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家族よりも身近な存在

愛用するザックを手掛けるパーゴワークスが11〜15日にかけて、初めて単独での展示会を開催しています。アンバサダーとして起用していただき、提供していただいているからには、こんな時くらいは恩返しをせねばと思い、頼まれてもいないのに、テキストをつくり、必要か否かも聞かずに送りつけたのでした。せっかくなので、以下に貼っておきます。

恋人よりも、家族よりも、愛犬よりも長く接している存在。そばにいるのが当たり前で、いないことは考えられない。

それが「RUSH」だ。山に行く時は、背負っていないと調子が狂い、そわそわしてしまう。体の一部というのは言い過ぎだろうか。

少なく見積もっても、年間300日以上は背負っている。昨夏は本州の山々を踏破する日本山脈縦走3000kmの旅でも活躍。2カ月にわたり、一緒に東奔西走してくれた。

アウトドアシーンだけでなく、仕事場や取材先への移動、ちょっとした外出、買い物まで。どんなシューズよりも、どんな服よりも身近にある。

振り返ってみると、使い始めてから6年間で一緒にいろんな場所を走ってきた。ほとんどはランニングレースや縦走。海外だけでも、ナミビア、南アフリカ、中国、香港、台湾、ハワイ、アンドラ、スペイン、フランス、スイス、イタリア、モンゴル、アルゼンチン、南極、チリ、メキシコ。16カ国・地域を駆け抜けてきた。

簡単なレースはなかった。時には疲労困憊でうつむき、完走できるのかと不安になった。気温40℃を超える暑さ、暴風雨に身の危険を感じたこともあった。ダメかもしれないと、揺れる心。それでも、足を止めることなく走れたのは、間違いなくRUSHのおかげだ。

苦しい時でも、自分の心の動揺とは関係なく、揺れることのないザック。ふと前を向けば、ほかのランナーの背中。そこでは、ザックが飛び跳ねるようにして左右に動いていた。暴れるザックは彼らから体力を奪っていく。自分の背中はというと、まったく揺れていない。有利な状況なのだ。先に音を上げるわけにはいかない。

楽しい瞬間、苦しみ、危険を感じる時も、ともに過ごした。
標高4600mを超えるメキシコの火山、ネバド・デ・トルーカを登った時は、山頂を踏んだまではよかったが、うっかりしていた。帰りの交通手段を考えてなくて、20kmほど走って帰ることに。レース直後のことだ。体はまだ重い。

ところが、動き出したら背中は軽い。気が乗らない時に鍵って、抜群のホールド感を再確認。あれ、億劫だったはずなのに。いざ走り出してしまうと、結局は楽しくなっていた。

実は、背負っていることが日常になり、こうしたハプニングがないと、機能性の高さ、快適性を改めて感じる機会が得られない。体になじみすぎているのだ。身近すぎて、そのありがたみに気付きにくくなったり、時に忘れてしまうというのは、まさに家族のような存在である。ここぞという時に、頼れるのも同じだ。

これからも、まだ見ぬ景色を求めて、もっと楽しく、もっと遠くまで。相棒との旅は続く。

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