ARTTI R1 イヤホンレビュー
イヤホンレビューばっかりの note ですが、引き続き ARTTI R1 をレビューします。
ダイナミック型ドライバーを 3 基積んだ、いわゆる中華イヤホンです。なぜ買ったかというと、ダイナミック型ドライバー 3 基というスペックが珍しかったからです。
低音寄りの個性が強めなイヤホンですが、ベースとなる性能もなかなかよく、コストパフォーマンスはなかなか良いと感じます。
レビュー内容は、エージングは 150 時間程度。購入は Amazon で 2024 年 5 月に購入しました。ケーブルのみ、付属のものから変更しております。なぜならば購入して 2 日で右耳側が断線したためです……。初期不良で返品しようと思いましたが、さっさとレビューも書きたいという欲が勝り、余っていたケーブルで代替えしております。
今でも、こうしてレビューまで書いて気に入っているため、返品はせずにそのまま使っています。
音質
低音寄り。
低音の余韻もなかなかあり、ややダークでウォーム。ただ Hidizs MP145 のように量の多く減衰に時間のかかる超低音ではない。全体を支配的に覆うのは低音寄りのリバーブ感で、ややボヤっとした雰囲気の表現となっている。原音忠実さはほぼない。ただ、後述通り、低音・中音・高音通してそれなりのアタック感があり、音のエッジは分かりやすいが繊細さには少々欠けており、強弱を表現できていない場合がある。
中音、高音の量もそれなりに出ておりアタック感もある。低音の個性は強いものの全体的にはまとまっており、違和感は感じない音作りになっている。聴き疲れはしない。
音の解像度・分解能力は、価格からするとかなり良い。
音場はやや狭いという程度。よく楽器の場所を分解できているため音の配置は確認しやすいが、空間として広さは感じず。低音寄りのリバーブ感もあり、そのため明瞭さは普通程度と感じる。ただ、空間全体にみっちりと音が鳴っているようなかたちで立体感はある。
いつもの課題曲。
ソリッドさも感じられるアタック感のあるベースであり、ファットさと余韻もある。一方で、性能のよい分解能力のおかげでボーカルやギターやシンセサイザーなども綺麗に分離できており、団子になっておらず上手。
ボーカルはやや低音の迫力に負けているようにも思う。引っ込んでいるとは感じないものの、もう少し前に出て欲しいという感じはする。ただ、リップノイズも割とつぶさに表現できており、性能の高さを感じる。やはり、パッドが重なるところは音場の狭さを感じるが、価格からするとやむをえないか。
見事。
ギターは艶が乗り、アタック感がありファット。つぶさに表現できている上に、違和感がない味付けがされている。
低音の余韻もあり、ベースもアタック感があり存在感がある。
かなり良い。
バスドラは少々軽さを感じるもののソリッド。ボーカルのダミ声も少々埋もれている感じがあるもののかなりノリがよく、くっきりとした存在感がある。
ボーカルに加えブラスにパッド、ドラム・ギターなどの様々な楽器が折り重なるサビも綺麗にさばけており、音場がやや狭いこともあり中々の迫力。
シンバルやパッドのキラキラした感じもよく、空気感もある。
低音
アタック感があり、音の輪郭が分かる。量はかなり多め。余韻もそれなりに強め。質の良さはあるものの、ややぼやっとした印象を与えてしまうかもしれない。
ベースはかなりファットで、主張は強め。逆にキックはやや軽く感じることもあり、超低音は低音に比べるとやや弱めか。全体的に締まりはあると感じるものの、やや軽く感じる。超低音がもう少しあったら迫力が上がったかもしれない。
中音
アタック感があり、それなりにファット。低音に覆われやや明瞭さに欠けるが、音の輪郭も分かりよくよく分解できている。一定のふくよかさを感じ、個人的にはかなり好み。
ギターは輪郭を強調させつつファットさを味付けしており、音源によってはかなり表現としてよい。
ボーカルはやや埋もれがち。特に、女性ボーカルがメインの音源は向かない場合がある。
スネアは耳に痛くない程度にソリッド。ヌケがよく爽快感がある。
高音
明瞭で量は普通。
シンバルやフィンガーノイズなどもつぶさに捉えているが、変に強調されておらず自然であるが鮮やかさはある。聴き疲れはしない。さらっと減衰するものの、アタック感もあり明確。
作りと装着感
アルミのような金属製のようだが、軽さがありプラスチックっぽくもある。筐体そのものはそれなりに大きいものの、重さは感じない。
外装はダークグリーンであり、高級感は十分にある。ワンポイントになっているシルバーの箇所はやや指紋などの汚れが目立ち、傷がつきやすい。没個性にはなってしまうかもしれないが、汚やすいので無くてもよかったかな。
装着感は非常に良い。耳への収まりもよく、圧迫感などは感じない。
0.78 2Pin(非 qdc タイプ)のケーブルが利用できる。デフォルトのケーブルは細いが絡まりにくく使いやすかった。ただ、前述通り 2 日で右側が断線した。
付属品はイヤーピースとしっかりとした剛性のあるケースが付属する。
外箱もしっかり剛性があり、値段なりの高級感はある。
遮音性と音洩れ
遮音性は普通。普通のカナル型イヤホンと同様と思う。
ベントが筐体上部に 3 つあるものの、意外にも音洩れは少ない。電車内でも通常の音量であれば恐らく問題なし。
総評
円安ですが 80 ドルから 100 ドルで購入できる(セールであればもっと安い?)イヤホンとしては中々性能のよく、個性もしっかりとあるイヤホンで良かったです。
ジャンルはハードロックやメタル、ポップスと広い範囲をカバーできそうですが、ボーカルがやや引っこんでいるのがやや気になるという感じです。
弱点はあるものの、この値段で性能がきちんとあり、パッションのあるということで中々万人に受けるイヤホンかと思います。
この価格帯の中であれば、自信を持ってオススメです。