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【連載】ノスタルジア大図鑑#20|日本全国キーホルダーぶらり旅:山陰巡り編
新年明けましておめでとうございます!
年末年始はいかがでしたか? 久しぶりに故郷に帰った方、旅行に出かけた方も多かったのではないでしょうか。旅先でお土産キーホルダーをゲットしたという方もいるかもしれませんね。キーホルダーとの出合いも一期一会。2023年が素敵な一年となりますように……!
それでは、今回も日本一のキーホルダーコレクター・水上 友さんと一緒に「お土産キーホルダー」を求めて〈日本全国キーホルダーぶらり旅〉に行きましょう♫
今回は島根&鳥取! お土産キーホルダーと山陰を巡ります!
第1回「北海道編」はこちらから↓
第2回「京都府編」はこちらから↓
第3回「東京都編」はこちらから↓
第4回「青森編」はこちらから↓
第5回「四国周遊編」はこちらから↓
【ノスタルジア大図鑑とは】
昭和やそれ以前、物心ついた頃からあたりまえにあったもの。
めまぐるしく移り変わる時代の中で、気づいた時には無くなっていることも。さまざまな理由で「このまま放っておいたらいつか無くなってしまうかもしれないもの」、後世までずっと残して受け継いでいきたいと思う「日本の文化・日々の暮らしの中の物事」を取り上げ、個性豊かな執筆陣による合同連載<ノスタルジア大図鑑>としてお届けしていきます。
第6回:山陰巡り編
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こんにちは。
お土産キーホルダー友の会会長の水上友と申します。
全国の観光地を巡り、お土産キーホルダーの収集・研究・普及活動を行っています。
===土産屋百景===
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「日本全国キーホルダーぶらり旅」第6回は、「因幡の白兎」、「須佐之男命の八岐大蛇退治」や「国譲り」など、日本最古の書『古事記』に記された神話ゆかりの地をめぐる古代ロマンに溢れた旅に出かけましょう。
それでは、早速「きなんせ鳥取」「きんさい島根」!
①鳥取砂丘(鳥取県)
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本品は、脇役のアクセサリーである鈴をデザインの中心に据えた、通称“中ベル”シリーズ。咲き誇るハマナスの芳香に包まれながらラクダに乗れば、気軽に異世界の気分を味わうことができます。
裏面は、明治ロマン主義に新時代を切り開いた歌人・与謝野晶子の哀愁漂う短歌「砂丘とは 浮かべるものに あらずして 踏めば鳴るかな 淋しきしき音に」。友人であった作家・有島武郎への鎮魂歌として詠んだものです。
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②三朝温泉(鳥取県)
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少女漫画を思わせるカントリー調とパステルカラー基調のイラストで世の女の子を魅了した、いわゆる “メルヘン栞(絵葉書)”。イラストに添えられたポエムも素晴らしく、昭和50年代のお土産業界を席巻しました。
本品は、そんなお土産業界の流行を敏感に感じ取り、どちらかというと男性向け感が強いお土産キーホルダーに女性層を取り込もうとする、業者のしたたかな面が垣間見えます。
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③大山(鳥取県)
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本来は、単体でも販売できるものをあえて二つ組み合わせる豪華なコンセプトの二段式キーホルダーですが、原材料費の高騰や作業工程の省力化のあおりを受け、現在は滅多に見かけない絶滅危惧種となってしまいました。
そんな憂き目の中にある二段式の中でも、一際異彩を放つのが本品。
上段に地図又は浮彫り(レリーフ)+下段に切符というのが大定番の構成なところ、上段に浮彫+下段に地図という珍しい仕様になっています。
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④境港(鳥取県)
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人気キャラクター「ゲゲゲの鬼太郎」による四コマ漫画と回転ギミックによるおみくじの要素を巧みに取り入れた本品は、遊び心満載のくるくる回転ギミック系キーホルダーの中では、最高峰の出来栄えです。
境港は「ゲゲゲの鬼太郎」の生みの親、水木しげる氏の出身地であり、妖怪の町として名高く、水木しげるロードを観光した後は、水産物直売センターで鳥取を代表する冬の味覚 “松葉ガニ” を堪能しましょう。
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⑤松江城(島根県)
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金メッキ素地に満点の星空を思わせるラメ入り塗料の下塗り、そして、山陰随一かつ唯一の天守閣として知られる漆黒の松江城、身を寄せ合う二頭身の可愛らしい忍者カップル。“ファンシー絵みやげ“テイスト満点で仕立てられたワンシーンに思わず頬が緩みます。
なお、松江観光に出掛ける際は、「言葉の画家」の異名を持ち、松江を愛した明治の文豪 ‘小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)’ の『怪談』は必読です。
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⑥玉造温泉(島根県)
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玉造の名産品として名高い青瑪瑙(あおめのう)の勾玉に由来する緑色ラッカーを用いた特徴的なフォントに、スクリューダイヤカットの背景は、潤い成分たっぷりの泉質で有名な美肌の湯のイメージでしょうか、日本最古の温泉とも言われる玉造温泉を見事に表現しています。
数ある “漢字柄キーホルダー” の中でも強烈な存在感を放つ本品は、エキセントリックな表面とは対称的に、裏面には勾玉橋の情景が正統的に描かれており、そのギャップがさらなる特異性を際立たせています。
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⑦出雲大社(島根県)
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各業者が鎬を削ったお土産キーホルダー黎明期の昭和40年代、業界初の大ヒットシリーズとなったのが、御縁を結ぶ縁起物 ”五円玉キーホルダー” であり、お土産キーホルダーを全国に普及させる原動力ともなりました。お土産キーホルダーと観光業界の縁を繋いだのが五円玉だったなんて乙な話ですね。
日本一の縁結びの神様として知られる出雲大社が、五円玉キーホルダーのモチーフとなれば、その御利益は相乗効果で倍増間違いなし!
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⑧隠岐(島根県)
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お土産キーホルダーの定番である切符型から派生した切符枠キーホルダーですが、本品はさらに鉄道車両のチャームが船舶に変化した切符枠の派生型となります。船舶の他にも航空機などのバリエーションもあります。
船舶のチャームには、船体ばかりでなく「フェリーおきじ」の船名やノット数まで丁寧かつ詳細に描写されており、中枠とチャームの形が不一致のものや、地名部分が差し替え可能なシールタイプのものなど、大雑把な作りのものが多い印象のある切符枠キーホルダーの中で特上級の逸品と言えましょう。
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⑨津和野(島根県)
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本品は、螺鈿細工(真珠光沢をもつ貝殻を漆器や木工の素地や塗装面にはめ込んで研ぎだす加飾技法)を彷彿とさせる上品な線描が特徴の “浮き彫り” シリーズですが、レリーフ彫刻主体の ”浮彫” とは全くの別物です。
弥栄神社に伝わる古典芸能神事である鷺舞をメインモチーフに、殿町通りの掘割沿いに咲き乱れる白や紫の花菖蒲、優雅に泳ぐ錦鯉……。
「山陰の小京都」といわれる津和野が幻想的に表現されたシリーズ屈指の傑作です。
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==== キーホルダー用語解説⑥ 【ファンシー絵みやげ】 ====
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④白虎隊(福島県)⑤羊ヶ丘(北海道)⑥小田原(神奈川県)
「ファンシー絵みやげ」とは、二頭身のファンシーなキャラクター、ローマ字を多用した日本語表現、蛍光色やラメ加工などで派手な彩色を用いたお土産雑貨の総称。キーホルダー以外にも、暖簾やタペストリー、湯飲みなど、昭和後期から平成初期まで盛んに製造販売され、一世を風靡したものの、バブル崩壊とともに衰退。山下メロ氏により命名され、平成レトロブームの名の下、若者たちの熱い視線を浴びています。
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ほかにも「はわい温泉」、「皆生温泉」、「美保関」、「日御碕」など紹介しきれなかったタイトルもたくさんあったのですが、神話ゆかりの地を巡る旅にちなんだキーホルダーの数々いかがでしたでしょうか。
次回は、信仰の対象と芸術の源泉たる富士山を巡る「富士御来光行脚編」へ!
絶景スポットの宝庫「箱根」、全国名水百選の涌泉池群「忍野八海」、富士五湖筆頭の観光地「河口湖」、羽衣伝説の舞台「三保の松原」など、日本人の自然観や日本文化に大きな影響を与えてきた富士山にちなんだキーホルダーを紹介する予定ですので乞うご期待!
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【著者プロフィール】
水上 友(みずかみ とも)
お土産キーホルダー収集家。全国の観光地を巡り、お土産キーホルダーの収集・研究・普及活動を行っている。約30年かけて集めたキーホルダーの総数は2万点を越える。おそらく日本一のコレクター。
著書に『日本お土産キーホルダー大全』(辰巳出版)がある。
●Twitter:@mizukamitomo
●Web:http://keyholdertaizen.pya.jp/
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