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共同売店とボンカレー

 共同売店にはボンカレーがよく似合う。

 冒頭から何を言っているのだと我ながらに思うが、ボンカレーだ。みんな大好きなカレーのなかでも、誰もが知っている。それがボンカレーなのだから、「ボンジュール」的なあいさつのノリで冒頭にもってきても問題なかろう。
 「カレーは飲み物」と言ったのは、ぽっちゃりタレントの先駆け、ウガンダ・トラさん。毎度ロマンスを期待しているのは柴又の寅さん。ロマンスの神様はBoy meets girlしちゃうし、スキー場には広瀬香美、季節が変わって夏がくるのは大黒摩季で、沖縄といえば安室奈美恵さんがしっくりくる。昭和から平成にかけてのレトロな話をしてしまったが、本題はレトルトの方だ。

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 繰り返すが、共同売店にはボンカレーがよく似合う。今回巡った9店舗に必ずといっていいほどボンは置いてあった。面白いことに各店で値段が違っている。お安いのは130円。お高いのは160円と開きがある。
 高い理由はわかりやすい。共同売店で買い物するまでには、業者が間に入るからだ。注文を受けた商品を運んでくれる業者は、仕入れた商品に自分たちの利益を乗せるし、店側も価格に送料分と利益を乗せないといけない。

 どうして安いのか。

 もっとも安価だった店舗は、仕入れで工夫していた。那覇などの都市部にあるスーパーマーケットの特価情報を調べて買い出しにいく。足で稼ぐことによって仕入れにかかるコストを抑えることができるのだ。と、教えてくれた店主はニコニコと話していたが、移動や買い物にいく手間、そしてそれを日々続けていくというのは大変である。
 安く仕入れようとするのは、共同売店は高くて当然という売り方では、店を維持できないとわかっているから。みんな自分たちの生活に共同売店が必要とわかっていても高値だと手が出しにくい。遠出したときに、買い込んでおくひとも出てくる。そして売上が落ちて、店をたたまなくてはいけなくなる。
 なにかしら工夫が必要。そのために自分ができる方法として、安く仕入れるための買い出しを続けているのだという。

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 共同売店もレトロだからか、パッケージが懐かしさを感じさせる。レトロなのは、共同売店をもっとも利用するのが地元のおじいとおばあだからに違いない。変わらないデザインの方が手を出しやすい。
 そしてカレーの陳列が多いというのは、非常時の備えという側面もある。「台風の向かった先が沖縄だ」と一句詠まれることもあるくらいに台風が多く、ほかの地域に比べて物流がストップしやすく、ライフラインが止まることもある。
 その備えとしてもボンは役に立つ。幅広い世代が食べられるし、調理不要でキッチンが汚れることもない。
 また、おじい、おばあの中には、車で遠出して買い物できない家庭も少なくない。手早く食べられて、なおかつ日持ちのする食料品をストックしておこうとしても不思議はないのだ。

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↑ボンカレー以外のレトルトカレーは数が少ない

 ボンカレーのとなりにサバの缶詰が並んでいる店もあった。おそらくフランス好きな店主なのだろう。
 ボンカレーの由来は「ボンジュール」の「ボン」と同じ。フランス語で「おいしい、よい」を意味している。フランス語圏だと、ボンジュールというあいさつの後に、「サバ(Ca Va?=元気?)」と続くのが一般的。というのを知っていて、ボンの横にサバ缶をおいた。というのは考えすぎだろうか。

 だらだらと書いてきたが、華麗なるオチが見つからない。そんなときには自分の凡才ぶりに落ち込むみようになるが、話の落としどころがないのに、落ちるわけにもいかない。そんなときは、強引に終わらせるのがよい。これでいいのだ。なぜって? ボンなのだからよいのだ。

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↑レトロじゃないパッケージを扱う店もあった。

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