八幡馬(八戸馬)」を取り合わせた変形二段式仕様。八幡馬は、馬の産地でもあった八戸ならではの工芸品です。
裏面は、イカとともに八戸のシンボルとなっているウミネコ。蕪島いっぱいに響き渡るウミネコの鳴き声は、春の到来を告げる風物詩となっています。観光する際は、糞除けの傘をお忘れなく。
ほかにも「竜飛岬」、「大間」、「十三湖」、「古牧温泉」、「浅虫温泉」など紹介しきれなかったタイトルがたくさんあったのですが、みちのくの四季豊かな自然と文化にちなんだキーホルダーの数々いかがでしたでしょうか。
次回は、魅惑の四国八十八ヶ所巡礼お遍路ツアー「四国周遊編」へ!
絶品うどんに舌鼓の「金毘羅参り」、日本最古の名湯「道後温泉」、坂本龍馬も愛した土佐の名勝「桂浜」、日本三大秘境「祖谷のかずら橋」など、お遍路の御利益たっぷりなキーホルダーを紹介する予定ですので乞うご期待!
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