見出し画像

【本日発売!】『OFF GRID LIFE 』#05|タッカー・ゴーマンさんのタイニーハウス暮らし

本日2月2日(火)にフォスター・ハンティントンさんの最新刊『OFF GRID LIFE 自然とつながる、住みかをつくる』を発売いたしました!



「オフグリッド」とは、文字通り「グリッドをオフにする=電力会社から電気を受給しない」状態のこと。
つまり「ライフラインを自給自足する」ということ。

しかし、それはエネルギーの話だけではなく、自分にとっての豊かさや感性、身体で覚える生活の術、社会との距離感、そういった自分にとって必要なものと不必要なものを知っていることなのではないかと思うのです。

『OFF GRID LIFE 自然とつながる、住みかをつくる』ではそんな「自分の“家”を自分でつくった」12人のお話と、とっておきの“住みか99軒を収録。
このnoteではお話の一部をご紹介していきます。


CHAPTER 6:TINY HOMES
夢のタイニーホーム作り/タッカー・ゴーマン


タッカー・ゴーマンは、カリフォルニア州オークランドで暮らすビルダーでアーティストだ。

OFF-GRID-LIFE_中面ページ

2012年、僕は荷物を詰め込んだフォード・エアロスターに乗って、友人のグレッグとカリフォルニアに引っ越してきた。数カ月は、そのヴァンに乗って生活したり仕事をしたりして、それから21フィートのセールボートを借りた。あらかじめ計画していたことではなくて、単なる偶然だった。窮屈な住まいだったが、当時の僕らにとってはベストな選択だった。木工業のビジネスを立ち上げたばかりで、経済的に厳しかったのだ。その頃カリフォルニアは日照り続きで、毎日快晴だったから、ボート暮らしは最高だった。ぎゅうぎゅうの船内で半年間暮らした後、僕は1000ドルで買った28フィートのヨットに引っ越した。

マリーナでの生活を誰かに説明するとき、比較に使うものが2つある。1つはこぎれいなトレーラーパーク。もう1つはキャンプ場だ。静かで、街の中とはどことも違っている。まわりに建物はなく、ただ広い空と新鮮な空気がある。素晴らしい暮らしだが、間違いなく無骨な生き方だ。独身男のライフスタイルだ。

ヨット生活の厳しさには、しばらくすれば慣れる。だが、カリフォルニアでも冬の間は大変だ。寒さはそれほどひどくはないが、湿気を含んだ寒さや、水漏れとカビの絶え間ない脅威が冬のヨット暮らしを困難にする。薪ストーブは役立ってくれた。それでも、僕はすべての人に、機会があったらしばらくボートで暮らしてみることをおすすめしたい。あんなにも水とつながれる体験は本当に貴重なものだ。

3年間ヨットで1人暮らしをした後、裏庭と屋内トイレのある家の1室に住まないかと誘われた。試しに住んでみたが、何もかも思い通りにできる生活が恋しくなった。1年が経った頃、僕の木工場とつながった150平方フィート(約14平方メートル)の事務所を借りられることになった。そこで生活もできることがわかった。ただ同然の家賃で、自分の居場所を持つことができた。あっという間に2年が過ぎた。物事はたいていこんなふうに進んでいくものだ。

最もお金をかけず健やかに暮らせる方法を見つけるというのが、住居についての僕の信条だ。必要経費を抑えられれば、もっと自由と柔軟性を手に入れられる。よくある人生のごたごたにわずらわされることなく、方向転換をして決断できる。家計の収支を合わせるために働く必要はない。僕は基本的に、自分たちの暮らし方について、臨機応変に行動したり、創造的に考えたりすることをおすすめしたい。型にはまらず柔軟に考えてみよう。

社会通念に縛られずに暮らすには、簡素化が必要だ。削ぎ落した生活は万人向けではないけれど、実現できれば素晴らしい。もちろん、手放さなければならないものもある。シャワーも水道も水洗トイレもないことだってある。でも、それにも我慢できて、そうした生活にも満足できるようなら、いくらかお金を貯めることもできる。そうした不便さもすすんで受け入れられるのなら、いずれはもう少し、快適な暮らしをする方向へ向かうかもしれない。そして、自分の住まいを自分で作ることになるかもしれない。

先日、事務所(別名「ザ・タイニー・ルーム」)を立ち退くようにと告げられた。近々結婚する予定だったので、いずれにせよ、そこには長くいられなかった。将来について、いろいろ深く考えた。僕も妻のリザも、長く暮らすことができて、よく考えて設計された、小さな家族にふさわしい住まいを望んでいた。ついに、ビルダーの仕事をしながら集めてきた素晴らしい建材を使うときがやってきた。

画像8

22フィートのトレーラーを購入し、僕らの理想の家を考えた。ざっくりとした構想のまま、設計が進化していくのを見越して、友人たちに建築の手伝いを頼んだ。もうすぐ1年が経つが、細部にこだわり過ぎ、設計を複雑にし過ぎたせいで、建築はいまだ進行中だ。作業をすすめながら設計すると、より綿密に練られたものができあがるが、たいがいは時間とお金が余計にかかってしまうことがわかった。だが、それだけの価値はあると思う。アイデアを孵化させると、よりよいものができあがる場合が多いのだ。

小さな居住空間の問題点は、たいていの場合、とても狭苦しくなってしまうことだ。天井は低いし、ロフトは上も下もスペースが限られる。息苦しくなる場合も多い。それを避けるため、広々とした設計を採用し、高さと幅はハイウェイを走れる最大のサイズにまで広げた。片持ち梁を使った寝室には、キングサイズのベッドが置ける。カーブを描いた高い屋根は、幌馬車やジプシーの馬車やボートから着想を得た。開放感を損なわずに、居心地のよさを生み出すことはできる。部屋の隅や壁のくぼみや高所の棚は、とてもいい働きをしてくれる。

最初は広く感じたスペースも、物を詰め込み始めると、とたんに狭くなる。創意工夫して収納方法を考え出すことが重要だ。例えば、……(続く



世界の「タイニーハウス暮らし」

画像1

画像2

©️Brett Higson and Mackenzie Duncan/T-House/カナダ・ブリティッシュコロンビア州・ヴィクトリア


画像3

画像4

©️Robin Falck/Nolla (Zero)/フィンランド・ヘルシンキ・ヴァッリサーリ島


画像5

画像6

©️Stevie Hudson and Margarita Prokofyeva/Rambling Caravan/カリフォルニア州・ビッグサー


ー・ー・ー・ー


《書誌情報》

本書は全国の書店様でご購入・お取り寄せいただけます。
お取り寄せご希望の方は下記の書誌情報を書店員さんにお伝えください。

画像9

OFF GRID LIFE  自然とつながる、住みかをつくる
発売日:2021年2月2日
著者:フォスター・ハンティントン
本体価格:2,700円(+税)
仕様:240ページ/B5変/並製
ISBN:978-4-908406-88-1


《フォスター・ハンティントン関連書籍》

ハンティントンさんは車で旅しながら暮らす「バンライフ(van life)」ブームを広めた立役者。
自身を含め13 名のバンライファーたちのインタビューと、世界200 以上のスポットで撮影された美しい旅路の風景を収録した『VAN LIFE ユア ホーム オン・ザ・ロード』も好評発売中!

VANLIFE帯無し0807_s

VAN LIFE  ユア ホーム オン・ザ・ロード
発売日:2020/8/31
著者:フォスター・ハンティントン
本体価格:3,000円(+税)
仕様:B5変/ 並製/ 256ページ
ISBN:978-4-908406-71-3


いいなと思ったら応援しよう!