【連載】ノスタルジア大図鑑#02|絵で見る商店街:石仲見世商店街①
昭和やそれ以前、物心ついた頃からあたりまえにあったもの。
めまぐるしく移り変わる時代の中で、気づいた時には無くなっていることも。
さまざまな理由で「このまま放っておいたらいつか無くなってしまうかもしれないもの」、後世までずっと残して受け継いでいきたいと思う「日本の文化・日々の暮らしの中の物事」を取り上げ、個性豊かな執筆陣による合同連載<ノスタルジア大図鑑>としてお届けしていきます。
今回は、どこか懐かしい商店街や心くすぐる街の建物をスケッチしている画家・濱田恵理子さんによる<絵で見る商店街>です。
濱田さんイチオシの商店街を、味わい深いイラストとマニアックな視点で紹介するこの企画。
第1回目の商店街は……
“呑んべえ”たちが愛して止まない「立石仲見世商店街」です!
第1回:立石仲見世商店街 その1
商店街。
商店街を見るとワクワクする。
旅先や散歩中に見かけると、ついついそこを通ってみたくなる。
なぜなのだろう。
商店街は私を懐かしい気持ちにさせてくれる。お店の人と気軽に話して、その地域を感じることができる。この場所と親しい気持ちになる。そして何より手作りのお惣菜が美味しい。
きっともっと、色んな商店街の色んな魅力があるはず。
それを探るため、さまざまな商店街を絵と文章にして私なりに分析し、ここで紹介していきたいと思う。
商店街といっても、いろんな種類があります。
大きく分けると「上にアーケードがかかっている商店街」と、「アーケードがかかっていない道路沿いにある商店街」。
これらの他にもさまざまな形のアーケードがあると思いますが、元々は直射日光による商品の劣化を防ぐためにかけられたそうです。
私には、アーケードがかかることによって一つの空間が成り立つように感じられ、雨の降らない小さな町に来たような気分で少しわくわくします。
さて、第1回は私もよく訪れる『立石仲見世商店街』です。(正式名称は『立石仲見世共盛会』)
初めてこの場所に来たのは、葛飾区に住み始めて間もない頃。
自転車で近所をうろうろしていたときに、偶然迷い込みました。
「タイムスリップした?!」というのが第一印象です。
夜だったこと、シャッターが降りていたこともあり、人気はなく閑散としていました。
その一見寂しい印象とは裏腹に、カラフルな床やピンク色の壁が賑やかで、まずそれが私を惹きつけました。
昼間に行くと、お惣菜屋さんやお弁当屋さんも開いていて、夜とはまたちがった雰囲気。
お昼から飲んでいる人たちもいてなんだか楽しそう。
道は狭いので、そんな人たちを横目で見ながら自転車を降りて通行します。
天井を見上げると、水色が目立つ屋根と天窓。
三角の形をしており、日の光を取り込んでくれます。
戦後、自然発生的に生まれた闇市がこの商店街のはじまりです。
始めはそれぞれの店が「すのこ」で日よけをしていたそうですが、後々アーケードがつき、昭和35年に今の形になったそうです。
「第43回 手作り凧コンテスト」
12月5日から、立石仲見世商店街では手作りの凧を展示しています。
このコンテストも今年で43回目。なかなか歴史があります。
第1回目の開催から3世代くらいに渡って楽しまれてきました。
話を聞いてみると、昔はこの商店街の青年部の方たちが、有志で大きな凧を作って飾っていたみたいです。
十字路の天井部分に、とっても大きな凧がどーん! と飾られていたようで、これもなかなかインパクトがありそうです。この大きな凧は今でも事務所に大切に保管されていました。
何度か作るうちに、“まちのみんなで作って飾ったらいいのでは”というアイデアから、『手作り凧コンテスト』が始まったそうです。
今年は約250枚もの凧が展示されており、この商店街を明るく彩っています。
凧の展示期間は2020年12月5日から2021年1月16日まで。
年始には、大きな門松も置かれる予定です。
次回は長い商店街の絵を細かく見ながら、お店の人たちの話も交えてお惣菜屋さん周辺を紹介していきます!
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【商店街データ】
立石仲見世共盛会
〒124-0012 東京都葛飾区立石1-20-4
●設立:1954年11月17日(法人登記)
●WEB:https://www.tateishinakamise.jp
【著者プロフィール】
濱田 恵理子
葛飾区在住の画家。多摩美術大学油画卒業。
現在は主にミリペンと水彩で日本のレトロな建物や商店街を描いている。他に、ベトナム漆絵や油絵も描く。海外で美術教師をしたことや子供の頃から様々な国を転々としたことが、日本の文化や街並みを改めて見直すきっかけとなった。
Instagramや展示会にて作品を公開している。
●Instagram : @ericohama
●Web : https://tatsumasa-e.wixsite.com/erikohamada
次回もお楽しみに!
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