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【連載】ノスタルジア大図鑑#07|日本全国キーホルダーぶらり旅:京都府編
約30年かけて集めたキーホルダーは2万点を超える(!)という日本一のキーホルダーコレクター・水上 友さんが「お土産キーホルダー」の魅力を語り尽くす<日本全国キーホルダーぶらり旅>。
第2回は西の大御所観光地「京都」のキーホルダーたちをお届けします。
第1回「北海道編」はこちらから↓
【ノスタルジア大図鑑とは】
昭和やそれ以前、物心ついた頃からあたりまえにあったもの。
めまぐるしく移り変わる時代の中で、気づいた時には無くなっていることも。さまざまな理由で「このまま放っておいたらいつか無くなってしまうかもしれないもの」、後世までずっと残して受け継いでいきたいと思う「日本の文化・日々の暮らしの中の物事」を取り上げ、個性豊かな執筆陣による合同連載<ノスタルジア大図鑑>としてお届けしていきます。
第2回:京都府編
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『日本お土産キーホルダー大全』より
こんにちは、お土産キーホルダー友の会・会長の水上友と申します。
全国の観光地を巡り、お土産キーホルダーの収集・研究・普及活動を行っています。
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清水寺二寧坂土産店(京都府)
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銀閣寺キーホルダー販売風景(京都府)
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二条城キーホルダー販売風景(京都府)
「日本全国キーホルダーぶらり旅」第2回目は、日本を代表する観光地であり、修学旅行のメッカ“京都”です!
京都の伝統と美を凝縮したお土産キーホルダーが今でも豊富に揃っているのです。
それでは、ようこそ京都においでやす!
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夕焼けに包まれる京の町(法観寺八坂の塔)
① 金閣寺
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サイズ全長125㎜(フォブ本体60㎜)×幅60㎜ 重量65g
本品は、業界最大手である桂記章株式会社が製作した“最高傑作”との呼び声の高い、お土産キーホルダー史上最高の売り上げを誇る超ロングセラー商品です。
どの角度からでも鑑賞に堪えうるようミリ単位で計算された精密デザイン、そして、油式バフで磨かれた金メッキが、より一層本品の高級感と艶やかさを際立たせています。
30年以上の長きに渡り愛されるその意匠は、今なお現役であり、観光客を魅了してやみません。
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京都観光のシンボル・金閣寺
② 清水寺
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サイズ全長106㎜(フォブ本体50㎜)×幅58㎜ 重量66g
清水寺本堂最大の特徴は、139本の長大なケヤキの柱が「舞台」と呼ばれるせり出し部分を支える“懸造(かけづくり)”。本品で特筆すべきは、この懸造を柱一本に至るまで丁寧に再現した浮彫りです。妥協のない彫り込みが、この上ない遠近感と臨場感を生み出しているのです。
アクセサリーの方位磁針が、コンパス式からオイルフロート式へとマイナーチェンジを経て、今なおキーホルダーコーナーの花形として活躍しており、前述の金閣寺と同様に、桂記章株式会社のロングセラー商品となっています。
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清水の舞台
③ 二条城
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サイズ全長125㎜(フォブ本体58㎜)×幅46㎜ 重量57g
ダイヤカットを施した刀の鍔に、脇差のチャーム(装飾品)。侍の魂である日本刀をモチーフとした当意匠はシリーズ化されており、城郭など武家文化に所縁のある観光地では定番のデザインとなっています。
裏面には、徳川家将軍一覧。徳川家康の将軍宣下に伴う賀儀と、徳川慶喜の大政奉還が行われ、江戸幕府の始まりと終わりの場所でもある二条城ならではの豆知識は、日本史の試験でも一役買いそうです。
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東南隅櫓の白壁が青空に映える
④舞妓
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サイズ全長120㎜(フォブ本体60㎜)×幅23㎜ 重量10g
プレスした凹を硬質の塗料で埋め最後に表面を研磨する加工法“擬似七宝”は、ガラスでコーティングしたような高級感が特徴で、「トギエポ」や「ハードエナメル」とも呼ばれています。
金メッキを基調とした疑似七宝仕上げの本品。古都の春風を感じさせるその優雅な佇まいから、当コレクションの中で最美麗キーホルダーと言っても過言ではありません。
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舞妓の優美な後ろ姿に舞い散る桜
⑤嵐山
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左:サイズ全長110㎜(フォブ本体62㎜)×幅55㎜ 重量24g
右:サイズ全長 90㎜(フォブ本体47㎜)×幅50㎜ 重量15g
バブル華やかりし1980年代、原宿や清里など日本全国の観光地にタレントショップなる芸能人やテレビ番組の名を関したグッズショップが席巻しました。
嵐山も御多分に漏れず、『ねるとん紅鯨団』等の冠番組で当時破竹の勢いを見せていた「とんねるず」の“バレンタインハウス”、伝説のバラエティ番組『天才、たけしの元気が出るテレビ!!』の“元気が出るハウス”、などなど数多くのタレントショップが乱立しました。渡月橋の麓の土産屋街が修学旅行生の異様な熱気に満ちていた懐かしい思い出です。
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京都を代表する景観の一つ・渡月橋
⑥大原三千院
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サイズ全長115㎜(フォブ本体68㎜)×幅40㎜ 重量71g
本品は、通称“角形”と呼ばれるシリーズの一つ。その名の通り、長方形の本体に、厚さ6㎜という圧巻のボリューム(通常は3㎜前後)。掌に載せると、まさに金属の塊であることを体感できるずっしりとした重量感が特徴です。
やや荒々しくも力強いタッチの浮彫りは、武骨な印象さえ受けますが、同時に、奥京都特有の侘び寂びの境地を古美仕上げで表現した逸品となっております。
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紅葉深まる晩秋の大原三千院
==== キーホルダー用語解説②【古美仕上げ】====
古美仕上げとは、メッキを厚付けした後に、硫黄溶液に浸せきして黒染めした表面を、機械的研磨方法によって黒色皮膜を除去し、あたかも長い年月を経たような色調に仕上げる方法です。
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① 仕上げ前 ⇒ ②銀メッキ⇒ ③染め⇒ ④剥き
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①メッキ作業 / ②染め作業 / ③剥き作業
『日本お土産キーホルダー大全』(辰巳出版)より
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⑦天橋立
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サイズ全長120㎜(フォブ本体70㎜)×幅45㎜ 重量50g
股のぞきをする男の子(女の子?)と天橋立行きの切符、それぞれ単体でも一つの商品として販売可能なところを、わざわざ組み合わせてしまう通称“二段式”と呼ばれる贅沢な仕様です。
股のぞきから眺める天橋立の絶景は、神話に登場する天上世界なのだといわれていますが、本品はそんな神話の世界観をポップかつファンシーなテイストで表現し、日本三景への旅情をかき立ててくれることでしょう。
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天に通う神秘の橋
⑧京ことば
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サイズ全長135㎜(フォブ本体90㎜)×幅54㎜ 重量67g
地図タイプ仕様で、大きめのフォブに府内の主要な観光名所がぎっしりと詰め込まれています。地図型のシリーズの中には各都道府県のキーホルダーをパズルのように繋ぎ合わせると日本地図になる合体型のものもあるですが、本品は合体機能のない単体ものです。
裏面は京ことば集。「おいでやす」「おおきに」など、古都にこれほどぴったりの方言があるでしょうか。旅の醍醐味の一つが、その土地ならではの方言。電車を乗り継いでいくたびに入れ替わる方言を耳にすると、旅をしていることを実感するのです。
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夕暮れに沈む古都の街並み
⑨新撰組
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左:サイズ全長112㎜(フォブ本体65㎜)×幅42㎜ 重量33g
右:サイズ全長104㎜(フォブ本体50㎜)×幅35㎜ 重量27g
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サイズ全長90㎜(フォブ本体40㎜)×幅57㎜ 重量24g
京都土産のキャラクターとして人気の高い“新選組”は、お土産キーホルダー界でも、ハードなメタルからファンシーまで引っ張りだこの存在。可愛らしい二頭身キャラへとデフォルメされた幕末の志士達は、ファンシー系のキーホルダーの中では、最も重宝されるモチーフとして、修学旅行生の思い出の一部となっているのです。特に、局長・近藤勇、副長・土方歳三、一番隊組長・沖田総司の3名は、登場頻度の高い人気キャラとなっています。
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激動の幕末を駆け抜けたラスト侍
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京都の歴史と伝統を感じさせる逸品の数々いかがでしたでしょうか。高校の修学旅行で初めて食べた八つ橋の味、初めて聞いた京都弁、初めて巡る神社仏閣……多感な年頃に経験した忘れがたき想い出いっぱいのキーホルダーは、今でも大切な宝物です。
次回は花の都・大東京へ!
江戸時代から明治維新、関東大震災、世界大戦を経て、破壊と再生を繰り返しながらも、エネルギッシュな成長を続ける大都会東京ならではのキーホルダーを紹介する予定ですので乞うご期待!
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【著者プロフィール】
水上 友(みずかみ とも)
お土産キーホルダー収集家。全国の観光地を巡り、お土産キーホルダーの収集・研究・普及活動を行っている。約30年かけて集めたキーホルダーの総数は2万点を越える。おそらく日本一のコレクター。
著書に『日本お土産キーホルダー大全』(辰巳出版)がある。
●Twitter:@mizukamitomo
●Web:http://keyholdertaizen.pya.jp/
次回も乞うご期待!
「日本全国キーホルダーぶらり旅」を含む、個性豊かな執筆陣による合同連載「ノスタルジア大図鑑」はこちらから↓
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