個別指導アルバイト講師研修③「授業計画を立てましょう 〜目的やタイムテーブル〜」
個別指導のアルバイトの先生へ③
「授業の計画を立てましょう」
〈計画を立てて授業に臨むこと〉
生徒が来たら着席して、授業開始。1:1ならすぐに、1:2でも余裕があれば、先に来た方を先に始めたらいいですよ。後に述べますが、1:2以上で学年や学校が違う場合で、同じ内容をやらない場合、開始が少しずれた方がやりやすいことが多いです。
授業に入るわけですが、その前に、授業計画を立ててみましょう。授業計画はとても大切です。行き当たりばったりで授業をするのは、大体うまくいきません。なんとなく問題をやって、時間が過ぎるのを待って、それで授業が終わると言うのでは、塾講師としての仕事としては満足したものとは言えません。そのためにも、授業計画を立てて臨みましょう。
では、授業計画とはどのようなものでしょうか。実際に具体的に見ていきます。
はじめて担当する生徒の場合、その生徒の学力、性格、中学校、注意する点、そしてどの単元からスタートするのかを、塾長から伝えてもらいましょう。生徒といっても十人十色です。
〈目的〉
まずは目的です。その生徒、その授業が何を目指しているのかを明確にしておきましょう。その生徒は、学校の授業をわかるために来ていますか?模試の点数を上げるために来ていますか?定期テストのための授業なのか、それとも入試でちからを発揮するのための授業なのか。それによっても内容は変わってくるでしょう。それからその授業が未修の単元の導入の授業なのか、それともテストに向けての演習の授業なのか、それによっても授業内容は全く違うものになってくるでしょう。
〈タイムテーブル〉
目的をはっきりさせたら、おおまかな授業のタイムテーブルを考えてみましょう。授業では、おおまかな時間配分を考えておく事はとても大切です。だいたい何分位で前回の復習のテストを終えるのか、だいたい授業のどのくらいに今日の大切な1番大切なところを持ってくるのか、だいたいこの生徒は何分ぐらいに集中力が切れるのでどのぐらいに笑いを持ってきて、どのくらいに大事なポイントを繰り返して、そしてどのぐらいの時間に宿題を出すのか。おおまかな授業のタイムテーブルを考えておけば、授業がどの程度進んだのかの目安にもなりますし、授業をスムーズに進められる元になります。だいたい授業の半分くらい時間が経ったところで、今日の計画がどの程度進んでいるかを目安にして、進みすぎているなら後半ゆっくりめまたは問題を増やすとか、遅れているなら後半スピードアップまたは問題を減らすとか、対応できるでしょう。
タイムテーブルが実際に上手くいくかどうか、最初不安であれば簡単なリハーサルを自分でイメージしてやってみるといいと思います。実際の授業では、意外にどんどん進んでしまって時間が余ってしまうということもあります。特に授業を持ちたての頃には、生徒との会話も少なく、思った以上に間がもたないということもよくあります。
〈細かなところまで〉
授業の計画はかなり細かいところまで立てます。例えば前述したように、どこでどのような笑いを取るかは、その場で考えているように見せかけた方が効果はあるでしょうが、実は計画を立ててやっている先生が多いでしょう。
また、1:2(講師に対して生徒が2人)で同学年の生徒を受け持っている場合には、どちらの生徒に何を指示するか、その指示する順番と内容も、考えておきます。そうなると、例えば1:2であれば、どちらの生徒が早く来るかなど、そこから考えないといけないでしょう。早く来そうな生徒をまず軸にして、スタートをずらして交互に説明していけば、1:2でもかなり深く教えられます。もちろん早く来ると予想していた生徒が違ったり、違うパターンもイメージしておかなければいけませんし、かなり細かな創造と計画が必要になってくるのです。
〈授業計画は2割達成でも良い〉
授業計画は、計画を立てて、その2割しかできなかったとしても、計画を立てて実施したが上手く出来なかったという経験が今後たいへん役に立ってきます。計画無しで授業をした講師に比べて、2倍の経験値が得られると言っても過言ではありません。計画が8割できて良い授業ができたなと思う事はそうそうありません。8割できなくても、何も落ち込むことはありません。経験値は確実に得られます。
〈臨機応変さも〉
また計画に縛られすぎず臨機応変な対応をすることも大切です。例えば計画に遅れが出てしまうことを嫌って授業を無駄に延長するなど、無理なことはやめましょう。授業の延長などは、熱心だとは思いますが、生徒の家庭の都合やお迎えの時間、帰宅時間など様々な影響のあることなので、出来るだけやめた方がいいと思います。臨機応変に、次の授業に持ち越すなど、途中で打ち切る勇気も必要です。
〈何をメインに教えるのか〉
授業計画がハッキリさせてくれるのは、その授業の何がメインになっているかです。
これは個別指導でも集団指導でも同じことが言えるかもしれませんが、何をメインに教えるのかを際立たせることは大切です。教えることがたくさんあることはあまりいいことではありません。たくさんのことを持って帰る器が生徒にまだ備わっていない場合も多いです。家に持って帰れることは、1つか2つと考えた方が良いでしょう。
だからといって、ちっとも教えないなんてことのないようにしましょう。たくさんのことを教えながら、メインとなることを強調して、1つか2つのことを覚えておかせることを繰り返して、最終的にたくさんのことを学んでもらうのです。
個別指導だからといって、ただ単に学校で出た宿題をやるだけとか、そのような授業はやめましょう。たとえ学校の宿題ををサポートしてほしいという場合でも、工夫してその生徒が今後自ら取り組めるように、やり方を教えてあげるようにしましょう。講師が解き方をすぐに提示して、生徒が考えずにただ答えを写すだけというのもあまり良くない授業です。
〈宿題が先〉
宿題を出す場合、次の授業で必ずやってあるかどうかのチェックをしましょう。宿題を出された生徒の立場からすれば、宿題を出しておいて解説やチェックをしない先生もまた、不満のある先生となります。
授業は、出したい宿題をもとに、その宿題が生徒1人でできるような授業の組み立てを考えましょう。つまりその日の授業は、出した宿題が家で1人で出来るようになるために、宿題のやり方を教えると考えるのが良いでしょう。宿題はできれば、家の人にも伝わるような宿題がベストです。例えば英語であれば、音読の宿題を出して、家の人に伝わるような感じにすれば、家の人もただ塾に行ってるだけではなくて、その生徒が頑張っているということが見えて良いでしょう。
〈最初に小テスト〉
前回の復習をちらっとする小テストは、最初の5分でするのが良いでしょう。1:2以上なら、その小テストで始まりを少しずらせるので、生徒対応を交互にやり易くなります。授業の形がマンツーマンなのか、1:2なのか、1:3なのかまたはそれ以上なのかということによっても違いますが、授業の最初で、1:2以上なら順番を上手にずらせたらうまくいくと思います。
小テストは、できれば自分でやって丸つけまでさせて、その丸つけしたものに間違いや誤魔化しがないかをチェックしてあげるものにすると良いでしょう。それで自分で丸つけをすることも学べるでしょう。
それに1:2以上だとどうしても説明するタイミングが被る時があります。その時に、だだ待っている状態が長く続くのは最悪です。この小テストに限らず、自分で進められる仕組みを少し用意してあげるのがいいと思います。
もちろん授業中に全部自分でやらせるのではありません。先生が介入する場面を作らないと、自分1人でやっていても同じだと思われてしまいますので、自分で勉強どんどん進められる仕組みと、先生が導入する場面と、バランスよく配置できる計画がいいと思います。
〈良くない授業、「今日何やる?」〉
個別指導でよくある、良くない授業は、講師の先生が生徒に「今日何やる?」と聞いて、その通りにやる、または振り回される場当たり的なものです。その生徒の通塾する目的が明確ならば、例えば1ヵ月でこのように成長したいと言う目標があるはずです。平均的に一科目週に1回か2回と考えると、月に4回から8回程度の授業しかないのですから、その少ない授業の中でその目的を達成するために、その回の授業で何をやらなければならないかという事は、場当たり的なものにはならないはずです。必ず塾側が主導で、こちらがやることを指定してあげることが必要ですし、それを素直に受け入れられる生徒の方が成績は上がるでしょう。
もちろん上級のテクニックとして、生徒にすんなり授業に入ってもらうために何をやりたいかを聞き出ししてから、上手に、やらなければならない事にもっていくと言う事はできると思います。
〈自習に呼ぶこと〉
授業だけでは成績は上がりません。どうやって自分で練習をさせるか、練習をするのが嫌なのか、それとも塾に呼ぶのか、それはそれはその塾の環境によっても違うでしょうから塾長と相談して決めてください。
〈保護者を意識して〉
塾として、保護者懇談をしている場合が多いと思います。保護者懇談は進路の相談及び普段の宿保護者懇談をしている場合が多いと思います。保護者懇談は進路の相談及び普段の塾での様子を伝えるものです塾での様子を伝えるものです。そこで、塾長が保護者懇談の時、言えることがないということでは、良くありません。場当たり的な、例えば学校の宿題を解いてもらって質問があればする程度の授業が続いていたとしたら、保護者懇談で伝えることはほぼないでしょう。質問して下さいと言うだけでは、質問をしない生徒もたくさんいると思います。何も質問をすることなく授業を終える...、テスト前にはそれでもいいかもしれませんが、塾代を払っている保護者はどう思うでしょうか。保護者に対して、普段から指導に関して塾はこうしている、ということが明確に言えるような授業にしましょう。その為にも、塾主導の盛り上がる授業を目指しましょう。もちろん本人の「これをやりたい」と言う意見は尊重してあげたいです。でもそれが間違っていたらきちんとアドバイスしてあげたいですし、迎合したり、生徒がやりたいことだけをやる、振り回されるような授業はしないようにしましょう。
〈次の約束を〉
授業が終われば、次の授業の約束は必ずしましょう。約束の種類はたくさんあります。宿題もその一つです。次にいつ来て、いつ会うのか確認するのも約束です。もしテストがあるなら「テスト返ってきたら見せてね」と言うのも約束です。
約束をする事は、次の授業で塾にちゃんと来させると言う意味合いがあります。簡単に休ませないと言うことです。生徒も人間ですから、約束の色が濃ければ簡単に休めませんし、もしその約束を果たせそうにもないなら、何かの手段を使って連絡してくるでしょう。塾が、簡単に休めるものになってはいけません。
出来るだけ、宿題は「やりなさい」ではなく、「やってくることが自分との約束だよ」と言うようにして下さい。次の授業や自習も「来なさい」ではなく、「次この日に会おうね」という約束にしましょう。「しなさい」は、生徒のやる気を削いでしまいかねません。
授業計画の中でも、その次の回がいつなのか、または自習に来るタイミングはいつなのか、などを書き込んでおきましょう。また、次に来る日は、自分の担当の授業だけではなく、他の科目で来る場合もありますので気をつけて下さい。全体の時間割がわからず、次に来る日がわからない場合、「私はわからないから」という対応ではなく、「ゴメンね、わからないから、塾長や受付で必ず確認して下さい」というように、確認の指示を出して下さい。わからないまま帰らせないようにして下さい。
〈授業計画が不安なら塾長に相談〉
授業計画ができた後、不安がある場合は早めに塾長に相談しましょう。塾長に時間がない場合は、塾長に断った上で、他の相談できる先輩講師などに相談しましょう。
〈授業計画は頭に入れて〉
授業計画ができて実際に授業をする際は、授業計画をなるべく頭に入れて、授業計画をガン見したりしないようにしましょう。授業計画に引きずられないように、臨機応変に対応することも頭に入れて臨みましょう。計画は計画です。実際には上手くいかないこともしばしばありますので、大らかな気持ちで捉えて下さい。
また、授業計画と実際の授業の状況は、塾長に必ず報告するようにして下さい。報告書などが塾にあれば、そちらを使いましょう。
今日はこれで終わりです。今日出たことをまとめてみます。
〈まとめ〉
① 授業計画をもって授業に臨みましょう。
② 授業の目的をハッキリさせましょう。
③ タイムテーブルを作り、細かい所まで計画。
④ 計画は2割達成でもいい、臨機応変さも。
⑤ 何をメインに教えるのかハッキリさせましょう。
⑥ 宿題をひとりでやるための授業。
⑦ 多人数は小テストで時間調整。
⑧ 「今日何やる?」は最悪。
⑨ 保護者がいるという意識を持って。
⑩ 次の約束をして、授業を休ませない。
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