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BOOK DIGGER #004 しまおまほ

BOOK DIGGERってなに?
毎回、本好きクリエイターがリレー形式でつないでゆく、プレイリスト感覚のブックレビューです。

今回のDIGGERは、エッセイスト、漫画家といった肩書きのみならず、ラジオのレギュラー出演など多方面で活躍する、しまおまほさん。
息子さんが保育園の頃から、寝る前に絵本を3冊選んで読み聞かせるのが習慣だそうです。
毎回、選書した3冊にはなんらかの繋がりをもたせている、とのこと。
しまおさんはその行為を密かに「絵本DJ」と呼んでいるそうです。
というわけで、我々にもその絵本DJを公開していただきましょう。

さて、しまおさんはどんな本をDIGってくれたのか。
リラックスして楽しんでいただければ幸いです。

003. しまおまほ 

Thema 絵本DJ

『2ひきのカエル その ぼうきれ、どうすんだ?』
クリス・ウォーメル
(徳間書店)

『グリンピースのいえ』
及川賢治 竹内繭子
(教育画劇)

『てぶくろ』
作:(ウクライナ民話) 絵:エウゲーニー・M・ラチョフ
(福音館書店)

息子が保育園の頃から「寝る前の3冊」が習慣でした。絵本を3冊選んで、わたしが読み聞かせる。実は小2になった今も続いています…友だちにはナイショだそうですが。選書担当はその時々で、息子が選んだりわたしが選んだり。わたしはモチーフやテーマで全く関係のないはずの3冊を繋げるのが好きで。それを勝手に「絵本DJ」と呼んで楽しんでいます。

『2ひきのかえる そのぼうきれどうすんだ』は落語のようなおかしみと軽妙さがある絵本です。「犬が泳いでこちらまでやってきた時のために」とぼうきれを離さない用心深いかえるとそれを笑うもう一匹のかえる。2匹のやりとりは声に出して読むこちらも楽しい。ちなみにわたしはぼうきれを持つかえるは東北訛りにしてます。読んで貰えばわかりますが、ピッタリですよ。おしゃべりの後2匹が迎えるピンチと洒落たラストが最高。

大いに笑った後は、別の場所で静かにひとりを楽しむかえるの物語『グリンピースのいえ』を手に取ります。かえるの“グリンピース“はグリンピースの空き缶が入り口の土の中の家に住んでいます。

いくつも部屋があって、それぞれにピアノのベッドやタイヤのお風呂がある。ガラクタのようなそれらがグリンピースにとっては大切な家具や宝物で、そんな生活を彼(または彼女)がとても気に入っている様子が伝わります。同じかえるの日常でも、さっきのワーワーうるさいかえるとは随分趣が違うのが面白い。タッチもストーリーも別物だけど、どこかで繋がっているような。人間の世界もこんな感じだよな、なんて思いながら。『グリンピースのいえ』のラスト、家の外で雪が降り始めます。やがて入り口の空き缶も埋もれてしまうほどに。

と、なれば。雪深い景色で始まる『てぶくろ』で繋げるのはどうかな、と絵本DJは思うワケです。同じ空の下の別の場所で。グリンピースが長い冬眠に入っている間に、おじいさんの落とした手袋を棲家にしようと集まってくる動物たち…。我が家にあるこの絵本はわたしが5歳の頃に祖父に買ってもらったもの。わたしの大好きな本で、いろんな人形を手袋や、靴下や、スリッパにつっこんで「てぶくろ」ごっこをしたものです。誰もが知っている有名なお話しだけれど、わたしの手元にあるのは自分だけの大切な1冊でもあるから不思議です。そんな絵本がいくつかあります。

日によってアーノルド・ローベルで「かえる縛り」にしたり、雪景色を「しんせつなともだち」に変えたり…絵本DJ、果たして息子が楽しんでくれているかはわかりません。いちいち曲繋ぎの説明なんて、DJはしないですもんね。暗闇でひたすら、次の1冊をDIGるのが楽しいんです。

DIGGER’S PROFILE
しまおまほ Maho Shimao
1978年東京都生まれ。エッセイスト。97年「女子高生ゴリコ」でデビュー。著書に『家族って』、『しまおまほのおしえてコドモNOW! 』、小説『スーベニア』など。

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