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20歳(はたち) ④


   沈黙を破ったのは私のほうだった。恥ずかしいのはお互いさまで、なんなら彼女のほうは先に想いを伝えてくれている。あと足りないのは私のちいさな勇気だけ。2人に変な緊張が走る。私だけがまわりの目を気にしていた。この場にいるのはすでにカップルか夫婦ばかり。愛の告白をしている人たちなどいない。


「好きだ。俺と付き合ってください!」


やっと言った。少し男になった気がした。
彼女の冷たい手をそっと握った。そのあと、どのくらいの間ハグをし続けていたかは覚えていない。




   

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